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「東京裁判」名古屋シネマテークで9月21日からアンコール上映

ドキュメンタリー映画「東京裁判」の4Kデジタルリマスター版が2019年9月21〜27日、名古屋シネマテークでアンコール上映される。名古屋では、同じ劇場で8月に1週間のみ上映され、大ヒットした。日本の現代史の節目に当たる極東国際軍事裁判(東京裁判)を通して、何が戦争を引き起こしたのか、世界はどう動いたのか、国家の戦争犯罪を裁く、裁かれるとは何を意味するのか等を検証する映像である。敗戦の虚脱と混乱、復興と平和を経て、日本も世界も急激な変化に晒される中、先の戦争と戦後を見つめる貴重な証言と言ってもいい。4時間37分の長尺ながら、史実を展開させながら深く掘り込む映像に緩みはない。底流にあるのは、国家の一員であるという根源的な意味合いにおいて、誰もが「加害者」であり「被害者」でもあるという、戦争の本質を見逃さない視点である。
「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」中止にみられる、歪んだ愛国思想、民族対立、ヘイトや歴史修正主義の問題を乗り越え、戦争と戦後に向き合う意味でも、見るべきラジカルな映像である。監督:小林正樹、音楽:武満徹、ナレーター:佐藤慶
米国防総省が撮影した50万フィートにも及ぶ膨大な裁判記録のフィルムを基に、小林監督が5年の歳月をかけて完成させた。公開は1983年。裁判の実態記録、法廷のやり取りだけでなく、ニュース映像による当時の日本、および世界の情勢、戦時中の歴史事象の検証を含め、日本軍国主義の歩みを世界の激動と連動させながら丁寧に読み解いた映像は、人類社会最大の愚行ともいえる戦争の本質を抉り出す。
亡くなった小林監督に代わり、脚本・監督補の小笠原清さんとエグゼクティブプロデューサーの杉山捷三さんが全面協力した。音響もブラッシュアップされ、とりわけ、昭和天皇の玉音放送のシーンでは、終戦の詔書全文の完全字幕化も実現。鮮明な画像、音響で臨場感がよみがえった。戦争はなぜ起きたのか、戦争は人間をどう変えてしまうのか、歴史はどう動いたのか、戦争責任とは何なのか、戦後はどう始まり、どう変質していったのか・・・。過去を見つめることが、次の世代を築く土台になる。映画を見た一人一人に戦争について責任を持って考えさせる史実がここにある。

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