メインビジュアル(C)Yusei Fukuyama
身体の所有がテーマ
名古屋・栄の愛知県芸術劇場小ホールで2025年9月19~21日、ダンス作品兼演劇作品『ダンスの審査員のダンス』が上演される。
愛知県芸術劇場、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」の共同製作で、演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰・岡田利規が作・演出を手がける。
出演は、ダンサーの中村恩恵、酒井はな、島地保武、入手杏奈、俳優の矢澤誠と音楽家の小林うてな。ジャンルを超えた表現者が身体と言葉の交差点で新たな表現に挑戦する。
哲学者・鷲田清一による論考『所有論』(2024年)に着想を得て、「ダンスとは何か」「言葉とは何か」といった根源的な問いを起点に、“所有”という現代的なテーマを提示。私たちを取り巻くあらゆるものに潜む“所有”の概念をダンスと言葉を通して掘り下げる。
愛知での初演を皮切りに、「秋の隕石2025東京」のオープニングを飾った後、高知、長野(上田)、福岡(北九州)へと全国ツアーを行う。

本プロジェクトは、愛知県芸術劇場芸術監督の唐津絵理による発案・企画で始動。ジャンル横断的な表現の可能性を探るシリーズの第3弾として、ダンスと演劇の境界を揺さぶる新たな試みとなる。
唐津はこれまでにも、岡田とバレエダンサー・酒井はなを迎えた『瀕死の白鳥 その死の真相』(2021年初演)、『ジゼルのあらすじ』(24年初演)をプロデュースし、バレエの古典的レパートリーを批評的かつ創造的に読み替える舞台を企画してきた。
前者では全国10都市以上の公演に加え、ニューヨーク、チャタム、サンフランシスコを巡る米国ツアーを成功させ、後者では「死」や「復讐」といった主題をミニマルな身体と精緻な言葉によって再構築。酒井の表現力、岡田の言葉のコラボレーションは高い評価を受けている。
公演情報
公演名:ダンス作品兼演劇作品『ダンスの審査員のダンス』
日 時:2025年9月19日(金)19:00開演(18:30開場)、20日(土)・21(日)14:00開演(13:30開場)
会 場:愛知県芸術劇場 小ホール
作演出:岡田利規
統括プロデューサー:唐津絵理
出 演:中村恩恵/酒井はな/島地保武/入手杏奈/矢澤 誠
出演・音楽:小林うてな
入場料金:全席自由・整理番号付 一般5,000円 U25 2,500円
販売場所
○愛知県芸術劇場オンラインチケットサービス
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/
○愛知芸術文化センタープレイガイド ☎052-972-0430
※平日10:00-19:00 土日祝休10:00-18:00 (月曜定休/祝休日の場合、翌平日)
主 催:愛知県芸術劇場
製 作:愛知県芸術劇場(公益財団法人愛知県文化振興事業団)
舞台芸術祭「秋の隕石」(東京舞台芸術祭実行委員会〔東京都、東京芸術劇場〈公益財団法人東京都歴史文化財団〉〕)
共同製作:Dance Base Yokohama(一般財団法人セガサミー文化芸術財団)
プロフィール
作・演出 岡田利規/Toshiki Okada (演劇作家・小説家)

作・演出_岡田利規(C)Kikuko Usuyama
演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰。2007年に『三月の5 日間』で海外進出を果たして以降、世界90都市以上で作品を上演し続けている。音楽家・美術家・ダンサー・ラッパーなど様々な分野のアーティストとの協働を積極的に行うほか、16年からはドイツの公立劇場レパートリー作品の作・演出を継続的に務めている。

集合写真 左から中村恩恵、矢澤誠、入手杏奈、酒井はな、島地保武
(C)Yusei Fukuyama
中村恩恵/Megumi Nakamura (舞踊家)
ローザンヌ国際バレエコンクールにてプロフェッショナル賞受賞後渡欧。モンテカルロ・バレエ団を経て、イリ・キリアン率いるネザーランド・ダンス・シアターに所属し、世界を牽引する振付家達の創作に携わる。退団後は、キリアン作品のコーチも務め、パリ・オペラ座はじめ世界各地のバレエ団や学校の指導にあたる。2007 年より、活動拠点を日本に移し振付家としての活動を精力的に展開。Noism、K バレエカンパニー、新国立劇場バレエ団等に作品提供するなど活躍の場を広げている。22年よりDaBY(Dance Base Yokohama)のゲストアーティストとして活動。舞踊批評家協会新人賞、芸術選奨文部科学大臣賞、服部智恵子賞、紫綬褒章等多数の受賞歴を持つ。2024年より日本女子体育大学にて准教授を務める。
酒井はな/Hana Sakai (舞踊家)
5歳からバレエを始め、畑佐俊明、牧阿佐美、三谷恭三に師事。1993年牧阿佐美バレヱ団入団、18歳で『くるみ割り人形』主役デビュー。1997年開場とともに新国立劇場バレエ団に移り、プリンシパルとして数々の初演を含む主演を務める。優れた表現力と高い技術に品格の備わった、日本を代表するバレエダンサーのひとり。クラシックバレエを中心にコンテンポラリーダンスやミュージカルにも出演。2013年島地保武とともにダンス・ユニット<アルトノイ>を立ち上げる。芸術選奨文部科学大臣賞(2009年)、第35回ニムラ舞踊賞(15年)、紫綬褒章(17年)、第39回橘秋子賞特別賞(18年)、東京新聞舞踊芸術賞(21年)受賞。 洗足学園音楽大学バレエコース客員教授。DaBY(Dance Base Yokohama)ゲストアーティスト。愛知県芸術劇場ダンスアーティスト。
島地保武/Yasutake Shimaji (ダンサー・振付家)
2004-06年Noism(新潟市)、06-15 年ザ・フォーサイス・カンパニー(フランクフルト)に所属。13年に酒井はなとのユニット<アルトノイ>を結成。16年愛知県芸術劇場製作で環ROYと共作共演の『ありか』を初演以来10年にわたり国内外で再演し続けている。ダンスを軸に多岐にわたり活動している。DaBY(Dance Base Yokohama)ゲストアーティスト。愛知県芸術劇場ダンスアーティスト。
入手杏奈/Anna Irite (ダンサー・振付家)
静岡県出身。桜美林大学文学部総合文化学科卒業。コンテンポラリーダンスを木佐貫邦子に師事。近年の主な出演作に【舞台】『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』(白井晃演出)、『夜の女たち』(長塚圭史演出)、『バナナの花は食べられる』(山本卓卓作・演出)、『ジャズ大名』(福原充則演出)、『愛と正義』(山本卓卓作・益山貴司演出)等。また『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』(ノゾエ征爾作・演出)に振付、『僕だけが正常な世界』(水野美紀作・演出)に振付、出演。YUKI、スキマスイッチ等多数の音楽PV に振付、出演。「第1 回ソロダンサフェスティバル2014」最優秀賞受賞。桜美林大学非常勤講師。
矢澤誠/Makoto Yazawa (俳優)
大学在学中より演劇活動を始める。1年間の新聞社勤務を経て、NODA・MAP『ローリング・ストーン』(作・演出 野田秀樹)に出演。以降、独自の身体感覚を活かし、様々な演出家・振付家の作品に参加。これまでに、ミクニヤナイハラプロジェクト(作・演出 矢内原美邦)、カムカムミニキーナ(作・演出 松村武)、遊園地再生事業団(作・演出 宮沢章夫)、カンパニーデラシネラ(演出・振付 小野寺修二)などに出演。岡田利規作・演出作品では、チェルフィッチュ『わたしたちは無傷な別人である』、『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』、『消しゴム山』、『リビングルームのメタモルフォーシス』などに出演。
小林うてな/Utena Kobayashi (音楽家)
長野県在住。スティールパン、ハープ、マリンバ、シンセサイザーなどを演奏するほか、歌唱の際は独自の言語を用いる。民族音楽とロック、ダブなど様々なジャンルを織り交ぜたバンド「鬼の右腕」でも活動している。