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原菜摘 ギャラリーラウラ(愛知県日進市)fleur

ギャラリーラウラ(愛知県日進市) 2020年11月14〜24日

 原菜摘さんは名古屋市生まれ。2009年、愛知県立芸大の彫刻科を卒業している。彫刻科を出ているが、現在は、絵と写真を制作している。

原菜摘

 筆者は見ていないが、2015年のギャラリーラウラの個展では、自画像をモチーフにした木炭による作品などを発表した。今回は、花の写真である。

 原菜摘さんのWEBサイトのプロフィールによると、父親は彫刻家の原裕治さん(1948〜2007年)である。その父親から、彫刻、絵画を学んだという。

 愛知芸大卒業後、ベルリン、ニューヨークに行き、とりわけ欧州の文学、絵画、クラシック音楽に影響を受けた。

原菜摘

 手元にある原裕治展(2012年、愛知・碧南市藤井達吉現代美術館)の図録によると、原さんが亡くなったのは2007年。まだ、59歳だった。

 筆者は個人的に大変お世話になり、美術記者だった30代から親しく声をかけてもらった。2人で東京のホテルで痛飲したこともあった。

ただ、菜摘さんの作品を見るのは初めてである。

原菜摘

 美術評論家で、筆者の師友である馬場駿吉さんがチラシに書いた文章によると、絵画に取り組んできたが、その後、体調不良に苦しみ、今は、花のさまざまな姿態、細部にカメラを向けることで克服しつつあるという。

 菜摘さんのWEBサイトのプロフィールには、次のような文章もある。

影がなければ光は存在しない。


私は画家として黒の中の黒、究極の闇を追求し死の世界に傾倒した。
その結果、健康を害し、一時は芸術活動はおろか、生命の危機にまで直面した。
しかし、長い闘病生活は、死に憧れていた私に生を渇望する自分を見出させた。
私は太陽を欲し、花を愛し、自然の神秘性に触れた。
今、私は光の世界にいる自分を見る。
                             原菜摘
 

原菜摘さんのWEBより
原菜摘

 闘病生活の中で花を見いだし、その自然の神秘、生命力が写真作品のテーマになったのである。

 カラー、バラ、アネモネ、チューリップ、麦などがモチーフである。植物は、聖書から選んだとも聞いた。

「彫刻するように絵画を描き、絵画を描くように写真を撮る」。

 菜摘さん自身がこう書くように、写真でありながら、植物の細部の線と面、質感、光と影を大切にしているせいか、自然であるのに、描いたような(花が自らを表現したような)豊かな表情が現れ、そして、彫刻のような存在感がある。

原菜摘

 この逆説は、存在の神秘ともいうべき生命と形態、線や面、色彩、光と影の結合である。カラーなどの花をモチーフにした一部は、美しい女性の身体のように見える。

amour(愛する)、résurrection(復活)、double(ダブル)などのシリーズがある。

 doubleでは、2つの植物の写真が対話をするように構成されている。

原菜摘

 これらの作品は、デジカメで撮られている。特に大事にしているのは、自然光で撮影することで、画像の加工は一切していないという。

 自然の陽光、空間の中で植物の形態が織りなす光と影、植物の命が交わる瞬間が、菜摘さんの生と結び合う時間。

 命の神秘、自然の豊かさが刻印されたイメージがここにある。

原菜摘
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