2025年の民藝展
《福岡市博物館》
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2025年2月8日~4 月6日⇒公式サイト
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつとなる。
《京都市京セラ美術館》
☆特別展 民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美 2025年9月13日~12月7日
思想家の柳宗悦、陶工の河井寬次郎、濱田庄司が京都に集うことで始まった「民藝」運動。木喰仏の調査旅行をするなかで議論を深め、1925年「民衆的なる工芸=民藝」という言葉が生まれた。このたび、「民藝」という言葉が誕生して100年を迎えるにあたり、特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」を開催する。
《日本民藝館》
☆仏教美学 柳宗悦の見届けたもの 2025年1月12日~3月20日
1949年に主著作『美の法門』を上梓した柳宗悦。仏教美学の更なる探求と強固な構築を目指した柳は、1961年5月に歿するまで、その樹立を願い留まることはなかった。本展では、仏教美学に関わる資料を展示。柳が1955年10月に行った「東洋思想講座 第五回」の映像(音源を基に制作)を初上映し、柳が直観で見届けた具体的な作物の提示と共に、悲願とした「仏教美学」を顕彰する。
☆民藝 無作為の美―深澤直人が心を打たれたものたち 2025年3月30日〜6月1日
自然の中から生まれ出た作為なき民藝の美に、なぜ人は心を打たれるのか。プロダクトデザイナーで当館館長である深澤直人が、館蔵コレクションの中から自身が感動し刺激を受けた生活道具を選び、「温もり」や「親しさ」「愛らしさ」といった民藝美の魅力に光を当てる。生活美の結晶である民藝の存在が、未来に向けた「ものづくり」や「生きる方向」を確かめるための、大事な試金石となる。
☆所蔵作品一挙公開 棟方志功展Ⅰ 言葉のちから 2025年6月14日〜7月27日
棟方板画大規模公開の特別展・第1章。言葉に強い感心を示した棟方志功は、詩人たちの詩歌や物語から着想したイメージを板に刻み、独自の世界を形成していった。メッセージ性の強いこれらの作品を一挙に公開し、棟方の言葉に対する姿勢を探る。
☆所蔵作品一挙公開 棟方志功展Ⅱ 敬愛のしるし 2025年8月2日〜9月15日
棟方板画大規模公開の特別展・第2章。棟方志功は師と仰ぐ人物や協力者への畏敬の念を、数々の作品に表している。また、板そのものへの想いから「板画」と称することとした1942 年以降の作品を交え、万物への感謝を示した棟方の人物像に迫る。
☆所蔵作品一挙公開 棟方志功展Ⅲ 神仏のかたち 2025年9月21日〜11月5日
棟方板画大規模公開の特別展・最終章。棟方志功は幼少期から仏の存在を身近に感じていたという。柳宗悦らの教示により宗教への理解を深め、特に仏教を主題とした作品を次々と発表していった。棟方の真骨頂である。
☆2025年度日本民藝館展 —新作工藝公募展— 2025年11月22日〜12月17日
手仕事による伝統的な工芸品を中心に、日本各地の新作工芸品の数々を展示・頒布する、恒例の新作工芸公募展。
☆抽象美と柳宗悦 2026年1月6日〜3月10日
柳宗悦の晩年にあたる1950年代は、国立近代美術館で「抽象と幻想」展が開催されるなど、日本の美術界で抽象美術が大きな注目を集めた。そのような中、柳は雑誌『心』に「抽象美について」(1957年)を寄稿。「古くして新しい抽象美」について述べたこの一文は、『民藝』第63号での抽象紋特集(1958年3月)に発展し、多くの図版を伴って特集された。本展では、特集に掲載された「抽象紋」の工芸を軸に構成し、柳が見た「抽象美」とは何かを探る。
《豊田市民芸館》
☆特別展「民窯-食のうつわ」 2025年1月11日~4月6日
「民窯(みんよう)」とは、一般民衆が日々の生活のなかで使う器や道具などを焼く窯、またはそのやきもの自体を指す。民窯という言葉は「民藝」という言葉とともに昭和初期から広く使われるようになった。今回の展示では、愛知県の瀬戸焼や常滑焼はもちろん、北は岩手県の久慈焼、南は沖縄県の壺屋焼まで、職人の手仕事による食にまつわるやきもの約200 点を紹介する。また本展は豊田市博物館で開催予定の特別展「和食-日本の自然、人々の知恵-」との連携企画として開催する。
☆海のシルクロード 絣の道 2025年6月28日~9月21日
色あざやかで軽やかな絹のパトラサリー、アニミズムに結びついたスンバ島の祭壇布、琉球王朝時代に織られた色柄が美しい沖縄の手縞など、地域の風土に育まれた豊かな絣を、その伝播ルート「絣の道」とともに紹介する。
☆鈴木繁男 手と眼の創作 2025年10月11日~2026年1月12日
柳宗悦の唯一の内弟子である鈴木繁男(1914―2003)は、柳にその非凡な才能を認められて1935 年に入門し、工芸や直観について厳しく教育された。鈴木による仕事は漆絵、陶磁器、装幀など多岐にわたるが、特筆すべきは雑誌『工藝』の装幀である。一つひとつ和紙に漆で描かれた表紙は、多くの民藝の関係者や読者を驚かせた。本展は日本民藝館(東京・駒場)で開催された「鈴木繁男展-手と眼の創作」の巡回展として開催。これまで認知されることの少なかった工芸家・鈴木繁男の多彩な仕事とその蒐集品を紹介する。
☆ふたつの特集展示 「本多静雄と杉本健𠮷」「館蔵品による 芹沢銈介」 2026年2月中旬~5月下旬
豊田市名誉市民で実業家、日本有数の古陶磁研究家として知られる本多静雄(1898-1999)と名古屋市出身の画家・杉本健𠮷(1905-2004)。本展では、杉本氏の絵画をはじめ、杉本が手掛けた本多氏のお茶会や創作狂言に係る作品など、二人の深い交流と文化活動に焦点をあてた展示をおこなう。また同時開催として、日本を代表する染色家・芹沢銈介(1895-1984)の作品を同館所蔵品によって特集展示する。
《大阪日本民芸館》
☆大阪・関西万博開催記念 春季特別展 大阪の民藝運動―三宅忠一の眼— 2025年3月6日~7月15日
大阪における民藝運動は、民藝運動同人の三宅忠一(1900-1980)が「日本工芸館」を設立したことをひとつのきっかけとして動き出す。柳宗悦の『工藝の道』を読み民藝運動に参加した三宅は、1950年大阪市に「日本工芸館」を設立し(現在は休館)、日本各地の優れた工芸品の美しさを関西で広く紹介した。同時に、九州を中心に様々な産地の状況にも目を向け、工芸品の生産と支援にも力を尽くした。しかし、当時の運動のあり方に疑問を抱いた三宅は、1959年に柳が会長を務める「日本民藝協会」を離れ、「日本民芸協団」を設立した。以降は日本工芸館と日本民芸協団を拠点に、独自の民藝運動を展開していく。その後、1970年の大阪万博開催の折に、日本民藝館と関西財界有志によりパビリオン「日本民藝館」が出展される。1972年には建物と収蔵品の一部を引き継ぎ「大阪日本民芸館」が開館し、現在まで国内外の工芸品や作家による新作を中心に蒐集・展示を行っている。大阪にはこうしたふたつの民藝運動が存在し、それぞれに独自の活動を続けながら今日に至っている。本展では、三宅忠一から始まった大阪の民藝運動の足跡を、日本工芸館と大阪日本民芸館の作品を通してご紹介する。
《京都民芸資料館》
《河井寛次郎記念館》
《アサヒビール大山崎山荘美術館》
《東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館》
《出羽の織座 米澤民藝館》
《濱田庄司記念益子参考館》
《国際基督教大学博物館 湯浅八郎記念館》
《益子陶芸美術館》
《松本民藝館》
《富山市民芸館》
《日下部民藝館》
《静岡市立芹沢銈介美術館》
《桂樹舎和紙文庫民族工芸館》
《光徳寺・無尽蔵》
《多津衛民芸館》
《丹波古陶館》
《鳥取民藝美術館》
《出雲民藝館》
《倉敷民藝館》
《大原美術館工芸館》
《山根和紙資料館》
《安部榮四郎記念館》
《愛媛民藝館》
《熊本国際民藝館》
2024年の民藝展
《東広島市立美術》
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2024年2月10日~3月24日⇒公式サイト
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつとなる。
《世田谷美術館》
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2024年 4月24日~6 月30日⇒公式サイト
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつとなる。
《富山県美術館》
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2024 年 7 月13日~9 月23日⇒公式サイト
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつとなる。
《名古屋市美術館》
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2024年10月5日~12月22日⇒公式サイト
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつとなる。
《日本民藝館》
☆古染付と中国工芸 2024年3月30日~6月2日
明時代末期の中国・景徳鎮民窯で、日本への輸出品として作られた古染付。茶人に好まれ珍重された古染付の器形は様々で、驚くほど軽妙な絵付が施されている。柳宗悦はこれらの器を「真に染付としての生命が甦っている」と、賛美した。本展は、当館が所蔵する古染付を一挙に公開すると共に、中国の長い歴史の中で生まれた力強い工芸の数々を紹介する。
☆朝鮮民族美術館設立100年記念 柳宗悦と朝鮮民族美術館 2024年6月15日~8月25日
朝鮮時代の工芸の美をいち早く見出し、京城(現在のソウル)に朝鮮民族美術館を設立した浅川伯教・巧兄弟と柳宗悦。本年は、創設から100年の節目に当たる。本展ではその足跡をたどり、当時集められた品々を中心に、設立募金関連資料や開催された展覧会の資料を交えて展示し、世界で初めての朝鮮工芸の専門美術館・朝鮮民族美術館の意義を、改めて検証する。
☆生誕130年 芹沢銈介の世界 2024年9月5日~11月20日
自由な色彩感覚と模様を生む天賦の才に恵まれた染色家・芹沢銈介(1895-1984)。身辺の品々などを日々スケッチしていた芹沢の日常への眼差しに裏打ちされた多彩な作品は観る者の心を躍らせる。「本当の美しさがわかっている」と柳宗悦が評した芹沢の蒐集にも注目。来年生誕130年を迎える芹沢の手と眼の世界を堪能できる。
☆2024年度日本民藝館展—新作工藝公募展— 2024年12月7~22日
手仕事による伝統的な工芸品を中心に、日本各地の新作工芸品の数々を展示・頒布する、恒例の新作工芸公募展。出品作は、陶磁・織物・染物・木工・漆工・金工・竹工・藁及草工・硝子工・紙ほか。
《豊田市民芸館》
☆開館40周年記念・河井寬次郎記念館開館50周年記念「河井寬次郎展-寬次郎の魅力は何ですか-」 2023年12月16日~3月10日
☆企画展「美しき手仕事 -新収蔵品を中心に-」 2024年4月9日~6月30日
豊田市民芸館では、民芸の普及・啓発のため、日頃から優れた資料を蒐集している。本展では当館が近年蒐集した資料のうち、日本民藝館展の優品や数々の所蔵家から寄贈を受けた貴重な資料など、初公開資料を中心に約200点を紹介する。
☆特別展「或る賞鑑家の眼-大久保裕司の蒐集品- 」 2024年7月13日~9月23日
故大久保裕司氏が蒐集した工芸品は、主に日本の中世から近世までの民衆が用いた陶磁器、硝子、木工、金工、小道具や朝鮮時代の諸工芸品などで形成されている。本展では大久保氏が生涯をかけてあつめた工芸品のコレクション約200 点を紹介する。
☆特別展「アイヌの美しき手仕事」 2024年10月12日~12月15日
日本民藝館創設者の柳宗悦(1889-1961 年)は、アイヌ民族の工芸文化に早くから着目し、1941 年には美術館で最初のアイヌ工芸展となる「アイヌ工藝文化展」を日本民藝館にて開催した。その際、染色家・芹沢銈介(1895-1984年)は、同展の作品選品や展示を任されており、自身もアイヌの手仕事を高く評価し蒐集した。本展では、日本民藝館所蔵の柳のアイヌコレクションと、静岡市立芹沢銈介美術館所蔵の芹沢のアイヌコレクションを紹介する。
《大阪日本民芸館》
☆春季特別展 そばちょこ 衣装持ちの器 2024年3月2日~7月16日
そば猪口とは、蕎麦のつけ汁を入れる容器として用いられてきた器。元々は膳の上で料理を盛る向付として使われてきたが、江戸時代に蕎麦が流行した際に、つけ汁を入れる器として庶民の間へ広く普及していった。大阪日本民芸館で収蔵するそば猪口の多くは、古伊万里と呼ばれる江戸時代の伊万里焼。佐賀県の有田を中心に焼かれ、伊万里港から全国へ出荷されたことでこのように呼ばれた。柳宗悦が自身の著作である『藍絵の猪口』の中で、「この猪口くらい衣装持ちは無いといえる」と評したように、蕎麦猪口の魅力は、実に多彩な模様が描かれた点にある。模様の種類は、植物、動物、人物、風景、幾何学、文物などを基本に、複数の模様を組み合わせたり、ひとつの模様に工夫
を加えるなどして、数限りないバリエーションが生み出された。これらは、器の胴体、口縁部、見込み、底部と各所に施されており、とりわけ胴体や口縁部は彎曲面への描画となるため、職人達の腕の見せ所だった。同館が収蔵する古伊万里そば猪口は蒐集家の佐藤禎三氏より1979年に寄贈いただいたコレクション。本展では、3000点におよぶそば猪口コレクションより、約1000点を見ることができる。