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「シェアの法則」刈谷日劇(愛知県)で2023年12月1日から上映

心のシェアを描いた秀作

 シェアハウスを経営する老夫婦と様々な背景をもつ住人たちとの関わりを描いた映画「シェアの法則」が愛知県刈谷市の刈谷日劇で2023年12月1日から上映される。

 コロナ禍で劇団青年座が上演し、高評価を得た舞台の映画化。主演は、『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、『鍵泥棒のメソッド』『ザ・マジックアワー』などの名脇役として、舞台、テレビ、映画に引っ張りだこの小野武彦。

 脇を固めるのは実力派俳優の貫地谷しほり、人気上昇中の浅香航大、名脇役の鷲尾真知子、ハリウッド作品にも出演の岩瀬顕子、そして小野武彦とはデビュードラマでの共演以来、40年来の仲の宮崎美子。

 舞台版に引き続き、岩瀬顕子が脚本を担当し、『うちの執事が言うことには』の久万真路監督がメガホンをとった。

 描かれるのは、単に住居のシェアでなく、心のシェア。家族、友人、同僚など、あらゆる人間関係で最も大切なのは共感、ゆるしである。

 おざなりの関係になって、自分の価値観で相手をジャッジしてしまう家族と、部屋をシェアすることで他人なのに助け合う住民たち。

シェアの法則

 そんな人間模様が混ざり合うことで、誰もが、認め合い、支え合うことの大切さに気づいていく。シェアの思いが映画の中に静かにあふれてくる展開が見事だ。

 シェアとは、それぞれの人間の違いや、哀しみ、苦しみ、弱さ、失敗、過ちを含めて、相手を受け入れていく温かさ、優しさのことである。

 孤独で、辛いことも多い人生で、相手に心を開き、思いをシェアできた者こそが幸せをリアルにでき、人生を愛と意味で満たすことができる。

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ストーリー

 東京の一軒家で暮らす春山夫妻。自宅を改装して始めたシェアハウスには、年齢も職業も国籍もバラバラの個性的な面々がいて、彼らは互いに協力し合い、時には衝突しながらも、共同生活を営んでいる。

 管理人である妻の喜代子は食事会を開いたり相談に乗ったりと、住人たちの母親のような存在だったが、ふとした事故をきっかけに入院することとなった。

 そこで、しばらくの間、夫の秀夫が妻の代わりを務めることになる。

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 社交的な喜代子とは対照的に、人づきあいが嫌いで誰とも打ち解けようとしない秀夫は、住民からも疎まれ、息子の隆志に対しても厳しく接している。

 そんな中、キャバクラで働いている美穂が勤務先でトラブルを起こし呼び出されることになった。

 自分の価値観でのみ物事を見てきた男が、様々な境遇の人たちと関わる事によって、少しずつ相手を『思いやる』ことを学んでいく物語。

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作品誕生の経緯

 2021年1月、緊急事態宣言下の東京で劇団青年座により上演された舞台「シェアの法則」。

 観客の人数制限など厳しい状況での公演だったが、舞台は好評を博し、2023年度には全国50カ所以上で再演され、8万人以上が観劇した。今回の作品は、その舞台を映画化したものである。

 脚本の岩瀬顕子さんは、4人兄弟の末っ子で、同居していた祖父母も含め、8人家族の一員として育った上、米国で過ごした大学時代はずっと寮生活だったこともあって、シェアハウスでの生活が容易に想像できたという。

 岩瀬さんによると、共同生活を営む上で最も大切な事は、お互いの違いを認め合い、尊重すること。それは、血の繋がらない者同士であっても家族であっても同じである。

 「一番の近道は、相手を知る事」と岩瀬さんは書いている。つまり、相手を理解しようとすること、相手の立場から物事を見てみること。

 より多くの人に、共感することの大切さを感じてほしいとの願いから、岩瀬さんは、映画を製作することにしたという。

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久万真路監督

 1968年、横浜市生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、テレビ番組のADを経て、廣木隆一、富岡忠文、平山秀幸、西川美和、李相日、林海象らの作品に助監督として就く。

 監督作品に、映画では、『うちの執事が言うことには』(2019年)、『増山超能力師事務所 激情版は恋の味』(2018年)、『白鳥麗子でございます! THE MOVIE』(2016年)。

 ドラマに、Netflix オリジナルドラマ 『火花』、ワカコ酒season7(現在放映中)など。

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キャスト

小野武彦
春山秀夫(72)役 / 春山家の主人・税理士

貫地谷しほり
高柳美穂(35)役 / シェアハウスの住人・キャバクラ勤務

浅香航大
春山隆志(30)役 / 秀夫の息子・イタリアンレストラン経営

鷲尾真知子
岩井富子(68)役 / 春山家の隣人

岩瀬顕子
松岡加奈子(45)役 / シェアハウスの住人・外資系企業勤務

大塚ヒロタ
小池一男(45)役 / シェアハウスの住人・秀夫の甥

山口森広
野沢至(34)役 / 役柄: シェアハウスの清掃員

小山萌子
ワン・チン(40)役 / シェアハウスの住人・ラブホテルの清掃員

岩本晟夢
玉田幸平(25)役 / シェアハウスの住人・劇団員

上原奈美
長谷部弥生(52)役 / 不動産管理会社・社員

内浦純一
河合光太郎(43)役 / 隆志の恋人・レストランのシェフ

久保酎吉
鎌田 康(67)役 / 美穂が勤務する工場の社長

宮崎美子
春山喜代子(65)役 / 秀夫の妻

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>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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