(C)Camilla Greenwell
英国発、自然と動物たちの賛歌
名古屋・栄の愛知県芸術劇場大ホールで2025年6月28日午後4時から、アクラム・カーン『ジャングル・ブック』が上演される。
英国の作家、キプリングの名作を世界的振付家のアクラム・カーンが独自の解釈で舞台化した自然と動物たちへの愛と畏敬の物語。世界ファイナル・ツアーの一環である。
気候変動によって海が陸地を覆いつくし、人々は生き延びるため次々と祖国を去っていく。不穏な同盟を結びながら、動物たちが縄張りを張る荒れ果てた街。そこにたどり着いたのは家族と引き裂かれた一人の子どもだった。
「モーグリ」と名付けられ、動物たちと暮らす少女は、ジャングルと化した世界で何を見つめ、どんな決断を下すのかー。
世界中で愛されるジョセフ・ラドヤード・キプリングによる『ジャングル・ブック』。かつてピーター・ブルック『モーグリの冒険』で主人公モーグリを10歳で演じたアクラム・カーンが、再び物語と対峙した。
ダンス、アニメーション、音楽に誘われ、人と動物、そして、この地球に共に生きる全てのものたちが声を上げる。不確かな時代に生きる私たちが、未来へのバトンを渡すために今何ができるのか。アクラム・カーンが贈る私たち自身の物語である。

公演情報
公演日時:2025年6月28日(土)16:00開演
※客席開場は開演の30分前
※上演時間は約2時間10分(休憩20分含む)予定
※英語上演、一部日本語字幕あり
会 場:愛知県芸術劇場 大ホール
主 催:愛知県芸術劇場
TEL / 052-211-7552 FAX / 052-971-5541 Email / contact@aaf.or.jp
後 援:ブリティッシュ・カウンシル
チケット:全席指定
S席 6,500円(U25 3,500円) A席 5,000円(U25 2,500円) B席 3,000円(U25 1,500円)
※【劇場と子ども7万人プロジェクト対象公演】小・中・高校生を公演に招待。数量限定、座席選択不可。
※U25は公演日に25歳以下対象(要証明書)。
※車椅子席・ヒアリングループ席および団体割引(10名以上)は劇場事務局 で取り扱い。
※未就学児入場不可(10歳以上推奨)。託児サービスあり(有料・要予約)。
チケット取り扱い
☆愛知県芸術劇場オンラインチケット
☆愛知芸術文化センタープレイガイド(地下2 階)
☆チケットぴあ [P コード:532-229]
https://t.pia.jp

(C)Camilla Greenwell
公演概要
アクラム・カーン『ジャングル・ブック』 Akram Khan’s “Jungle Book reimagined”
世界初演:2022年4月2日カーヴシアター(レスター・英国)
上演時間:約2時間10分(休憩20分含む)予定 英語上演・一部日本語字幕あり
演出・振付:アクラム・カーン
出演:アクラム・カーン・カンパニー
クリエイティブ・アソシエイト&コーチ:マーヴィン・クー
脚本:タリク・ジョーダン
ドラマトゥルギー・アドバイザー:シャロン・クラーク
作曲:ジョスリン・プーク
音響デザイン:ギャレス・フライ
照明デザイン:マイケル・ハルズ
舞台美術:ミリアム・ブーター
アート・ディレクション&アニメーション・ディレクター:アダム・スミス(YeastCulture)
ビデオデザイン・プロデューサー&ディレクター:ニック・ヒレル(YeastCulture)
ロトスコープ・アーティスト&アニメーター:ナーマン・アザリ、ナターシャ・セトナー、エドソン・R・バザーリン
アクラム・カーン Akram Khan [ダンサー・振付家]

(C)Camilla Greenwell
英国ロンドン生まれのバングラデシュ系イギリス人。コンテンポラリー・ダンスと北インドの古典舞踊「カタック」をユニークに融合させ、異文化を越境する表現活動を精力的に行っている。
90年代からソロ作を発表。2000年には自身のカンパニーを設立。想像力にあふれた今日的意義を持つ創作活動と、親密かつ壮大なストーリーテリングにより、フィナンシャル・タイムズ紙で「途方もないことを途方もなく語る」アーティストと評された。
シディ・ラルビ・シェルカウイ、シルヴィ・ギエム、イスラエル・ガルバン、女優ジュリエット・ビノシュやイングリッシュ・ナショナル・バレエなど、ジャンルを超えた数々のコラボレーションが大きな注目を集める。
2012年夏のロンドン・オリンピックでは開会式の一場面で振り付け・出演をし、絶賛された。
ローレンス・オリヴィエ賞、ベッシー賞、ISPA(国際舞台芸術協会)特別芸術家賞、サウスバンク・スカイ・アーツ賞、批評家協会によるナショナル・ダンス賞など受賞多数。
現在、サドラーズ・ウェルズ劇場やマウントビュー・アカデミー・オブ・シアター・アーツ、カーヴシアターのアソシエイト・アーティストを務める。

(C)Camilla Greenwell
アクラム・カーンが語る『ジャングル・ブック』
なぜ?
『ジャングル・ブック』の物語は常に私にとって身近にありました。若い頃、インドの舞台でモーグリの役を演じたからだけでなく、むしろ物語に秘められた3つの深い教訓のためです。種族間の共通点、人間・動物・自然の相互依存、そして最後に、家族ーつまり私たちはどこかに属する必要があるーという教訓です。
私たちは今、これまでにない未曽有の不確かな時代を生きています。私たちの種族だけでなく、この惑星のすべての種族にとって。このジレンマの根本的な原因は、私たちが私たちの家、つまりこの惑星とのつながりを忘れてしまったからです。
私たちは皆、ここに住み、ここから吸収し、ここに生活を築いています。でも、それに敬意を返すことを忘れてしまいました。より明るい未来のためには、草の根から変化を起こさなければならないと信じています。
そのため、私は『ジャングル・ブック』として愛されている物語を、すべての文化の子どもたちや大人たちと共有する使命を感じています。私たちの種族が忘れてしまったことを、再び学ぶために。そして、私はこの物語を伝え、最も力強く心に到達できる方法は、ダンス、音楽、そして劇場の魔法を通じてであると信じています。
何を?
この舞台では極めて独自な解釈で、ジョセフ・ラドヤード・キプリングの原作を辿ります。ですが、モーグリと原作の物語の主要キャラクターたちが、この新しいバージョンにも登場します。そしてオリジナルの音楽が寄り添います。
どのようにして?
私は原作に含まれる深いメッセージを非常に強く意識しています。そのメッセージの強力さと今日の世界との関連にも気づいています。そして、常に言葉の前に行動が来ると信じています。
そのため、この作品の製作においては、気候変動の問題に対して直接的な行動を取ることに決めました。気候変動は美しいこの惑星に住むすべての生き物に影響を与えており、これからも影響し続けるでしょう。
では、身軽に旅ができるように、より少ない舞台装置で作品を創るにはどうしたらよいか?ロックダウン以降、以前とは異なるやり方で、私たちはテクノロジーを利用しています。テクノロジーはシンプルに、愛する人々や芸術家チーム、そして広い世界とつながることを可能にしてくれました。テクノロジーを使わなければ、私は本当に孤独に感じていたでしょう。
『ジャングル・ブック』の再構築版では、舞台はほとんど空っぽです。伝統的な舞台装置はありません。テクノロジー、つまり映像プロジェクションを舞台美術として用いることで、それを実現しました。
私たちは、しばしば最も単純な道具で素晴らしい物語を語ることができることを忘れてはなりません。私たちの体、私たちの声、そしてその物語への確信。ーアクラム・カーン