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滋賀県立美術館リニューアルオープン記念展 Soft Territory かかわりのあわい

河野愛《Silvering (parallel water)》2018 年 撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

Soft Territory かかわりのあわい
2021年6月27日~8月22日

 2021年6月27日にリニューアルオープンする滋賀県立美術館(大津市)で、コミュニケーションをテーマにした記念展「Soft Territory かかわりのあわい」が開かれる。8月22日まで。

 コロナ禍で人と人とのかかわりが大きな変化にさらされる中、今を生きる私たちが現在進行形で経験している状況に対し、12 人の若手作家が作品を展開する。

 12人はいずれも滋賀県にゆかりがある作家。展示は、すべて今回の展示のために制作あるいは再構成した新作で構成される。休館中に美術館とアーティストが県内のさまざまな場所に入り込んで展覧会を開催した「アートスポットプロジェクト」を踏まえ、その集大成として企画された。

内容

出品作家など

 石黒健一、井上唯、井上裕加里、河野愛、小宮太郎、武田梨沙、西川礼華、藤永覚耶、藤野裕美子、松延総司、薬師川千晴、度會保浩
関連展示:成安造形大学芸術学部地域実践領域

テーマ

 生き物のなわばりを意味する「テリトリー」という言葉には、命をかけるような過酷な現実、他者を拒絶する排他的な印象もつきまとう。
 人間の世界では、国家間の戦争、地域間の紛争、家と家、家の中での諍いなど、テリトリーや距離を守ろうとするあまり、異質なものを排除する不寛容、非妥協的な動きもある。
 新型コロナウイルスの感染拡大が人と人とのつながりを分断し、関係性のありを変えてしまった結果、これまでとは異なるテリトリーの姿も生み出されつつある。
 そんな中、この展覧会では、テリトリーについて改めて考え、テリトリーとテリトリーの境界を、交易や出会い、発見、誕生の場所として捉え直す。
 つまり、テリトリーがあるからこそ存在するそれらの境目は「かかわりのあわい」という柔らかな領域である。

見どころ

・今をとらえたテーマを今を生きる作家がそれぞれの視点から表現する。
・近代美術館時代を含めて、初の新作インスタレーションのみで構成する展覧会。
・4年にわたる休館中の活動を踏まえて、今後の美術館活動につなげていく試み。

アートスポットプロジェクトとは

 滋賀県立美術館が、リニューアル整備に向けた約4年間の休館期間中、県内各地で展開したプロジェクト。滋賀県にゆかりある若手作家を中心に紹介し、地域の人との交流・協働を目指した。
 2018 年に長浜市黒壁スクエアで「散光/サーキュレーション」展、2019 年に高島市泰山寺野で「Symbiosis」展、2020 年に東近江市能登川で「エンドレス・ミトス」展を開催した。

出品作家

石黒健一

石黒健一《大地》2019 年
撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

 1986年神奈川県生まれ。2011年広島市立大学大学院博士前期課程修了(現代表現領域)。 2020年京都芸術大学大学院グローバルゼミ修了。共同アトリエ「山中suplex」(大津市)所属。
 2020年「Sustainable Sculpture」(駒込倉庫/東京)/「本のキリヌキ」(瑞雲庵/京都)/「類比の鏡/The Analogical Mirrors」(山中suplex/滋賀 )/「KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク」(東京都美術館/東京)/「3331 ART FAIR 2020」(3331アーツ千代田/東京)、2019年「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.2 Symbiosis」(高島市泰山寺野/滋賀)/「Yesterday’s Tomorrow is Today」(VBKÖ/ウィーン、オーストリア)、2017年「BankART LIFE V -観光-」(BankART Studio NYK/神奈川)

井上唯

井上唯《この土地に生きる》
2019 年 ※参考作品

 1983年愛知県生まれ。2005年愛知教育大学 教育学部 造形文化コース織専攻卒業。2007年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科染織コース修了。現在高島市在住。
 2020年「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020」(横浜新市庁舎/神奈川)、2019年「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.2 Symbiosis」(高島市泰山寺野/滋賀)、2018年「PCCA International Residency Project 1 : Breathe」(Points Center for Contemporary Art/中国)/「2018年の〈方丈記私記〉/ 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟)/「桃園産業藝術節/RE:ART再製造ーfrom Waste to Art」(桃園/台湾)、2017年「奥能登国際芸術祭2017」(石川)/「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017」(象の鼻テラス、象の鼻パーク/横浜)、2016年「SOKO LABO/瀬戸内国際芸術祭2016」粟島(香川)/「我們的詩/E=mc² 台日設計相對論」(文房VVG Chapter/台湾)

井上裕加里

井上裕加里《marginal woman-境界人-》
2019 年 ※参考作品

 1991年広島生まれ。2012年倉敷市立短期大学服飾美術学科 卒業。2014年成安造形大学芸術学部芸術学科美術領域現代アートコース卒業。
 2021年「日韓藝術通信5 温度/온도(オンド) ―往復書簡―」 (The Terminal Kyoto/京都)、2020年「Kyoto Art for Tomorrow 2020―京都府新鋭選抜展―」(京都文化博物館/京都)、2019年「線がひかれたあと」個展(Kunst ARZT/京都)/「Parallax Trading」(das weisse haus /オーストリア)/「Kyoto Art for Tomorrow 2019―京都府新鋭選抜展―」(京都文化博物館/京都)、2017年京都府アーティスト・イン・レジデンス事業「京都:Re-Search」 大京都 in舞鶴 (聚幸菴/京都)/「堆積する空気」個展(Gallery PARC/京都)、2015年「井上裕加里」個展(CAS/大阪)、2014年日韓交流展「CARRY MORE」(韓国電力アートセンターギャラリー/韓国)

河野愛

河野愛《こともの foreign object》2021 年

 1980年滋賀県生まれ。2007年京都市立芸術大学大学院 美術研究科 染織 修了。在学中にRoyal College of Art 交換留学。大学院修了後、2017年まで広告代理店にてアートディレクターとして勤務。現在、京都芸術大学美術工芸学科専任講師。
 2019年「Story teller物語を紡ぐ」(アキバタマビ21/東京)、2018年「シガアートスポットプロジェクトVol.1 散光/サーキュレーション」(長浜市黒壁スクエア/滋賀)/「in the nursery 逸話ではないもの」個展(ギャラリー崇仁/京都)、2010年「spin a tale/memoriom」個展(g3ギャラリー/東京)、2009年「うたかたの家」個展(INAXギャラリー/東京)など

小宮太郎

小宮太郎《Hole state [portrait]》2020 年
撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

 1985年神奈川県生まれ。2008年京都造形芸術大学卒業2010 年京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(修士)修了2014年 Treasure Hill Artist Village アーティスト・イン・レジデンス。(7〜12 月)2016年 京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(博士)修了。現在、共同スタジオ「山中suplex」(大津市)所属。滋賀県大津市在住。
 2021年「THE ヨエロ寸-尋-」(VOU/京都)、2020年「Mind Sights」(MAHO KUBOTA GALLERY/東京)/「類比の鏡 / The Analogical Mirrors」(山中suplex/滋賀)/「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.3 エンドレス・ミトス」(東近江市能登川/滋賀)、2019年「GOLDEN BOX」個展(Finch Arts・京都))/「穴の容態」個展(Art Center Ongoing/東京)、2018年「The skill of pen spinner.」個展(vou/京都)/「アーツ・チャレンジ2018」(愛知芸術文化センター/愛知)

武田梨沙

武田梨沙《Playing with yarn #1》2020 年
撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

 1987年福岡県生まれ。2010年成安造形大学造形学部造形美術科テキスタイルアートクラス卒業。
 2020年「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.3 エンドレス・ミトス」(東近江市能登川/滋賀)、2018年「やかげ芸術街道ギャラリー2017 vol.2」(矢掛屋/岡山)、2017年「やかげ「街道ギャラリー」2017 vol.1」(サイクルショップゆくべや /岡山)、2015年「染織tomorrow 7大学推薦 若手の饗宴」(ギャラリーマロニエ/京都)/「MINIATURE WORKS -THE KYOTO-」(GALLERY GALLERY/京都)

西川礼華

西川礼華《transparent flow #1》
2019 年 ※参考作品

 1988年滋賀県生まれ。2011年京都市立芸術大学美術科 卒業。2013年京都市立芸術大学美術研究科修士課程日本画専攻修了。現在、共同アトリエ「ことうヘムスロイド村」所属。米原市在住。
 2021年「know Arts vol.2 現れる姿形 西川礼華・葛本康彰」(滋賀県八日市文化芸術会館/滋賀)、2020年「第一回千住博日本画大賞展」(銀座三越伊勢丹)、2019年「element」個展(sumire Lab./滋賀)/「断片の誘惑」(サンセイドウギャラリー/兵庫)/「めぐるのれん」(COREDO室町テラス/東京)/「残香」個展(米原市青岸寺/滋賀)、2018年「第5回続・京都日本画新展」(京都駅伊勢丹「えき」KYOTO/京都)/「kanaria展」(彦根/滋賀)、2017年「第4回続・京都日本画新展」(京都駅伊勢丹「えき」KYOTO)​/「次世代文化賞受賞者展」(草津クレアホール/滋賀)

藤永覚耶

藤永覚耶《Transit [あいうえお]》2019 年
撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

 1983年滋賀県生まれ。2006年京都嵯峨芸術大学 芸術学部造形学科版画分野卒業。2008年、愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。現在、大津市在住。
 2019年「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.2 Symbiosis」(高島市泰山寺野/滋賀)、2018年「Transit」(Gallery PARC/京都)/「Transit」 (masayoshi suzuki gallery/愛知)、2017年「時間の感触」 (masayoshi suzuki gallery/愛知)、2016年「INTERWOVEN~編み込まれた世代~」 (名古屋市民ギャラリー矢田/愛知)/「THE NEXT 次代を創る10人の表現者たち」 (電気文化会館5Fギャラリー/愛知)/「滋賀県次世代文化賞受賞者展」 (滋賀県立近代美術館ギャラリー/滋賀)、2013年「空即是色 – vanity is color – ARCH Vol.6 藤永覚耶」 (愛知県美術館 展示室6ほか/愛知)

藤野裕美子

藤野裕美子《みざかる時点》2020 年
撮影:麥生田兵吾  ※参考作品

 1988年滋賀県生まれ。2011年京都精華大学 芸術学部 造形学科 日本画コース 卒業。2012年L’Art dans les Cités アーティスト・イン・レジデンス(フランス)。2013年京都精華大学 大学院芸術研究科 博士前期課程 日本画専攻 修了。現在、共同アトリエSoil(滋賀県東近江市)所属。東近江市在住。
 2020-2021年「日日の観察者 Observers of Everyday Life」(HOTEL ANTEROOM KYOTO/京都)、2021年「ARTISTS’FAIR KYOTO 2021」(京都府京都文化博物館/京都)、2020年「過去の滞在/個展」 (Gallery Den mym /京都)/「滋賀近美アートスポットプロジェクトVol.3 エンドレス・ミトス」(東近江市能登川/滋賀)、2019年「瀬戸内国際芸術祭2019 高見島プロジェクト」 (高見島/香川)、2017年「飛鳥アートヴィレッジ2017」 (明日香村/奈良)、2016年「 Les artistes en residence en Bretagne 2012」(Institut Francais Kansai/京都)、2015年「背面の景色」 (尾賀商店/滋賀)/「 Itinérances Rétrospective «l’Art dans les Cités»」(Le centre d’art Les 3 CHA/フランス)

松延総司

松延総司《Pattern of Dark #1,#2 (light and shade)》
2019 年 Courtesy of HAGIWARA PROJECTS, Tokyo
Photo by Soshi Matsunobe ※参考作品

 1988年熊本県生まれ。2008年京都嵯峨芸術大学短期大学部卒業。現在、甲賀市在住。
 2020年「ねじれたネイチャー」個展(大原大見町/京都)/「SOSHI MATSUNOBE」個展 (Goya curtain/東京)/「京都府新鋭選抜展」(京都府京都文化博物館/京都)、2019年「See the Shade」個展(HAGIWARA PROJECTS/東京)/「FLASH MATTER」(Gallery PARC/京都)、2018年「scribbles between spaces」個展(SOX/ドイツ)/「ねじれたライブラリールーム」個展(熊本市現代美術館/熊本)/「パーティション」(京都市立芸術大学Gallery @KCUA/京都)

薬師川千晴

⑫薬師川千晴《絵画碑 #20 -絵具の密度と引力-》2018 年
撮影:麥生田兵吾 ※参考作品

 1989年滋賀県生まれ。2011年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。2013年、京都精華大学院芸術研究科博士前期課程芸術専攻修了。2019年、滋賀県次世代文化賞受賞。現在大津市在住。
 2021年「VOCA展2021 現代美術の展望−新しい平面の作家たち−」(上野の森美術館/東京)/ 「Yakushigawa Chiharu Solo Exhibition」(画廊くにまつ青山/東京)/ 「fの冒険−7人のアーティストによる平面表現の魅力−」(あまらぶアートラボ「A-Lab」/兵庫)、2020年「 Know Arts vol.1 解体とアプローチ 田中真吾×薬師川千晴 展」(東近江市立 八日市文化芸術会館/滋賀)、2019年「シガアートスポットプロジェクトVol.1 散光/サーキュレーション」(長浜市黒壁スクエア/滋賀)、2018年「RAUM KOMP [ラウムコンプ] うごく空間、そこにある音」(大阪海岸通りギャラリーCASO/大阪)/「retrace a pair 一対をなぞる」(Gallery PARC/京都)、2015年「ハイパートニック・エイジ」(京都芸術センター/京都)/「絵画へ捧げる引力」(Gallery PARC/京都)

度會保浩

度會保浩《eagburu-shell of the plant》2018 年
撮影:麥生田兵吾  ※参考作品

 1981年岐阜県生まれ。2006年大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修士課程造形表現V(工芸)修了。2007年滋賀県陶芸の森アーティスト・イン・レジデンス。現在、共同スタジオ「シガラキ シェア スタジオ」所属。甲賀市在住。
 2021年「No Man’s Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」(兵庫陶芸美術館/兵庫)/「びわ湖・アーティスツ・みんぐる」(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール/滋賀)、2020年「SHIGARAKIの作家展−relocation after the residency−」(瀬戸市新世紀工芸館/愛知)、2019年「シガアートスポットプロジェクトVol.1 散光/サーキュレーション」(長浜市黒壁スクエア/滋賀)、2018年「Eagduru」(HAGISO/東京)、2017年「Art in the office 2017 CCC AWARDS」(代官山T-SITE ガーデンギャラリー/東京)、2013年「新時代の「やきもの」への挑戦!あれもやきもの これもやきもの 陶芸の森 アーティスト・イン・レジデンス20年の歩み 」(滋賀県立陶芸の森陶芸館/滋賀)

会期、観覧料など

会 期:2021 年6月 27 日(日)~8月 22 日(日)
休 館 日:毎週月曜日(8月9日は開館)、8月 10 日(火)
開館時間:9:30~17:00(入館は 16:30 まで)
観 覧 料:一般 1,200 円(1,000 円)、高・大生 800 円(600 円)、小・中生 600 円(450 円)
※( )内は 20 人以上の団体料金
※身体障害者手帳等のある人は無料
※同時開催のコレクション展「ひらけ!温故知新―重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに―」も観覧できる

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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