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岸田國士戯曲賞に市原佐都子さん「バッコスの信女―ホルスタインの雌」、谷賢一さん「福島三部作」

白水社のWEBサイトによると、同社が主催する第64回岸田國士戯曲賞の選考会が2020年2月13日、東京都内で開かれ、市原佐都子さんの「バッコスの信女―ホルスタインの雌」、谷賢一さんの「福島三部作(「1961年:夜に昇る太陽」「1986年:メビウスの輪」「2011年:語られたがる言葉たち」)」が選ばれた。正賞は時計、副賞は各20万円。授賞式は3月31日に東京神田錦町・學士會館で開かれる。市原さんの作品は、あいちトリエンナーレ2019(トリエンナーレで配られた公演パンフレット)で上演された。
 選考委員は、岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、柳美里の各氏。
 市原佐都子さんの「バッコスの信女―ホルスタインの雌」について、岩松さんは「一人の主婦を凝視し、その性をコロスを使った古代ギリシャ劇の形式を用いて表現した。すべての言葉、人物、小道具が演劇の面白さを伝えて、圧倒的な傑作である」とコメント。
 谷賢一さんの「福島三部作」について、柳美里さんは「1961年に、原発誘致によって『明るい未来』を眼差した福島県双葉町の住民は、50年後の2011年に、原発事故によって未来への眼差しを封じられる。谷賢一は『福島三部作』によって、その視界のギャップを埋めることなく、そのまま観客であるわたしたちに突き付けてくる。観客席に座っていていいのか? 『福島三部作』は、わたしたちの『良心』の居心地を悪くする戯曲である。3月4日に双葉町の避難指示は一部解除され、3月14日にJR常磐線は9年ぶりに全線開通する。谷さんには、今後の50年を射程に捉えた第四部を書いていただきたい」とコメントした。 
 市原さんの「バッコスの信女―ホルスタインの雌」は、あいちトリエンナーレ2019の一環で、2019年10月11日~10月14日に愛知県芸術劇場小ホールで初演があった。谷さんの三部作の初演は、2019年7月6日~9月8日。会場は、福島・いわきアリオス小劇場/東京・東京芸術劇場シアターイースト/大阪・in→dependent theatre 2ndだった。
 最終候補作品は、下記の通り。
市原佐都子「バッコスの信女 ― ホルスタインの雌」(上演台本)
岩崎う大「GOOD PETS FOR THE GOD」(上演台本)
キタモトマサヤ「空のトリカゴ」(上演台本)
ごまのはえ「チェーホフも鳥の名前」(上演台本)
谷賢一「福島三部作 1961年:夜に昇る太陽/
          1986年:メビウスの輪/
          2011年:語られたがる言葉たち」(上演台本)
西尾佳織「終わりにする、一人と一人が丘」(上演台本)
根本宗子「クラッシャー女中」(上演台本)
山田由梨「ミクスチュア」(上演台本)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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