香港映画祭 2021 シネマスコーレ(名古屋)で12月18-24日

激動の香港! それでも香港映画は永遠に不滅!!

 「香港映画祭 2021」が2021年12月18日〜24日、名古屋・シネマスコーレで開催される。香港の多様性とアイデンティティーを強く意識した7作品を上映。すべて日本初公開となる。

 香港では、2020年に施行された香港国家安全維持法によって、映画への検閲、規制が厳しくなり、言論と表現の自由が狭まっている。

 そんな中にあっても、社会の変化を反映した魅力ある作品は多く生み出され、日本では、2021年6月から全国3都市で「2021年香港インディペンデント映画祭」も開催された。

 今回、初開催となる「香港映画祭2021」は、香港映画の多様な面白さを味わってもらおうと、日本初公開となる商業映画7作品がラインナップされた。

 最近の香港社会の変化を反映して作られた作品を集め、香港映画のアイデンティティーを強く意識した映画に焦点を当てているのが特長。

 このうち、5作品が新人監督の作品ながら、ジャッキー・チュン、カリーナ・ラムなど、香港を代表するベテラン俳優が出演。スター俳優の新たな魅力を引き出した新人監督たちの力量には驚くべきものがある。

リム・カーワイ(映画監督、香港映画祭2021キュレーター)

 本映画祭のキュレーターで、映画監督のリム・カーワイさんがコメントを寄せている。

 香港の言論と表現の自由が、中国により益々厳しくなっていると、最近懸念されている。もちろん映画業界への影響も計り知れない。政治的な影響は、皮肉なことに香港映画の製作形態、内容、ジャンルをさらに豊かに、さらに強靭にした可能性がある。
 香港映画の魅力はエンターテインメントだけではなく、社会の変化、日常生活の問題などに真剣に取り組むという温かい眼差しであり、さらにその豊かな表現力の中にある。初開催となる「香港映画祭2021」は、最近の香港の変化を反映して作られた商業映画を紹介し、香港映画のアイデンティティーを強く意識した映画たちに焦点を当てる。
 本映画祭の開催により、ぜひ香港映画の底力を感じていただき、日本の観客にもっと香港映画の魅力を知ってもらい、香港と日本の文化交流がより深く、より豊かなものになればと期待している。

上映作品概要・7作品

※全作品日本語字幕あり。

『幸福な私』『暗色天堂』『深秋の愛』は権利元 の都合により、上映中止となった。

【A】酒徒

《酒徒》2016年/106min
【監督】フレディー・ウォン 【出演】チャン・グオチュー、アイリーン・ワン、ジョーマン・チャン (C)香港映画祭 2021
◆釜山国際映画祭、バンクーバー国際映画祭ほか

 1960年代の香港、小説家のラウは生活のために、作家として認められないジャンルである武侠小説、 官能小説を書く。

 引っ越すたびに、彼は多くの個性的な女性と出会い、恋に落ちる。女と酒に溺れた彼は、 徐々に人生の深淵に落ちていく…。

 香港文学の最高峰のひとつで、香港では意識の流れの手法を最初に取り入れた小説として知られる劉以鬯(ラウ・イーチョン)の「酒徒」の完全映画化。

 香港映画評論の重鎮、フレディー・ウォンの長編デビュー作。ダメ男のラウを演じきったチャン・グオチュー(『牯嶺街少年殺人事件』)の演技から目が離せない。

 1960年代の香港を見事に再現した美術や衣裳 なども見所だ。

【B】幸福な私(上映中止)

《幸運是我 》2016年/113min
【監督】 ロー・イウファイ 【出演】カラ・ワイ、カルロス・チャン (C)香港映画祭 2021
◆バルセロナ国際映画祭最優秀女優賞

 チャン・カイヨク(ヨク)は幼い頃に両親が離婚し、母と共に広州へ引っ越した。

 母を病気で亡くし た後、父の住む香港に戻るヨク。社会の底辺をさすらう中、認知症を患うツェー・ユエンファン (ファニー)と出会い、彼女のアパートに転がり込むことに。

 年齢も人生経験も全く違う二人が不思 議な同居生活を始め、反発し合いながらもやがて互いを受け入れていく。

 脚本家ロー・イウファイの感動的な監督デビュー作。香港映画を代表する大女優のひとり、カラ・ワイは本作で3度目の香港 アカデミー賞最優秀女優賞を受賞した。

【C】深秋の愛(上映中止)

《愛在深秋》2016年/98min
【監督】リム・カーワイ 【出演】アイリーン・ワン、パトリック・タム、シャーメイン・フォン (C)香港映画祭 2021
◆マカオ国際映画祭最優秀女優賞

 結婚10周年の日に、香港のセレブ女優が上海へ美術商の夫に会いに行く。夫と秘書との不倫に気付 いた彼女は、その裏切りを受け入れられない。

 落ち込んだ彼女は夜の上海・外灘で、タクシー運転手 と出会う。傷心のセレブ女優と、偶然出会ったタクシー運転手の桂林への逃避行を描くロードムービ ーである。

 全編に散りばめた文学的なナレーションと、桂林の美しい景色が相まって映し出される彼女の心境の変化と共に切なさ。

 名匠スタンリー・クワンのミューズとして知られたアイリーン・ワンが久々にス クリーンに戻ってきた記念すべき主演復帰作。

 香港の大手映画会社エンペラーが製作し、日本でシネマ・ドリフターとして知られるマレーシア人映画監督リム・カーワイの幻の日本未公開作。

【D】暗色天堂(上映中止)

《暗色天堂》 2016年/101min
【監督】ユエン・キムワイ 【出演】ジャッキー・チュン、カリーナ・ラム、アンソニー・ウォン (C)香港映画祭 2021
◆台湾ファンタジー映画祭ほか

 多くの尊敬を集め、社会的な名声が高い牧師が、女性の部下にセクハラで訴えられ、地位も名誉も瞬時に失った。

 5年後、二人はある集まりで偶然再会する。過去を振り返ると二人は平行線をたどる ように見えたが、ラストは我々の想像を超える真相が明らかになる。

 香港の人気劇作家、荘梅岩の舞台劇「フレンチキス」の映画化。スキャンダラスな内容はもちろん、スター俳優、ジャッキー・チュ ンとカリーナ・ラムが、巨匠アン・ホイ監督の『男人四十』以来、久しぶりに共演したことも話題をさらった。

 二人の全身全霊の演技合戦は必見! ユエン・キムワイ監督はカリーナ・ラムの夫でもある。

【E】最初の半歩

《點五步》2016年/95min
【監督】スティーブ・チャン 【出演】リウ・カイチー、ラム・イウシン、トニー・ウー (C)香港映画祭 2021
◆香港国際映画祭、香港アカデミー賞ほか

 1984年、英中共同声明が発表されて、香港の中国返還が決まった。未来が不明瞭になった中、 香港初のユース野球チームが発足した。

 10名の野球選手たちは、試合では次々と失敗を繰り返 すが、香港の歴史、運命と共鳴するかのように、時代に翻弄されながらも、常に諦めるか続け るかという心の葛藤と戦っていく。

 やがて、最大のライバル、日本の野球チームとの対戦の日 が来た…。

 新人監督スティーブ・チャンの長編デビュー作ながら、香港版『KANO ~1931 海 の向こうの甲子園~』といわれるスポーツ青春映画の傑作である。

 瑞々しい新人俳優たちと香港最高の俳優の一人で、先日急死したリウ・カイチーの胸に迫る熱演は涙なしでは見られない。

【F】夢の向こうに

《幻愛》2020年/120min
【監督】キウィ・チョウ【出演】テレンス・ラウ 、セシリア・チョイ (C)香港映画祭 2021
◆台北国際映画祭、香港アカデミー賞ほか

 統合失調症から回復したロックは小学校の先生になった。彼は美しいヤンヤンと出会い、彼女に 一目惚れするが、自分の病気を打ち明けるか苦悩する。

 躊躇する中で、彼はまた病気になり、幻覚に取り憑かれるように。そして彼女の存在に疑いを持ち始め…。

 社会派と言われ、『十年』や カンヌ国際映画祭でサプライズ上映された『時代革命』のような政治的な話題作を作ってきたキ ウィ・チョウ監督が、本作で初めてラブストリーに挑戦した。

 2020年度香港映画として最高の興行収入を記録。香港アカデミー賞にも数多くノミネートされ、コロナ禍が続いた香港にお いて、輝かしい功績を残した。

【G】夜の香り

《夜香、 鴛鴦 、深水埗》2020 年/78min (C)香港映画祭 2021【監督】ミンカイ・レオン、ケイト・ライリー 【出演】グレゴリー・ウォン、 ラム・イウシン
◆ロッテルダム国際映画祭、香港インディペンデント映画祭ほか

 四つの短編から構成されたオムニバス。タイの女性監督アノーチャ・スウィチャーゴーンポンとタッグを組んできた香港人撮影監督待望の初監督長編。

 『禁断の都市』(原題:出城記) 世代が異なる二人の女性移民が、田舎から都会へ出かけよう とするが…。

 『玩具物語』(原題:玩具故事) 性格が異なる二人の兄弟が、母が経営する玩具の店で宝探しを始める…。

 『鴛鴦(ユンヨン)』(原題:鴛鴦) 専門分野が異なる二人の中学校教師が、香港、九龍、新界でグルメ巡りをする。最後に辿り着く先は…。

 『深水埗(サムソイポー』(原題:It’s not gonna be fun) 深水埗の区選挙では民主派の女性が立候補して、親中派に真っ向から 挑戦する。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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