オディロン・ルドン《アポロンの馬車》1907年
油彩・キャンヴァス 個人蔵
ルドンの名品とルドンが論評した芸術家の作品130点
特別展「オディロン・ルドン 夢の交叉-画家として、批評家として-」が2025年10月24日~2026年2月23日、ヤマザキマザック美術館(名古屋)で開催される。
世紀末の象徴主義を代表する画家で、幻想的な作風で知られるフランス近代絵画の巨匠、オディロン・ルドン(1840-1916)の作品と、彼が論評した画家たちの作品を合わせ、130点余り(前期後期それぞれ約80点)を展観。
第一部では、ルドンの数々の名作を精選して展示。モノトーンの画面に不思議な生き物がうごめき、神秘的な情景が繰り広げられる画業前半の石版画(リトグラフ)、画業後半に一転して華やかな色彩と自由奔放な筆触で描きあげられた魅惑的な花の絵や神話画、風景画などの油彩、パステル作品を対比的に見せる。

オディロン・ルドン《幻視》(石版画集『夢のなかで』Ⅷ)1879年
リトグラフ・紙 岐阜県美術館
第二部では、アングル、ドラクロワ、クールベ、ブレスダン、ピサロ、ドガ、ファンタン=ラトゥール、ロダン、カリエール、ボナールら、ルドンが著書『私自身に (À soi-même)』の中で論評した芸術家たちの世界を、ヤマザキマザック美術館所蔵作品と町田市立国際版画美術館所蔵作品によって、ルドンの言葉を引用しながら紹介。ルドンの美学や制作姿勢を、ルドンが他の芸術家たちを見つめる目から読み解く。

オディロン・ルドン《堕天使はその時黒い翼を開いた》(石版画集『夜』Ⅲ)1886年
リトグラフ・紙 三菱一号館美術館
開催概要
展覧会名:「オディロン・ルドン 夢の交叉-画家として、批評家として-」
会 期:2025年10月24日(金)~2026年2月23日(月・祝)
会 場:ヤマザキマザック美術館 5 階展示室
〒461-0004 名古屋市東区葵1-19-30(地下鉄東山線「新栄町」下車/1番出口直結)
TEL 052-937-3737
URL www.mazak-art.com
開館時間:平日 10:00~17:30 / 土日祝 10:00~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休 館 日:月曜日(11月3日、24日、1月12日、2月23日は開館)、11月4日(火)、25日(火)、1月13日(火)、年末年始(12月29日~1月5日)
入 館 料:一般1,300円(10名以上1,100円)、小・中・高生500円、小学生未満無料
〔音声ガイド無料サービス〕
主 催:ヤマザキマザック美術館、中日新聞社
特別協力:町田市立国際版画美術館
協 力:株式会社カセットミュージアム
後 援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、愛知県教育委員会、岐阜県教育委員会、三重県教育委員会、名古屋市教育委員会、名古屋市文化振興事業団

オディロン・ルドン《・・・日を着たる女ありて》(石版画集『ヨハネ黙示録』6)1899年
リトグラフ・紙 国立西洋美術館
見どころ
若きルドンの代名詞、不気味な魅力炸裂の石版画集の数々を紹介!
1879年、ルドン39歳の時に刊行された初石版画集『夢のなかで』に始まって、石版画集『ゴヤ讃』(1885年)、石版画集『夜』(1886年)、エドモン・ピカール『陪審員』石版画挿絵(1887年)、石版画集『聖アントワーヌの誘惑』第1集(1888年)、石版画集『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出のために)』、(1891年)、石版画集『聖アントワーヌの誘惑』第3集(1896年)、そして最後の石版画集『ヨハネ黙示録』(1899年)にいたるまで、ルドンの画業前半の代名詞とも言えるモノトーンの幻想世界、石版画集8作品を紹介する。
*版画作品は展覧会会期前期(10月24日~12月21日予定)と後期(12月23日~2月23日予定)で展示替えをし、全点入れ替える。
晩年のルドンが足を踏み入れた色彩の世界を紹介!
晩年のルドンといえば、油彩やパステルで描かれたまばゆいばかりに輝かしい色彩の世界。謎めいた幻想性はそのままに、色彩によって華やかに解放された聖書の物語、ギリシャ神話の物語、なんといっても、夢か現か分からなくなるほど美しい花瓶の花々は一度見ると忘れられない印象を残す。15点と数は多くないが、選りすぐりの作品によってルドンの色彩世界を紹介する。
批評家ルドンの美術批評を紹介!
ルドンは芸術批評も数多く残している。ヤマザキマザック美術館所蔵のアングル、ドラクロワ、クールベ、ピサロ、ドガ、ファンタン=ラトゥール、ロダン、カリエール、ボナールの作品に、町田市立国際版画美術館所蔵のドラクロワ、ファンタン=ラトゥール、ブレスダンの版画作品を加え、それらについてルドンが書き記した批評と共に紹介する。幻想の画家ルドンの知的な側面と共に、彼の美学や制作哲学も感じることができる。

オディロン・ルドン《帆船(寓意的風景)》1907年
油彩・キャンヴァス ポーラ美術館
イベント
講演会 「 “見えないもの”を描 く-オディロン・ルドンのまなざし」
日時:2025年12月20日(土)13:30 受付開始 / 14:00~15:30
講師:山上(やまじょう)紀子氏(大阪公立大学大学院文学研究科研究員)
申込:10月28日(火)から電話(052-937-3737)で。
定員:60名
参加費:無料、本展鑑賞券(半券でも可)が必要
会場:マザックアートプラザ(美術館北側隣接ビル)4 階会議室
山上紀子氏は愛知県立大学を経て、名古屋大学、パリ第一大学に学んだ美術史家で、専門はフランス近代美術史、特にオディロン・ルドン。2002年に開催された「ルドン展-絶対の探求-」の図録編集や、スイスのルドン研究者ダリオ・ガンボーニ氏の著作『アモンティラードの酒樽』の翻訳にも携わっている。また、2016年、ルドンの出身地ボルドーで開催された没後100年記念シンポジウムに日本人研究者としてただ一人登壇した。今回は、目に見えないものを描くルドンの「まなざし」について様々な角度から分かりやすく話す。
ガイドツアー (会期中第 2・4 土曜日開催)
同館学芸員によるガイドツアー。展覧会の見どころをわかりやすく解説する。
日時:以下の日程の10:30から約1時間
2025年11月8日、22日、12月13日、27日
2026年1月10日、24日、2月14日
申込:不要
定員:当日先着20名
参加費:無料、当日鑑賞券が必要
ナイトミュージアム 「 Afterglowーオカリナとヴァイオリン族が奏でる夢の余韻ー」
日時:2025年11月29日(土)17:45受付開始 / 18:15開演 / 19:15終演予定
会場:ヤマザキマザック美術館 5 階展示室
出演者:西村麻衣子[オカリナ]、波馬朝光[ヴァイオリン]、波馬朝加[ヴィオラ]、川村なつみ[チェロ]
費用:友の会会員¥2,000(税込) 一般¥4,500(税込)
※一般申込者には本展覧会の当日券付き
曲目:トロイメライ/R.シューマン、月の光/C.ドビュッシー 他
※曲目は都合により変更になる場合がある。
申込:11月7日(金)から美術館 1F 受付、もしくは電話(052-937-3737)で。
国内外で活躍するオカリナ奏者 西村麻衣子を中心に、姉妹デュオの波馬朝光(Vn.)、波馬朝加(Vla.)、幅広いジャンルで演奏活動を行う川村なつみ(Vc.)によって編成。「オカリナと弦楽器」という国内では類をみない異色のカルテットが、音楽を愛し、自身もヴァイオリンを嗜んだというルドンにゆかりの深い作曲家等の作品を演奏する。