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『教育と愛国』名古屋シネマテークで2023年4月1-7日アンコール上映

2017年度ギャラクシー賞・大賞を受賞した話題作が、最新取材を加え、映画化!

 教科書問題をテーマに2017年に⼤阪・毎⽇放送(MBS) で放送され、話題となった番組の映画版ドキュメンタリー『教育と愛国』が2023年4月1~7日、名古屋・今池の名古屋シネマテークでアンコール上映される。日本映画ペンクラブ2022年文化映画ベスト1受賞記念の上映。

 同劇場で2022年6月4日に公開され、連日、多くの観客が詰めかけ、同年7月30日~8月19日にも追加上映された。

 2017年のテレビ番組『映像‘17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか』は、放送直後から反響を呼び、その年のギャラクシー賞テレビ部門大賞、「地方の時代」映像祭優秀賞を受賞した。

 本作は、MBSディレクターである斉加尚代監督が番組をもとに最新取材を加え、映画化。語りを俳優の井浦新さんが務めている。

教育と愛国

教科書は、教育は、いったい誰のものなのか。

 軍国主義へと流れた戦前の反省から、戦後、政治と一線を画してきた教育が大きく変わりつつある。2006年には、第一次安倍政権下で教育基本法が改正。「愛国心」条項が戦後初めて盛り込まれた。

 2014年には、教科書検定基準が改定。「教育改革」「教育再生」の名のもと、検定制度が見えない力を強めていく。政治介入ともいえる状況の中で繰り広げられる出版社と執筆者の攻防は現在も続く。

 歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が推す教科書の執筆者へのインタビューによって浮かび上がる教育現場の危機。

 新しく採用が決まった教科書を使う学校や、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師、研究する大学教授へのバッシング、さらには、日本学術会議任命拒否問題など、MBSで20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが「教育と政治」の関係を見つめ、最新の教育事情を記録した。

記者が見続けた教育現場に迫る危機 教科書で今、何が起きているのか?

 2019年に番組内容と取材ノートをまとめ、書籍化(岩波書店刊)。2020年には、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでも上映された。

 これだけ長く注目され続けるのは、多くの人にとって教科書問題が身近で、「教育と政治」の関係がこれからの社会を考えるうえで重要であるからだろう。

斉加 尚代(さいか・ひさよ)プロフィール

 毎日放送報道情報局ディレクター
1987年、毎日放送入社。報道記者などを経て、2015年からドキュメンタリー担当ディレクター。

 『映像’15 なぜペンをとるのか~沖縄の新聞記者たち~』(2015年9月)で、第59回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞、『映像’17 沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~』(2017年1月)で、平成29年民間放送連盟賞テレビ報道部門優秀賞、第37回「地方の時代」映像祭優秀賞、第72回文化庁芸術祭優秀賞など。

 『映像’17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか~』(2017年7月)で、第55回ギャラクシー賞テレビ部門大賞、第38回「地方の時代」映像祭優秀賞。

 『映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~』で、第39回「地方の時代」映像祭優秀賞など。

 個人として「放送ウーマン賞2018」を受賞。著書に『教育と愛国~誰が教室を窒息させるのか』(岩波書店)、『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』(集英社新書)。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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