日本最終上映! ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ 名古屋シネマテークで

ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ

 2012年に話題を呼んだ特集上映「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」で上映された5作品が2020年12月19〜25日、名古屋・今池の名古屋シネマテークで再上映される。

 『アメリカの影』(1959年)、『フェイシズ』(1968年)、『こわれゆく女』(1974年)、『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(1976年)、『オープニング・ナイト』(1977年)という珠玉の5作品をラインナップ。

 国内上映権の終了間近に伴い、「日本最終上映!」と銘打って組まれた企画である。

 新型コロナウィルスの影響で、特別に上映権許諾期間が2020年末まで延長されたため、実現した。

 ジョン・カサヴェテスは「インディペンデント映画の父」と称され、ジャン=リュック・ゴダールやマーティン・スコセッシ、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュといった世界の巨匠たちから敬愛された。

 ハリウッドの商業主義に対抗し、パートナーである女優ジーナ・ローランズや信頼できる仲間と「自分の撮りたいものを撮る」という信念で、自身の俳優活動で得た収入を注ぎ込んだ。

 1989年に59歳で逝去するまで、カサヴェテスが残した監督作品11本の中から代表作5本を上映。

プログラム

12/19(土)13:40 こわれゆく女16:30 フェイシズ
12/20(日)14:40 アメリカの影16:20 オープニング・ナイト
12/21(月)14:05 チャイニーズ・ブッキー16:35 フェイシズ
12/23(水)14:20 チャイニーズ・ブッキー17:00 アメリカの影
12/24(木)13:50 オープニング・ナイト16:30 フェイシズ
12/25(金)13:35 フェイシズ16:05 こわれゆく女

 

 『アメリカの影』は、マンハッタンで暮らす若者たちのありのままの姿をシナリオなしの即興演出で作り上げたデビュー作。

 『フェイシズ』は、中流米国人夫婦の破綻した関係が崩壊へと至るまでの36時間を描き、ヴェネツィア国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した。

 『こわれゆく女』は、壊れかけた家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いた代表作の一つである。

 『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』は、フィルム・ノワールの雰囲気が漂う異色のサスペンス。

 『オープニング・ナイト』は、有名女優の舞台前の極限の緊張を描き、ジーナ・ローランズがベルリン国際映画祭主演女優賞を受賞した。

『アメリカの影』SHADOWS

 マンハッタンに暮らす若者たちのありのままの姿を描いた、カサヴェテスのデビュー作にして、後の映像作家たちに大きな影響を与えたインディペンデント映画の金字塔。シナリオなしの即興演出で、俳優たちの揺れ動く感情を見事に捉え、映画の新たな方向性を確立した。
1959年/アメリカ/82分/モノクロ/スタンダード
脚本:ジョン・カサヴェテス
音楽:チャールズ・ミンガス
出演:ベン・カラザース、レリア・ゴルドーニ、ヒュー・ハード

『フェイシズ』FACES

 関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサヴェテス一連の作品の原点。アカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ヴェネツィア国際映画祭最優秀主演男優賞、最優秀監督賞。
1968年/アメリカ/130分/モノクロ/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジョン・マーレイ、ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル

『こわれゆく女』A WOMAN UNDER THE INFLUENCE

 精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサヴェテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。
1974年/アメリカ/147分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
出演:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク、マシュー・カッセル

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』THE KILLING OF A CHINESE BOOKIE

 暗黒街のマフィア、ストリッパー、ナイトクラブ、犯罪。フィルム・ノワール的なテーマを持つカサヴェテス作品の中でも特異な1本。2012年に逝去したベン・ギャザラが、巨額の借金を背負いこみ事件に巻き込まれていく場末のクラブのオーナー、コズモを見事に演じ、圧倒的な存在感を示す。
1976年/アメリカ/135分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:フレデリック・エルムス
出演:ベン・ギャザラ、ミード・ロバーツ、ティモシー・アゴリア・ケリー

『オープニング・ナイト』OPENING NIGHT

 一人の有名舞台女優を通して、人が〝老い″を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。ベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサヴェテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。
1977年/アメリカ/144分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ベン・ギャザラ

ジョン・カサヴェテス

 1929年12月9日、米国ニューヨークでギリシャ系移民の子供として生まれる。妻は女優のジーナ・ローランズで、長男のニック・カサヴェテスと次女のゾエ・カサヴェテスは映画監督として活躍。
 テレビや映画で俳優としてのキャリアを積んだ後、出演したラジオ番組中の呼びかけで集まった資金を元手に製作した『アメリカの影』(1959年)で監督デビューした。
 自らが俳優として得たギャラを製作費として注ぎ込みながら、素人とプロの俳優を共演させるなど、大手スタジオの介入がない自主製作による映画作りを信念とし、独自の映画世界を切り開いた。「インディペンデント映画の父」と呼ばれ、後世の映画監督に大きな影響を与える存在になる。
 1989年2月3日、肝硬変のため、ロサンゼルスの病院で他界。59歳だった。

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伝えること、文化芸術とメディアについて

1980年代から、名古屋、東京、関西で文化芸術を見てきた。新聞文化面、専門雑誌、「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、自ら新聞文化欄を編集、美術、映画、演劇などの記事を書いてきた。2000年代に入ると芸術批評誌を立ち上げ、2019年にはWEBメディアを始めた。文化芸術とメディアの関係、その歴史的展開、メディアリテラシー、課題と可能性、レビューや伝わる文章の書き方、WEBメディアの意義、構築方法について、若い世代に伝えたいと考えています。

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