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アートサイト名古屋城2025 10月11-19日に開催 川田知志の作品を名古屋城御深井丸に展開

  • 2025年8月20日
  • 2025年9月6日
  • 美術

3回目の「アートサイト名古屋城」

 名古屋市の名古屋城で2025年10月11〜19日、現代アートと史跡が交差する「アートサイト名古屋城2025」が開催される。

 名古屋城を舞台に2023年からスタートしたアートプロジェクトの3回目で、2025年度の開催概要が決まった。

 今秋は、名古屋城の美的技巧や建築構造(テクトニクス)に注目し、フレスコ画の技法を軸に古典から現代まで様々な描画技法を探求してきたアーティスト、川田知志を迎える。

 川田は、本丸御殿の美しい建築構成と障壁画をリサーチし、大型絵画を交えた屋外インスタレーションを構想。日本建築が移築されることや襖絵も切り取られて移動されることを踏まえ、フレスコ画を引き剥がすストラッポの技法を用い、独自の解釈のもと本丸御殿を写しとる。

《築土構木》展示風景 撮影: 来田猛 提供: 京都市京セラ美術館

開催概要

 テーマ|結構のテクトニクス 
キュレーター|服部浩之 
アーティスト|川田知志 
会場|名古屋城 御深井丸  
会期|2025年10月11日(土)ー10月19日(日)
開園時間|9:00ー19:30(閉門20:00)
作品観覧時間|10:00ー19:30
*18日(土)、19日(日)は16:30まで(閉門17:00)
*西の丸御蔵城宝館への入場は16:00まで
*本丸御殿への入場は19:00までで、17日(金)ー19日(日)のみ16:00まで
*天守閣には現在入場できない 
観覧料|大人:500円 中学生以下:無料
*18日(土)、19日(日)は「名古屋まつり」のため無料開放
*名古屋市内高齢者(敬老手帳持参の方):100円
*障害者手帳をご提示の方:無料(付き添い2名まで)
*名古屋城内への観覧料で「アートサイト名古屋城」を併せて観覧できる
ウェブサイト|https://nagoyajo.art/ 
企画・制作|Twelve Inc. 
主催|名古屋市 

《ゴールデンタイム》2024-25 漆喰、顔料 650×約5000cm 撮影: 福永一夫 提供: 東京都現代美術館 (c)Satoshi Kawata

テーマ|結構のテクトニクス

テーマ|結構のテクトニクス
 アートサイト名古屋城では、名古屋城が取り組んでいる「保存・活用」に着目し企画を進めてきました。2023年には「保存」活動に着目し「想像の復元」というテーマのもと、名古屋城の復元作業に着想を得た作品群を展開し、2024年には「活用」に力点を置き旅の達人・宮本常一の「あるくみるきく」を出発点として、江戸時代から現代まで多彩なアーティストによる旅の表現を紹介し、名古屋城ならではの現代アート展を実施してきました。 

 3年目となる2025年は再び「保存」に注目し、400年続く名古屋城を形成する素材、築城の技術、そして長年の継承から学ぶことで、新たな創造を導くことを提案します。素材・構造・技術の関係性を、美学・文化的側面から捉える構造の表現をテクトニクスといい、積み上げた礎石の上に木造建築物がのる日本の城郭はまさに独自のテクトニクスの賜物と言えるでしょう。また、善美を尽くして物を作ることを「結構」といい、アーティストの創作活動はまさに結構なのです。 

 絵画や彫刻という形式にとどまらない現代アートの作品には、多種多様な素材が用いられています。いわゆる美術とは縁がなさそうな、さまざまな技術が投入され、アーティストたちは歴史化された過去の表現を継承することで新たな作品を生み出してきました。

 「結構のテクトニクス」と名付けられた本展では、最善を尽くして制作された芸術作品(=結構)の根本的な構造表現の美(=テクトニクス)を堪能いただける場を生み出します。フレスコ画を中心に古典から現代まで様々な描画技法を探求してきたアーティストの川田知志が本丸御殿障壁画をモチーフに、大規模な屋外作品を展開する予定です。 

 9日間という限られた時間のなかで、制作プロセス、完成された作品、そこで起こるイベント、そして作品が別のかたちへと姿を変えるまでをお楽しみください。
                  服部浩之(本プロジェクトキュレーター)

 

《瀬戸風景2022》2022 顔料、白絵土、釉薬、タイル 撮影: 横山将基 提供: 愛知県陶磁美術館

見どころ

1/1スケールの本丸御殿が御深井丸(おふけまる)に浮かび上がる
 これまでフレスコ技法を軸に、壁画の制作・解体・移設を行ってきた川田知志は、本丸御殿の障壁画に着目。
 本丸御殿の障壁画は、1945年の名古屋空襲で焼失を免れた襖絵や天井絵などが重要文化財に指定され、大切に保管されている。また、それらを復元模写することで、後世へ継承する取り組みも行われている。
 川田はその中でも、空襲で失われた「壁貼絵」に焦点を当て、当時描かれたモチーフを独自の解釈で描き直す。そして、フレスコ画のストラッポ(引き剥がし)技法を用い、名古屋城の北西に位置する広大な御深井丸の地形に沿って、本丸御殿を1/1スケールで写しとり展開した空間に「壁貼絵」を配置。
 さらに、本丸御殿を支える「礎石」は、かつて御深井丸の北側(今の名城公園北園を中心とする二之丸北部の場所)にあった下御深井御庭(したおふけおにわ)で焼かれていた御深井焼(おふけやき)に倣った陶板へと置き換えられる。
 「壁貼絵」と「礎石」をたどることで、素材や構造、技術をふまえた意匠の美しさや文化的な意味に光を当てる<テクトニクス>の視点から、本丸御殿を想像の中に立ち上がらせます。名古屋城の自然環境と歴史的背景を併せもつ御深井丸という特別な場に創出する大規模なインスタレーションを見ることができる。

イベント

【EVENT】※雨天中止
10/12(日)
13:30〜14:30 トーク1「川田知志のテクトニクス」 
 出演:川田知志(アーティスト) 
 聞き手:服部浩之(キュレーター)
15:00〜16:00 トーク2「御深井焼のテクトニクス」 
 出演:川田知志(アーティスト)、佐久間真子(愛知県陶磁美術館) 
 聞き手:山城大督(コミュニケーションプログラムディレクター)
10/13(月・祝)
13:30〜15:00 パフォーマンス「SOUND OF AIR 精油蒸留の実演」
10/18(土)
13:30〜15:30 トーク3「樹木医から診る名古屋城のカヤの木2025(精油蒸留の実演付き)」
 出演:寺本正保(岩間造園株式会社 取締役 事業部長、樹木医) 
 聞き手:山城大督 (コミュニケーションプログラムディレクター)
10/19(日)
14:00〜15:00 パフォーマンス「サウンドのテクトニクス」

*ゲスト調整中
【WORKSHOP】「KEKKOなハンカチ」作品を鑑賞したあとは手を動かしてみよう!カラフルな色を配置してオリジナルのハンカチがつくれます。(有料・毎日開催・受付10:00〜16:00)

アーティスト|川田 知志 Kawata Satoshi 

 2013年京都市立芸術大学大学院絵画専攻修了。京都府在住。
 時代ごとに変化する建築と空間芸術の関わりを、フレスコ技法を軸にした壁画の制作、解体、移設により可視化する作品制作を行なう。
 主な個展に「Techne for the public」京都市京セラ美術館ザ・トライアングル (2024)、「彼方からの手紙」アートコートギャラリー (2022、大阪)。
 主なグループ展に「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」東京都現代美術館 (2024)、「ホモ・ファーベルの断片―人とものづくりの未来―」愛知県陶磁美術館 (2022)。
 主な受賞歴に京都府文化奨励賞 (2025)、第2回絹谷幸二賞大賞 (2025)。

過去のアートサイト名古屋城

・アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう 2024年11月28日-12月15日に開催⇨こちら

・名古屋城を舞台にしたアートプロジェクト「アートサイト名古屋城 2023 想像の復元」2023年11月29日-12月10日に開催⇨こちら

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