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2026-2027年 首都圏の主な展覧会 東京、神奈川(横浜)、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、山梨の美術館・博物館(随時更新)

  • 2025年11月24日
  • 2025年12月21日
  • 美術

2025-2026年 首都圏の主な展覧会 東京、神奈川(横浜)、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、山梨の美術館・博物館(随時更新)はこちら

目次

国立西洋美術館

☆オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語 2025年10月25日~2026年2月15日⇒公式サイト

 印象派といえば、戸外の風景を移ろう光とともにとらえた絵画がまず思い浮かぶのではないだろうか。とはいえ、彼らの最初のグループ展が開かれたのは、1870年代の近代都市パリ。室内を舞台とした作品も多く描かれ、とりわけドガは室内における鋭い人物表現にこそ本領を発揮し、ルノワールも親密な雰囲気に浸された室内画を得意としていた。印象派の画家たちがもともと私邸の壁面装飾として描いた作品も少なくない。印象派と室内は思いのほか深い関係を結んでいたのだ。本展では、「印象派の殿堂」ともいわれるパリ・オルセー美術館所蔵の傑作68点を中心に、国内の重要作品も加えた約100点により、室内をめぐる印象派の画家たちの関心のありかや表現上の挑戦をたどる。オルセー美術館の印象派コレクションがこの規模で来日するのはおよそ10年ぶり。新鮮な視点から印象派の魅力を実感できる貴重な機会となる。

☆小企画展 物語る黒線たち――デューラー「三大書物」の木版画 2025年10月25日〜2026年2月15日

 「彼が単色で、すなわち黒線を使って表現していないものがあるだろうか」――15世紀末から16世紀初頭にかけて、ドイツの地にあらたなルネサンス芸術を切り拓いたアルブレヒト・デューラー(1471−1528年)は、くしくも自身が亡くなる年に、よく知られた人文主義者ロッテルダムのエラスムスによってそう評された。デューラーの芸術の核にありつづけたのは、エラスムスが述べたとおり、色彩を欠いた「黒線」だった。彼はそれを前例のないやりかたで操ることで、あらゆる事物や現象、いや、不可視の対象や出来事をも描きだそうとした美術家だった。そして、複製媒体である版画の技術的な可能性や表現のポテンシャルをデューラーほどに鋭く見抜き、それらをおのれの手で途方もなく大きく拡張した人物は、美術史上、ほかにいなかったといわなければならない。黒いインクで印刷された無数の版画が、彼の実験的な造形思考を、空間的に隔てられた各地へ、時間的な距離を超えて後世へと運び、さまざまなひとびとのもとに届けたのである。この小企画展では、デューラーがみずから出版者となって1511年に刊行したいわゆる「三大書物」――つまり『黙示録』(ラテン語版再版)、『大受難伝』、『聖母伝』という、当時としてきわめて劃期的だった活字印刷本の木版画群を、一挙にすべて披露される。1959年に開館した国立西洋美術館は、近代美術ばかりでなくオールド・マスターの作品も本格的に収集してゆくという方針を1968年の着任後に打ちだした第二代館長の山田智三郎のもと、1970年度にデューラーの木版画連作『大受難伝』を取得した(ただし、一葉のみは1974年度に購入)。これらは、それ以降に国立西洋美術館がオールド・マスターの版画コレクションを築いてゆくうえでの重要な出発点になったといえる。そして半世紀のときを経て、2020年度に『黙示録』、2022年度には『聖母伝』の購入が叶ったことで、われわれの美術館はついに、デューラーの「三大書物」の木版画をあまねく所蔵するに至った。展示する「三大書物」の各木版画は、裏面や欄外にラテン語の活字テクストが印刷された1511年の正式出版時の貴重なエディションの作品となる。デューラーがそれらの木版画を物語連作としてのみならず、書物として発表することを念頭に置いて制作していたという事実を示すべく、エディションにこだわりながら、多年にわたって慎重に購入を進めてきたためだ。本展ではまた、デューラーが『黙示録』、『大受難伝』、『聖母伝』を生みだすにあたって造形的に刺戟を受けたと考えられる先行世代の美術家たちの作品を導入部で紹介する。くわえて、そうしたデューラーの「三大書物」の木版画に触発されてつくられた後続世代の産物もあわせて展示することで、造形思考の連鎖やその多元的なネットワークを浮かびあがらせる。

☆フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会” 2025年10月25日〜2026年5月10日

 ブリュージュのフルーニング美術館と国立西洋美術館には、キリストの使徒、聖ヤコブの生涯の物語場面を描いた板絵がそれぞれ所蔵されている(以下、ブリュージュ作品・東京作品)。両作品は1909年当時、ロンドンのファー画廊にあった。その後、ブリュージュ作品は1911年までにパリのクラインベルガー画廊へ移り、1912年にフルーニング美術館に入っている。クラインベルガー画廊が1911年に作成した目録に東京作品の記録はなく、これ以前に2点は分かたれていたと考えらる。東京作品は20世紀初頭に松方幸次郎によって購入され、日本に送られた。そしてその後、国内の個人コレクションを経て、2017年に国立西洋美術館に取得された。2017年の取得に際して、国立西洋美術館では作品調査を実施し、その結果、東京作品がブリュージュ作品と、かつて同一の祭壇装飾ないし連作に属したものであることが確認された。この再発見を機に企画された本展では、20世紀初頭にベルギーと日本に分かたれた二作品の100年越しの「再会」を図る。2017年以降、フルーニング美術館、国立西洋美術館を中心に進めてきた作品調査の成果を、展示、講演会、論文集によって紹介する。

チュルリョーニス展 内なる星図 2026年3月28日~6月14日公式サイト

 リトアニアを代表する芸術家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875-1911)。祖国リトアニアにおける生誕150周年の祝賀ムードを引き継いで開催される本展は、日本では34年ぶりの回顧展。国立M. K. チュルリョーニス美術館が所蔵する主要な絵画やグラフィック作品、約80点を紹介する。人間の精神世界や宇宙の神秘を描いた幻想的な作品の数々のうち、謎に包まれた最大の代表作《レックス(王)》が日本で初公開。また、音楽形式を取り入れた連作や、自身の手になる楽譜、展示室に流れる旋律をとおして、優れた作曲家でもあった画家の個性と感性を体感する。2000年以降、オルセー美術館(パリ)をはじめヨーロッパ各地で展覧会が開催されるなど再評価の機運が高まるチュルリョーニスの世界を堪能できる。

北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより 2026年3月28日~6月14日

 葛飾北斎(1760–1849年)は、その斬新な構図と、自然や人物を生き生きと捉える卓越した表現力によって、日本国内にとどまらず、西洋美術にも大きなインパクトを与えた。同館で開催した「北斎とジャポニスム」展(2017–18年)でも紹介されたように、彼の影響はモネやドガら印象派の画家たちをはじめ、欧米各地に広がり、さらにはバルト海沿岸に位置するリトアニアの代表的画家、M. K. チュルリョーニスの作品にも見られる。本展は、2024年に井内コレクションから同館に寄託された、北斎の『冨嶽三十六景』(1830–33年頃)を初披露する展覧会。北斎の代表作である本シリーズ全46図を一挙に公開。さらに、特に高い人気を誇る「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」については、それぞれ異なる摺りをもう1点ずつ併せて紹介する。「神奈川沖浪裏」は、現存する中でも類を見ないほど摺り・保存状態に優れた一枚が加わる。また、“赤富士”として知られる「凱風快晴」は、極めて希少な藍摺版、通称“青富士”も特別に展示する。これら全48点を、モネをはじめとする西洋美術コレクションを誇る同館で見ることができる、またとない機会である。

☆版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト 2026年7月7日~9月23日

 オランダ、アムステルダムの中心に位置するレンブラント・ハウス美術館は、レンブラントが1639年から1658年にかけて実際に暮らした家を利用した、世界で唯一のレンブラント専門の美術館である。レンブラントによるエッチング(腐蝕銅版画)の世界有数のコレクションを中心に、同じく素描作品、さらに彼と関連の深い、あるいは、その強い影響を受けた芸術家たちの作品を収蔵している。一方、国立西洋美術館でも、レンブラントのエッチングを重点的な収集の対象としており、《病人たちを癒すキリスト》や《三本の木》など代表作を含む、20点余の作品を所蔵している。今回の展覧会は、この2つのコレクションを組み合わせ、国内の美術館、大学図書館および海外の個人コレクターから拝借した作品や書籍も加えて、レンブラントのエッチングと、それが同時代および続く時代に与えた影響を見ていく企画である。展覧会の前半では、まずレンブラントのエッチングに焦点をあてる。彼は当時、先例より刺激を受けつつ、さまざまな実験的な試みを通してエッチング表現の可能性を追究し、その地平を拡げた。そうして生み出された諸作品は、数世紀にわたって芸術家たちに影響を与え続けている。とくに、19世紀には、エッチング技法そのものの再評価と結びつき、レンブラントのエッチングへの関心は熱狂的な高まりをみせた。展覧会の後半では、そうした事例を、版画のみならず文学や批評なども交えて紹介する。

☆テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話 2026年10月24日~2027年2月21日

東京国立近代美術館

☆所蔵作品展 MOMATコレクション 2025年11月5日~2026年2月8日

 長く国外への貸出が続いていた奈良美智《Harmless Kitty》(1994年)が、約2年ぶりにMOMATコレクションに帰ってきた。写真家の細江英公の初期代表作「薔薇刑」も展示。2024年に逝去された細江の追悼と、被写体となった小説家三島由紀夫の生誕100年記念(2025年)を兼ねる。

☆コレクションによる小企画 没後30年 榎倉康二 2025年11月5日~2026年2月8日

 1960年代末から70年代にかけて、日本の戦後美術は大きな転換期を迎えた。当時の若い作家たちは絵画や彫刻といった旧来の美術表現から離れ、人間の知覚や、存在の成り立ちを根底から問い直すようになる。榎倉康二はこのような潮流を代表する作家であり、しばしば「もの派」と呼ばれる美術動向のなかに位置付けられる。 彼が生涯に残した作品はインスタレーション、写真、版画、絵画など多岐にわたるが、浸透や接触といった物理的現象を契機に呼び覚まされる身体感覚は、この世界に存在する私たちの肉体そのものへと意識を向けさせる。「パリ青年ビエンナーレ」「ヴェネチア・ビエンナーレ」など重要な国際展に参加し、第一線で活躍したほか、東京藝術大学で教鞭を執り、後続する世代の作家にも大きな影響を与えた。榎倉に師事した白井美穂、豊嶋康子の新収蔵作品とともに、その活動の展開と広がりを辿る。

☆アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦 2025年12月16日〜2026年2月8日

 1950年代から60年代にかけて、日本では女性美術家が前衛美術の領域で注目を集めた。後押ししたのは海外から流入した芸術運動「アンフォルメル(非定形)」だったが、次いで「アクション・ペインティング」という様式概念が導入されると、女性画家たちは如実に批評対象から姿を消していくことになった。豪快さや力強さといった、男性性と親密な「アクション」の概念によって、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが生じたからだ。本展は、中嶋泉『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(2019年)で開示された視座を基軸に、日本の近現代美術史の再解釈を試みる企画。ジェンダー研究の観点から美術史の読み直しを図る『アンチ・アクション』の見地を踏まえ、同書で取り上げられた草間彌生、田中敦子、福島秀子の三人をはじめ、これまで中心的に語られにくかったアーティストたちの活動に迫る。今日の美術史研究の成果を広く紹介するととともに、作品の評価というものを考える視点を提供する。

☆下村観山展 2026年3月17日~5月10日⇒公式サイト

 日本画家・下村観山(1873-1930)の、関東圏では13年ぶりとなる大規模な回顧展。紀伊徳川家に代々仕える能楽師の家に生まれた日本画家・下村観山(1873-1930)は、幼時より画の才能を発揮し、橋本雅邦に学んだのちに東京美術学校に第一期生として入学する。卒業後は同校で教鞭を執るも校長の岡倉天心とともに同校を辞職、日本美術院の設立に参加し、岡倉の指導のもとで横山大観、菱田春草らと新時代にふさわしい日本美術の道を切り拓いた。観山は古画の模写・模造事業への参加、1903年からの2か年にわたるイギリス留学・欧州巡遊などを通して自身の高い技術力に磨きをかけていった。《木の間の秋》(1907年)、《小倉山》(1909年)には、その成果として、やまと絵や琳派の技法を十分に消化しつつ、西洋画由来の写実的な表現を融合させた跡がうかがえる。岡倉の没後は《弱法師》(1915年、重要文化財)のように、主題の着想やその表現に創意工夫をこらした作品も生み出された。本展では、観山の代表作により作家の画業を通観するとともに、最新の研究成果も盛り込みながら、日本の近代美術史における観山芸術の意義を改めて検証する。

☆杉本博司 絶滅写真 2026年6月16日~9月13日⇒公式サイト

 様々な領域で活動する現代美術作家、杉本博司(1948-)。小田原文化財団 江之浦測候所をはじめ建築分野でも活躍し、日本の古典芸能など舞台芸術の演出では国内のみならずヨーロッパ数都市やニューヨークにも進出。その活動分野は書、陶芸、和歌、料理と多岐にわたっている。そんな多才な杉本の芸術の原点は銀塩写真にある。確たるコンセプトに基づく、独自の表現による作品はまた、銀塩写真の技術としても頂点を極めるものであり、写真がデジタルに置き換わった今、その技法はまさに「絶滅が危惧される」ものといえる。本展では杉本の初期(1970 年代後半)から現在に至る銀塩写真約65点を展観。写真作品で構成する美術館での個展は、国内では2005年の森美術館以来となる。さらに、所蔵品ギャラリー3階にて同館所蔵杉本作品全点、また未公開資料「スギモトノート」をサテライト展示する。

☆竹久夢二 時代を創る表現者 2026年10月23日~2027年1月11日

 竹久夢二(1884-1934)は、画家、詩人、ジャーナリスト、デザイナー、イラストレーターなど、いくつもの顔をもつ表現者として、明治の終わりから昭和のはじめにかけて活躍した。「夢二式」と呼ばれた女性像や、レトロモダンなデザインによって、大正ロマンを象徴する人物として知られている。田舎への郷愁と都会の洗練を行き来しながら、江戸の面影や異国への憧れとともに、同時代の風俗を描き出した夢二の作品は、雑誌や絵葉書、展覧会などを通して広く大衆に流布し、一世を風靡した。また、暮らしを彩る日用品のデザイン、子どものための本や雑誌作り、流行歌「宵待草」の作詞、関東大震災を記録したスケッチと言葉など、その仕事の同時代や後世への影響は計り知れない。本展覧会は、夢二の代表作として名高い《黒船屋》をはじめ、日本画や油彩画、スケッチ、多種多様なデザイン、スクラップブックなど、全国各地の夢二コレクションの作品を一堂に集めることで、その多岐にわたる仕事に迫る。

東京国立博物館

☆特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」 2025年9月9日~11月30日⇨興福寺公式サイト

 奈良の興福寺の北円堂は、鎌倉時代を代表する仏師・運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える貴重な例として知られている。本尊の弥勒如来坐像と、両脇に控える無著世親菩薩立像は、運慶晩年の傑作である。北円堂は通常非公開だが、弥勒如来坐像の修理完成を記念し、約60年ぶりの寺外公開が決まった。本展では、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像と、かつて北円堂に安置されていたとされる四天王立像の合計7軀の国宝仏を一堂に展示することで、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる。

☆前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」 2026年4月14日~6月7日⇨公式サイト

 加賀前田家は、初代・前田利家としいえが北陸に領地を得て以来、金沢を本拠に、江戸時代を通じて加賀・越中・能登の三か国、百万石以上の規模を誇る大名家として、明治維新に至るまで領国統治を行なった。近代に入って東京に本拠を移し侯爵となった後も、前田家伝来の文化財の保全に努め、16代・利為としなりは、大正15年(1926)に育徳財団(現在の前田育徳会)を設立した。令和8年(2026)、前田育徳会は創立百周年を迎える。これを記念して、加賀前田家歴代当主の事績を振り返るとともに、旧蔵品を含めた「加賀前田家伝来」文化財の全貌を紹介する。前田育徳会収蔵品の大規模な展覧会は、東京では半世紀以上も開かれておらず、その意味でも本展は貴重な機会となる。百万石の城下で花開いた技術と造形を通じて、今に続く加賀文化の美の真髄に迫る。

☆弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」 2026年7月14日~9月6日⇨公式サイト

 真言宗各派総大本山会(各山会)は、真言宗の十八本山で構成されている。2023年に真言宗の宗祖・弘法大師空海の生誕1250年を迎えたのを記念し、各山会加盟の各宗派の本山が総力を挙げて展覧会を開催。真言宗各派総大本山会は、毎年、真言宗最高の儀式とも言われる後七日御修法ごしちにちみしほ大阿闍梨だいあじゃりを、所属する十八本山の管長・山主の中から選出し、執行する。この大阿闍梨が、その年の真言宗長者を務めるのが慣例である。本展覧会は、各派の壁を超えた真言宗十八本山および関係寺院が所蔵する国宝・重要文化財を多数含む寺宝が一堂に会する展覧会。国宝「信貴山縁起絵巻」(奈良・朝護孫子寺蔵)をはじめとする名品の数々、各山会の紐帯となる後七日御修法に関連して、国宝「十二天像」(奈良・西大寺蔵)や重要文化財「聖観音菩薩・梵天・帝釈天立像(二間観音)」(京都・教王護国寺[東寺]蔵)などの寺宝が出品されるほか、秘仏開帳をテーマに「弘法大師坐像」(和歌山・金剛峯寺蔵)や、重要文化財「十一面観音菩薩立像」(三重・観菩提寺蔵)、重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」(大阪・大門寺蔵)といった、普段は目にすることのできない各地の秘仏が並ぶのも見どころとなる。真言宗各派十八本山が誇る選りすぐりの寺宝を、「空海」「後七日御修法」「十八本山」「秘仏」といったテーマで堪能し、弘法大師空海の教えが日本全国に広く浸透し、その教えを守り伝え続けた1200年もの長きにわたる歴史を実感できる。

国立新美術館

☆時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010 2025年9月3日~12月8日

 昭和が終わり、平成の始まった1989年から2010年までに、日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか、本展は、国内外の50を超えるアーティストの実践を検証。この20年間は、冷戦体制が終わり、人、ものが行き来するグローバル化の始まりによって、国際的な対話が大いに促進された時期。同館はアジア地域におけるパートナー美術館、香港のM+との協働キュレーションにより変化に富んだ時代を見つめなおす。本展は、80年代初頭以降の国際化の胎動を扱うプロローグに始まり、続くイントロダクションでは、日本社会が大きな転機を迎えるなか1989年を転換点として登場した、新しい批評性を持つ表現を紹介する。そして、以降の時代を3章のテーマに基づくレンズを通して見つめていきます。1章「過去という亡霊」では戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求を、2章「自己と他者と」では自他のまなざしの交換のなかでジェンダーや文化的アイデンティティを問う実践を、3章「コミュニティの持つ未来」では、既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築に可能性を探るプロジェクトを紹介していく。国内外のアーティストによる実験的挑戦は、時代、社会の動向をとりこむプリズムとなって、さまざまな問いかけを含んだ作品へと反射されていった。この20年間の日本というプラットフォームを国内外の双方向的視点で捉えながら、複数の歴史と文脈が共存する多元的な美術表現の姿を提示する。

☆ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧 2025年9月17日~12月15日

 ローマのハイジュエラー、ブルガリ。その色彩を操る唯一無二の手腕に光を当てる「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」展は、日本におけるブルガリの展覧会としては10年ぶり、過去最大のスケールとなる。「美しい(カロス)」「形態 (エイドス)」を意味するギリシャ語にちなんだ展覧会タイトル「カレイドス」は、美と創造性が調和した、ダイナミックで変化し続ける色彩世界の旅を象徴する。ブルガリ・ヘリテージ・コレクションと貴重な個人コレクションから選び抜かれた色彩のマスターピースというべき約350点のジュエリーは、メゾンの始まりから現在までを跡付けつつ、イタリアと日本の深いつながりを浮き彫りにし、アートとデザインに対する両国共通の情熱や豊かな文化遺産を称える。3名の現代の女性アーティスト、森万里子、ララ・ファヴァレット、中山晃子が、それぞれ色彩についての考察に基づく作品を展示する。ハイジュエリー、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションのクリエーション、現代アート、ブルガリ・ヒストリカル・アーカイブからの貴重な資料、そして没入型のインスタレーションが取り混ぜられた本展覧会は、さまざまな創造性と心を揺さぶる体験が次々と現れる万華鏡のような展覧会。

☆テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート 2026年2月11日〜5月11日

 サッチャー政権時代(1979-90年)の失業率の悪化や不況を経験し、緊張感漂う英国社会では、既存の美術の枠組みを問い直し、作品の制作や発表において実験的な試みをする作家たちが登場した。1990年代に「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれた作家たち、そして、彼らと同時代のアーティストたちは、大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などを
テーマとし、多様な手法を用いて独創的な作品を発表しました。本展では、約60名の作家によるおよそ100点の作品を通じて、90年代の英国美術の創作の軌跡を検証。

☆生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ 2026年4月15日〜7月6日

 1950年代にキャリアを開始した森英恵は、映画衣装の制作で注目されるようになった。母、妻であるだけでなくデザイナーとして活躍していく森は戦後日本で新しい女性像を体現していく。ニューヨーク、パリを舞台にして作品を発表し、日本人として初めて海外で本格的に自身のブランドを確立しただけでなく、日本の布地や職人技を生かして、美意識と技術力を発信し続けた。本展では約400点の作品を通じて、森の活動の全貌を紹介する。

☆ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ 2026年6月10日〜9月21日

 パリの国立ピカソ美術館が所蔵する20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソ(1881-1973)の作品からインスピレーションを得て、伝統的な仕立てと遊び心あふれる色使いで知られる英国人デザイナー、ポール・スミスが会場のレイアウトを考案する。自由な発想で創り上げられた会場構成は、ポール・スミスがデザインする洋服や小物のような色鮮やかさと楽しさに満ちている。ピカソの初期から晩年までの作品群を緩やかな時系列に従って展観。

☆ルーヴル美術館展 ルネサンス 2026年9月9日〜12月13日

 イタリアで花開き、15-16世紀にヨーロッパ各地で隆盛したルネサンス美術の本質的特徴を、ルーヴル美術館の所蔵品から選りすぐられた50点余りの絵画、彫刻、版画、工芸の名品を通して、浮き彫りにしようとする展覧会。初来日となるレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》をはじめ、ルネサンス期の重要な作家たちの作品を紹介する。

☆少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展 2026年10月28日〜2027年2月8日

 少女漫画界を代表する巨匠、萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の画業をたどる三人展を、国立新美術館開館20周年を記念し、開催。萩尾・山岸・大和は、いずれも1960年代後半にデビューし、1970年代には表現の可能性を大きく広げた「少女漫画黄金期」の立役者として活躍した。以来、現在に至るまで精力的に作品を発表し続け、まさに表現の多様性を探求する歴史とともに歩んできた時代の証言者とも言える存在。本展では、三人のこれまでの創作活動を、代表作の原画や貴重な資料を通して振り返るとともに、それぞれの活動の軌跡、創作の源泉に迫る。

国立科学博物館

☆特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」 2025年11月1日~2026年2月23日

☆「ワニ」 2025年11月26日~2026年3月1日

東京都現代美術館

☆TOKYO ART BOOK FAIR 2025 2025年12月11〜14日、19〜21日

 TOKYO ART BOOK FAIR 2025では、独創的なアートブックやZINE(自主制作出版物)を制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら出展者が会場である東京都現代美術館に集結し、それぞれの印刷物の魅力を直接のコミュニケーションをとおして来場者へと伝える。ひとつの国や地域の出版文化に焦点を当てる企画「Guest Country」や、老舗から新進気鋭の出版社、さまざまな分野で活躍するアーティストやデザイナーらを、展示やトークイベントをとおして紹介し、豊かな出版シーンを紐解く。

☆ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー 2025年12月25日〜2026年4月2日

 ソル・ルウィットは1960年代後半、目に見える作品そのものよりも、作品を支えるアイデアやそれが生み出されるプロセスを重視する試みによって、芸術のあり方を大きく転換した。ルウィットの指示をもとに、ほかの人の手で壁に描かれるウォール・ドローイング、構造の連続的な変化を明らかにする立体作品など、その仕事は「芸術とは何でありうるか」という問いを投げかけている。本展では、ウォール・ドローイング、立体・平面作品、アーティスト・ブックといった代表作の数々を通して、既存の枠組みや仕組みに再考を促し、別の構造への可能性を開こうとしてきたルウィットの思考の軌跡をたどる。

☆Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」展 2025年12月25日〜2026年3月29日

 東京都とトーキョーアーツアンドスペースが2018年に創設した海外での活動に意欲がある中堅アーティストが対象の「Tokyo Contemporary Art Award」。第5回の受賞者、梅田哲也(1980‐)と呉夏枝(1976‐)が受賞を経て制作した新作を中心に東京都現代美術館で展示。

☆開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト 中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー 2025年12月25日~2026年4月2日

☆ミッション∞インフィニティ 2026年1月31日〜5月6日

 「ミッション[宇宙×芸術]」展から10年を経て、国際量子科学技術年(2025年)にあわせ、量子の世界を含む「宇宙と芸術」の企画展を開催する。科学者による宇宙研究と、アーティストによる宇宙をテーマとした作品に加え、量子コンピュータによる世界初のアート作品など、多次元的な「時と空間」が不思議なふるまいを見せる「量子」領域に取り組む表現を紹介する。国内外の研究機関でのアーティスト・イン・レジデンス作品や歴史資料をとおして、創造的な発想のヒント=量子的思考を探る試みである。

☆エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし 2026年4月25日~7月26日

 アメリカを代表する絵本作家エリック・カール(1929-2021)の回顧展。ページごとに紙のサイズが変わり、あおむしの食べた跡が穴で表現されている絵本『はらぺこあおむし』は、現在でも世界中のこども達に愛されている。本展は『はらぺこあおむし』日本語版50周年を記念して、米国・マサチューセッツ州にあるエリック・カール絵本美術館と共に開催。『はらぺこあおむし』(1969年)や『パパ、お月さまとって!』(1986年)、『10このちいさな おもちゃのあひる』(2005年)など27冊の絵本の原画にあわせ、グラフィックデザイナー時代の作品、アイディアの最初の構想段階で作られるダミーブック、コラージュに使用する素材(色や模様をつけた紙)など、約180点を展示する。

☆多田美波 2026年8月29日~12月6日

 彫刻からレリーフ、シャンデリア、建築の仕事まで、多彩な分野で活躍した多田美波(1924–2014)の、東京では35年ぶりとなる個展を開催。高度経済成長を期に次々と生まれた工業素材や技術を芸術表現へ取り入れた先駆者であり、近年も国内外で再評価が高まる女性作家の軌跡をたどる。初期の絵画作品から、光の反射や透過を取り入れた代表的な彫刻、建築空間のための造形作品までを、関連資料とともに展覧する。

☆共時的星叢―時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし 2026年9月5日~12月13日

 日本と台湾における近代の受容と発展を、美術、映画、文芸、音楽など多様な芸術文化を切り口に再考する。映画監督・黄亜歴(ホアン・ヤーリー)は映画『日曜日の散歩者』で、日本統治下の1930年代台湾で結成されたモダニズム詩社「風車詩社」の文化的交流や葛藤を斬新な手法で描いた。その実験的な映画言語を反映した空間で、時代や地域、ジャンルを越え表現を共鳴させることで、現代の視点から近代を見つめ直す試みである。

☆ハンス・ハーケ 2027年2月6日~5月16日

 1960年代のニューヨークで展開されたコンセプチュアル・アートの中心人物として、この運動を、権力・経済・文化が複雑に絡み合うシステムへの批判的な問いかけへと導いたハンス・ハーケ(1936年、ドイツ、ケルン生まれ)のアジアにおける初の大規模回顧展。環境問題から政治的・企業的権力への追及まで、歴史的な作品やプロジェクトを幅広く紹介し、ハーケの実践とその現代における意義を包括的に提示する。

☆サンプライド財団との共催展 2027年2月6日~5月16日

 サンプライド財団は、性的少数者(LGBTQ+)を含めた全ての人々の共存と平等の実現に貢献することをミッションに、作品収蔵や展示活動等を行っている。同財団と連携する本展覧会は、ジェンダーとセクシュアリティに関する今日的な問いをテーマに、収蔵作品、作家からの借用作品ならびに委嘱作品で構成する国際グループ展である。

☆MOTアニュアル2026 2027年2月20日~5月30日

 MOTアニュアルは、多様な文化や表現が交差する東京を拠点に、現代美術の一側面を切り取り、問いや議論の契機を生むグループ展です。
「MOTアニュアル2026」では、現代美術、舞台芸術、実験音楽を横断する若手アーティストたちの多彩な試みを紹介し、身体を通して過去と現在をつなぎ、感覚や体験に新たな地平を開く。とくに、個人や社会の記憶を呼応させるパフォーマンスに焦点を当てる。

東京都美術館

☆ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 2025年9月12日~12月21日⇨公式サイト

 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の作品は、今日までどのように伝えられてきたのか。本展は、ファン・ゴッホ家が受け継いできたファミリー・コレクションに焦点を当てる。フィンセントの画業を支え、その大部分の作品を保管していた弟テオは兄の死の半年後に生涯を閉じ、テオの妻ヨーが膨大なコレクションを管理することとなる。ヨーは義兄の作品を世に出すことに人生を捧げ、作品を展覧会に貸し出し、販売し、膨大な手紙を整理して出版するなど、画家として正しく評価されるよう奔走した。テオとヨーの息子フィンセント・ウィレムは、コレクションを散逸させないためにフィンセント・ファン・ゴッホ財団を設立し、美術館の開館に尽力。人びとの心を癒やす絵画に憧れ、100年後の人びとにも自らの絵が見られることを期待した画家の夢も、数々の作品とともにこうして今日まで引き継がれてきた。本展では、ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ファン・ゴッホの作品30点以上に加え、日本初公開となるファン・ゴッホの貴重な手紙4通なども展示。現在のファン・ゴッホ美術館の活動も紹介しながら、本展をとおして、家族の受け継いできた画家の作品と夢を、さらに後世へと伝えてゆく。

☆上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界 2025年11月18日~2026年1月8日

☆東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき 2026年1月27日~4月12日

 ヨーロッパ北部、スカンジナビア半島の中央に位置する国スウェーデン。本展は、スウェーデン美術黄金期の作品を本格的に紹介する国内で初めての試み。スウェーデンでは、若い世代の芸術家たちが1880年代からフランスで学び始め、人間や自然をありのままに表現するリアリズムに傾倒した。彼らはやがて故郷へ帰ると、自国のアイデンティティを示すべくスウェーデンらしい芸術の創造をめざし、自然や身近な人々、あるいは日常にひそむ輝きを、親密で情緒あふれる表現で描き出した。本展はスウェーデン国立美術館の全面協力のもと、19世紀末から20世紀にかけてのスウェーデンで生み出された魅力的な絵画をとおして、自然と共に豊かに生きる北欧ならではの感性に迫る。

東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展 2026年4月28日~7月5日公式サイト

 20世紀アメリカ具象絵画を代表する画家アンドリュー・ワイエス(1917-2009)の回顧展。91歳で没するまで自分の身近な人々と風景を描き続けたワイエスの作品には、自分のいる側と向こう側を隔てる象徴として窓や扉といったモティーフが多用される。本展はそれらのモティーフを中心に、ワイエスが描いた世界を見ていく。 

☆東京都美術館開館100周年記念 都美セレクション グループ展 2026」 2026年6月10日~7月1日

 従来の発想にとらわれず新しい表現を追求する現代作家たちの創作活動の支援を目的としたグループ展。東京都美術館の展示空間だからこそ実現可能な、グループによる展覧会企画を公募し、審査により選出した3つのグループによる展覧会を開催。

☆企画展「東京都美術館開館100周年記念 この場所の風景-誰のために、何のために、つくられ/記録されてきたのか」(仮) 2026年7月23日~10月7日

 日本初の公立美術館として誕生し、美術家たちの作品発表の場として日本近代美術の展開と共に歩んできた東京都美術館。そこから遠く離れた場所で、発表を前提とせずに私的/個人的に展開された美術活動。それぞれの「100年」を並行して振り返ることで、美術の持つ根源的な意味や、美術館の今後のあり方について再検討する機会を創出する。

☆東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画 2026年7月25日~10月18日公式サイト

 1753年に開館した大英博物館は、世界を代表するミュージアムのひとつ。同館の日本美術コレクションは、海外では最も包括的と評されるほど量・質ともに充実している。そのコレクション形成を支えてきたのは、ジャポニスムが流行した19世紀末以来、海を隔てた異国の地・日本の文化に魅了された人々だった。外科医ウィリアム・アンダーソン(1842~1900)をはじめ、大英博物館に関わった数々の収集家や学芸員の活躍と、その間に築かれたつながりは、国境や時代を越えて広がり、今日まで受け継がれている。本展では、4万点に及ぶ同館の日本美術コレクションから、江戸時代の屏風、掛軸、絵巻の絵画作品と、歌麿、写楽、北斎、広重など代表的な8人の浮世絵師による版画を中心に、優れた作品を厳選して紹介する。さらに、近年の調査成果や収集の背景にも光をあてることで同館が日本美術の収集・研究・保存の第一線で果たしてきた役割をたどる。それは、国際的な文化交流の歴史を振り返ると同時に、大英博物館に受け継がれてきた日本美術の名品と、今日を生きる私たちとのあいだに新たな対話をひらく機会ともなる。

☆東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び 2026年11月14日~2027年3月28日

 「印象派の殿堂」と称されるオルセー美術館のコレクションから、「いまを生きる歓び」をテーマに絵画や彫刻、工芸や写真など約110点を展示。近代化により急速に変わりゆく19世紀から20世紀初頭の社会で生まれた芸術は、絶えざる技術革新の波を生きる今の私たちになお新鮮な視座を示してくれる。ミレー《落穂拾い》をはじめ、ルノワール、モネ、ファン・ゴッホらの作品をとおして、多様な歓びのあり様を紹介する。

☆企画展「東京都美術館開館100周年記念 あなたが世界を読むために」 2026年11月19日~2027年1月11日

 アルベルト・ジャコメッティ、砂澤ビッキ、谷川俊太郎、エレナ・トゥタッチコワ、山西ももの作品を通して、アートを「世界を読む」行為として捉える。身体や言葉、自然を手がかりに表現された作品は、「世界とは何か」という問いを投げかけ、見る者に自身の存在の核心に触れ得るような機会を開いてくれる。

上野の森美術館

☆大ゴッホ展 I.夜のカフェテラス展 2026年5月29日~8月12日⇒公式サイト

☆大ゴッホ展 II.アルルの跳ね橋展 2027年10月~2028年1月⇒公式サイト

《東京・豊洲 ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo》

ラムセス大王展 ファラオたちの黄金 2025年3月8日~2026年1月4日(期間延長)⇒公式サイト

 古代エジプト新王国時代のファラオ、ラムセス大王の生涯と偉業を多感覚に体感する、新しいスタイルのミュージアム。ラムセス2世の棺、動物のミイラ、壮麗な宝飾品、荘厳な王家のマスク、精巧なお守り、豪華な黄金の宝物など、良好な保存状態の遺品を展示。3300年前のサハラ砂漠にタイムスリップし、古代エジプトの遺した唯一無二の文化遺産を鑑賞できる。
 また、人気の没入型バーチャル・リアリティーで、ラムセス王とその妻ネフェルタリに出会える『オシリスへの旅』も。ラムセス2世の残した最も印象的な2つのモニュメント、『アブ・シンベル神殿』と『妻・ネフェルタリの墓』をバーチャル・リアリティーでめぐるツアー。没入感を演出する可動シートで神殿や砂嵐の中を飛び回り、ラムセス大王とも対面する360度没入型アニメーションの旅である(入場料とは別料金)。

東京都写真美術館

☆総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ 2025年8月28日〜12月7日

 ポルトガルの鬼才、映画監督ペドロ・コスタ(1959-)の日本初となる個展。2018-2019年にポルトガル・ポルトのセラルヴェス美術館で開催された大規模個展「companhia」や、「The Song of Pedro Costa」(スペイン、2022-2023年)の開催など、世界が注目するコスタの映像作品に加え、同館の写真・映像コレクションも紹介し、映像とイメージの歴史を浮かび上がらせる。「すべての映画は千の手で書かれた手紙」とするコスタ。その制作方法、社会的構造へのアプローチ、映画史との関係性を、映像にとどまらない写真や資料等によって検証し、コスタの映像世界を紹介する。

☆総合開館30周年記念 日本の新進作家 vol.22 2025年10月2日〜2026年1月7日

 出品作家:スクリプカリウ落合安奈、岡ともみ、呉夏枝、寺田健人、甫木元空

☆総合開館30周年記念 作家の現在 これまでとこれから 2025年10月15日~2026年1月25日

 出品作家:石内都、志賀理江子、金村修、藤岡亜弥、川田喜久治

☆プリピクテ 嵐 2025年12月12日〜2026年1月25日

☆恵比寿映像祭2026 2026年2月6〜23日
☆恵比寿映像祭2026 コミッション・プロジェクト 2026年2月25日〜3月22日

☆APA アワード 2026 2026年2月28日〜3月15日

☆TOPコレクション W.ユージン・スミス 2026年3月17日〜6月7日

 20世紀を代表するアメリカの写真家W. ユージン・スミス(1918-1978)。本展では、1950年代から70年代にかけての作品に焦点を当てる。スミスは1954年に『ライフ』誌を退職し、マンハッタンの通称「ロフト」と呼ばれる場所に移り住んだ。この時期の作品は、従来のジャーナリズム的なスタイルから一歩踏み出し、写真の芸術的な可能性を探求している。セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィス、ボブ・ディランなどの音楽家や、サルバドール・ダリ、ロバート・フランク、ダイアン・アーバスなどの芸術家たちとの交流を通して、多くの作品を生み出したスミス。本展では、その芸術家としての魅力に焦点を当て、作品を新たな視点から探る。

東京都庭園美術館

☆永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーが語るアール・デコ 2025年9月27日~2026年1月18日

 本展は、ヴァン クリーフ&アーペルのハイジュエリー作品を通して「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称 アール・デコ博覧会)」の100周年を祝うもの。ヴァン クリーフ&アーペルは、《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)を含む作品で、この国際博覧会の宝飾部門においてグランプリを受賞した。アール・デコ博覧会はまた、朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)の設計や室内装飾に大きな影響を与えた。本展では、ヴァン クリーフ&アーペルのパトリモニー コレクションを中心とした、歴史的価値が認められた作品を厳選して展示。時代を超えて輝きを放つアール・デコの魅力と、ヴァン クリーフ&アーペルに今なお引き継がれる「サヴォアフェール(匠の技)」の数々が堪能できる。

☆「ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―」 2026年7月4日~9月13日

 20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902-1995)の、国内では約10年ぶりとなる回顧展。オーストリアのウィーンで生まれたルーシー・リーは、ウィーン工芸美術学校で轆轤を用いた制作に魅了され、陶芸の道へと進んだ。作家としての地位を確立しながらも、1938年に戦争で亡命を余儀なくされると、作陶の場を英国ロンドンへ移す。轆轤から生み出される優雅なフォルム、象嵌や掻き落とし技法による独創的な文様、そして釉薬によって生み出される豊かな色彩など、彼女の作品がもつ繊細さと凛とした佇まいは、多くの人々を魅了している。本展では、ウィーンで出会ったヨーゼフ・ホフマンや、ロンドン時代に知り合ったバーナード・リーチ、ハンス・コパーなど、リーと交流のあった作家たちの作品をあわせて展示し、日本を中心とした東洋のやきものとの関係性も見直す。制作初期から円熟期まで、リーが出会った場所、人、もの、時代背景を交えながら作品を紐解くことで、その造形の源泉や作品に表された信念に迫る。

☆マリメッコ展 2026年10月3日~12月20日

 フィンランドを代表するデザイン・ブランド、マリメッコ。1951年の創業以来、世に送りだされたプリント・デザインは3500種類以上にのぼる。鮮やかな色彩と大胆な模様によって、私たちの生活を豊かに彩るデザインは、世代や国境を超えて広く支持されてきた。本展では、貴重なヴィンテージ・ドレスやファブリック、制作過程のイメージなど、多彩な資料を通してマリメッコの創造の美学を明らかにする。

☆リトアニアの手工品展(仮称) 2027年1月16日~3月28日

 様々な苦難の歴史を歩んできたリトアニア。人々は恵まれた自然を崇拝し、穏やかな暮らしをしてきた。自然素材を活かした手作りの品々はシンプルながら、自然や命への感謝や祈りが込められている。近代工業を駆使したアール・デコの装飾空間の中で、素朴な手工品は何を語るのか。その対比が見どころとなる。

森美術館

☆六本木クロッシング2025展 2025年12月3日~2026年3月29日

 「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として2004年から開催しているシリーズ展。森美術館のキュレーターが数名のゲスト・キュレーターと共同で企画し、複数の視点の交差によって日本のアーティストを選出する。既に国際的な活躍が目覚ましいベテランから今後の活躍が期待される新進気鋭の若手まで、また、現代美術のみならず、建築、ファッション、デザインなど、他ジャンルのクリエイターを紹介。シリーズ8回目となる本展では、アジアを拠点にグローバルなアートシーンで活躍するキュレーターたちと協働し、国際的な視点から日本のアートを捉える。多文化主義が進んできた一方で、様々な軋轢や分断に直面する現代において、アーティストたちの活動も影響を受け、変化し、そして、新たな表現を生み出している。日本のアートの今、そしてそれがより大きな文脈の中でどのような意義を持っているのかを改めて検証する。

☆ロン・ミュエク 2026年4月29日~9月23日

 ロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ、英国在住)は、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術作家。人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品は、洗練され、生命感に溢れ、孤独、脆さや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現している。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展(1997年)への参加で注目を集めて以来、世界各地で個展を開催してきた。実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さく造られるその彫刻は、私たちの知覚に対する先入観への挑戦でもある。同時に、実際に存在していそうであるというリアリティに肉迫する一方で、鑑賞者一人ひとりの解釈や思索を促す曖昧さも残している。神秘的でありながら圧倒的な存在感を放ち、私たちと身体との関係、そして存在そのものとの関係を問いかける。本展は、作家とカルティエ現代美術財団との長きに渡る関係性によって企画されたもので、2023年パリの同財団での開催を起点とし、ミラノとソウルを経て、森美術館で開催される。日本では、2008年に金沢21世紀美術館で回顧展が開催されて以来、2度目の個展になる。大型作品《マス》(2016-2017年)など作家の主要作品を中心に初期の代表作から近作まで11点を展示し、作品の発展の軌跡を深く洞察する。そのうち6点は日本初公開で、特に初期の代表作《エンジェル》(1997年)の出展はまたとない機会になる。また、フランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、作家のスタジオと制作過程を記録した貴重な写真作品と映像作品も併せて公開し、ミュエクの比類なき彫刻がどのように生み出されるのかを明らかにする。

☆森万里子展 2026年10月31日~2027年3月28日

 森万里子は、美術、哲学、科学を統合させ、未来を展望する作品を発表してきた。1990年代に、ポストヒューマン、サイボーグ的アイデンティティを演じる作品で国際的に注目されたのち、彼女の関心は、近未来的な世界観と日本のアニメ文化などを融合させた美学から、日本の自然信仰、仏教といった古代思想や精神世界、さらには縄文、ケルトなどの古代文化へと徐々に拡張してきた。また、量子論、宇宙物理学、神経物理学にも接点を求めて、第一線の科学者やエンジニアともコラボレーション。2000年以降は没入型の空間体験を促す大型インスタレーションも制作している。作品に共通する過去と未来を横断する時間の超越性は、今日も森が探求しつづけるコンセプト、仏教的な宇宙観を起点に、あらゆる物事の相互関連性を希求する「Oneness」へ繋がっていく。2010年には自然環境と人類の繋がりを考えるパブリックアートを六大陸に恒久的に設置することを目指しファウ公益財団を設立、すでにブラジルと宮古島で実現している。本展は、2002年に東京都現代美術館で開催された「森万里子 ピュアランド」展以来、国内では24年ぶりの美術館での個展となる。インタラクティブなインスタレーション、彫刻、ビデオ、写真、ドローイング、パフォーマンスなど30年以上にわたる実践から約80点の作品が一堂に会する大規模個展。初期から最新作まで、代表作が緩やかに時代を追って展示され、作品資料やアーカイブも初公開される。森万里子の唯一無二な世界は、全世界の最大の課題であるヒューマニティーやエコロジーについても、示唆に富んだものになる。

森アーツセンターギャラリー

☆トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~ 2025年7月16日~9月17日

☆CHANEL presents “la Galerie du 19M Tokyo” 2025年9月30日~10月20日

☆CREVIA マチュピチュ展 2025年11月22日~2026年3月1日

東京ステーションギャラリー

☆小林徳三郎 2025年11月22日~2026年1月18日

 小林徳三郎(1884-1949)は、若者たちが結成した前衛洋画家集団フュウザン会で活躍、画業半ば頃からは春陽会で作品を発表した。彼は東京美術学校の後輩、萬鐵五郎の強烈な絵画をいち早く評価したが、自らは異なる制作姿勢を貫き、魚や野菜、家族、風景などの日常的な題材を、親しみやすく、かつ洒脱な作品に描き上げた。

☆大西茂 写真と絵画 2026年1月31日~3月29日

 数学から写真、そして墨象へ。唯一無二の道を歩んだ孤高の芸術家・大西茂(1928-1994)。ニューヨークMoMAをはじめ欧米で絶賛された彼の日本初回顧展を開催する。戦後日本が躍動を始めた1950年代、大西は位相数学に基づく独創的な写真と墨象を世に問うた。瀧口修造、具体美術協会、ミシェル・タピエなど同時代のパイオニアたちを瞠目させた彼の芸術は、いま再評価の途上にある。国際的に活躍した「知られざる異才」の探究は必見である。

☆カール・ヴァルザー[仮称] 2026年4月18日〜6月21日

 20世紀前半のスイスで活躍した異才カール・ヴァルザー(Karl Walser/1877-1943)は、ベルン近郊のビールに生まれた。20代でベルリン分離派に加わり、象徴主義的で魅力的な絵画作品を残している。1908年にドイツの小説家ベルンハルト・ケラーマンと共に来日し、横浜や宮津(京都府)などに滞在して日本の風景や風俗を描いた。すべて日本初公開となる本展は、挿絵や舞台美術でも活躍したヴァルザーの全貌を伝える画期的な展覧会である。 

☆生誕130年 前田寛治 ポエジイとレアリスム 2026年7月4日〜8月30日

 33歳でこの世を去った前田寛治(まえた・かんじ/1896-1930)は、今なお日本の近代洋画界を代表する一人に位置づけられている。その評価の理由は、詩的感性と西洋絵画の伝統を踏まえた写実性の融合を追求しながら、多彩に芸術を花開かせたことにある。前田の生誕130年と彼が設立に加わった一九三〇年協会100周年を迎える2026年を機に、前田が洋画の世界に何を築こうとしたのかを問い直す。

☆水滸伝 2026年9月19日〜11月8日

 中国四大奇書の一つである『水滸伝』は、北宋時代末期、国政に不満を抱く宋江ら豪傑108人が梁山泊という要塞に集って革命を起こす物語。16世紀から17世紀にかけて成立した『水滸伝』は、江戸時代に日本に伝わり、爆発的な人気を得た。本展はその物語をつぶさに紹介するのではなく、『水滸伝』を通じて北宋~清の中国美術、さらに江戸~現代にいたるまでの日本美術を広く展観する。

☆ニコライ・アストルップ[仮称] 2026年11月21日〜2027年1月31日

 20世紀初頭のノルウェーで最も傑出した画家の一人として、近年、世界的にも評価が高まっているニコライ・アストルップ(Nikolai Astrup/1880-1928)。その日本初となる大回顧展である。雄大な自然に囲まれたノルウェー南西部、ヨルステル湖畔で育った彼は生涯のほとんどをこの地で過ごし、季節ごとに変化する風景を描いた。本展では油彩画に加え、独自の境地を拓いた木版画を含む約130点により、自然の輝きを体現したアストルップの世界を紹介する。

☆生誕140年記念 山鹿清華[仮称] 2027年2月20日〜4月11日

 京都に生まれた山鹿清華(やまが・せいか/1885-1981)は、十代の頃に日本画と図案を学びはじめ、その後、神坂雪佳に師事して創作の幅を広げていった。図案、糸の選択、織りに至る工程をひとりで行う「手織錦」によって、伝統的な図柄から、ロケットや機関車などの奇抜なモチーフまで自由に表現し、西陣織に新風を吹き込んだ。明治、大正、昭和にわたり活躍した山鹿の仕事を振り返る40年ぶりの回顧展である。

Bunkamuraザ・ミュージアム

アーティゾン美術館

☆ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着 2025年10月11日~2026年1月12日

 アーティゾン美術館の開館から毎年開催している、石橋財団コレクションとアーティストとの共演、「ジャム・セッション」。第 6 回目となる本展は、山城知佳子と志賀理江子を迎えて開催する。近・現代日本が生み出した矛盾と抑圧、沖縄戦や集中する米軍基地など、生まれ育った土地がはらむ複雑で歪な状況を、ときにユーモアを交えて描き出す山城。2008 年より宮城県を拠点とし、東日本大震災やそこからの復興、あるいはそれ以前から作用していた中心と周縁の不均衡な力学のなかに立ち現れる生のあり方に光を当てる志賀。ふたりの新作を通じて、過去から続く複雑で困難な現実に向き合う作家たちの真摯な態度、そして創造力と芸術という手法のあり方をコレクション作品のうちにも見出し、紹介する。

☆クロード・モネ -風景への問いかけ 2026年2月7日~5月24日

 没後100年を記念し、モネの最も重要かつ網羅したコレクションを誇るオルセー美術館から、最高峰の作品40点以上が一挙来日。風景画を革新したモネの真髄に迫る。印象派の画家、クロード・モネ(1840–1926)は、自然光の美しさに魅了されて表現方法を探求し、新しい時代の世界観と詩情の織りなす革新的な風景画を創造した。本展では、ル・アーヴル、アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユ、ジヴェルニーなど、モネの創作を語る上で重要な場所と時代から、画業の発展を丹念にたどる。また、同時代の絵画や写真、浮世絵、アール・ヌーヴォーの工芸作品などの表現との関わりから、モネの創作の背景や動機を読み解く。さらに、現代の映像作家アンジュ・レッチアによるモネへのオマージュとして制作された没入型の映像作品も展示。オルセー美術館が誇るモネの作品40点以上を含む約90点に、アーティゾン美術館をはじめとする国内の美術館や個人所蔵の作品を加えた、約140点を通して、風景画家としてのモネの魅力に迫る。

☆カタリウム 2026年2月7日~5月24日

 タイトルの「カタリウム」とは、「語り」と、空間を表す「リウム (-arium)」でつくったことばで、展覧会は語りの場をテーマとしている。こういう作品をと発案した人がその思いを告げるところや、思索を深める絵かきのアトリエでの独り言。あるいは、作品の仕上がり具合を目にした人々の感想など、作品を前に展開する語りに耳を傾け、その場をイメージしてみようとするものである。作品は、江戸時代の大名家で制作されたと考えられる屛風や、明治・大正期に神話をテーマにえがいた油彩画と日本画、そして、ベン・シャーンの版画集も。また、因陀羅の《禅機図断簡》や《鳥獣戯画断簡》など、かつて巻物としてひとつの作品だった仲間の断簡も並びます。様々な時代とジャンルによる賑やかな語りの場を楽しめる。

☆エットレ・ソットサス (仮題) 2026年6月23日~10月4日

 エットレ・ソットサス(1917-2007)は、20世紀イタリアデザインにおける世界的な巨匠。1950年代からオリヴェッティ社やポルトロノーヴァ社のデザイナーとして数々の名作を生みだし、1981年には国際的なデザイナー集団「メンフィス」を結成して、ポストモダンと評される革新的なデザインで一世を風靡した。ソットサスは過度な合理性の追求に疑念をもち、人々の生活に自由で生き生きとした感性を取り戻そうとした。斬新でユーモアあふれるデザインによって、現代人の生活、人生、ひいては運命を明るく照らそうとしたのである。本展は、日本初のソットサス回顧展として、石橋財団が所蔵する初期から晩年におよぶ112点を一挙に公開する。

☆瀧口修造 書くことと描くこと :2026年6月23日~10月4日

 石橋財団は、昭和期を代表する詩人にして美術批評家、瀧口修造(1903-1979)による作品163点(他の作家との共作含む)を所蔵している。瀧口が造形作品の制作に本格的に取り組むようになったのは、1960年代に入ってからで、それは、1920年代よりシュルレアリスムの影響を強く受けて行われた詩作や、続く時期に始まるフランスや日本の同時代美術を対象とする批評の実践の後に位置づけられる。本展はそれを踏まえ、美術批評や詩作、展覧会監修など、瀧口の活動全体を視野に収め、その中で制作の意図や性格を明らかにすることをめざす。海外ではパウル・クレーやジョアン・ミロ、ジョセフ・コーネルら、日本では福島秀子や山口勝弘、草間彌生らといった、関連する作家の作品もあわせて出品し、約130点の作品により展覧会を構成する予定。

☆ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 Whose Light? —だれのひかりか 2026年10月24日~2027年1月31日

 アーティゾン美術館の開館から毎年開催している、石橋財団コレクションとアーティストとの共演、「ジャム・セッション」。第7回は、芸術と社会・歴史との密接な関係性を、綿密なリサーチとフィールドワークを通じて探究してきた藤井光を迎える。本展において藤井が注目するのは、プラトン『国家』第7巻に登場する「洞窟の比喩」の中心的なテーマ「光=真理」。その光が何を照らしているのかではなく、「その光を誰が照らしているのか」という視点へと問いを反転させ、真理の構造そのものを批評的に問い直します。この問いかけに応答するように、古代から中世、近代、そして戦後にいたるまでの時間軸に沿って石橋コレクションと、新作を含めた藤井の作品を展示する。

☆エトランゼたち(仮題) 2026年10月24日~2027年1月31日

 明治維新以降、西洋文化を学ぶため多くの日本人がヨーロッパへと渡った。美術家たちもまた、ヨーロッパ留学によって泰西名画や最新の美術動向に触れ、それらを貪欲に吸収している。島崎藤村による随筆『エトランゼエ』には、芸術談義に花を咲かせ、写生旅行へでかける同胞たちの様子が記されている。彼らの異邦人(エトランゼ)としての体験によって、画塾での基礎デッサン、美術館での模写、あるいは現地で交流した人々の肖像、写生地での風景画など、多彩な作品が生まれた。一方でそれらの作品は、彼らが何を見て、何に学んだのかを雄弁に語る情報源でもある。本展では、石橋財団コレクションから黒田清輝、藤島武二、安井曾太郎、藤田嗣治らによる滞欧作をテーマに、その瑞々しい魅力を伝える。

皇居三の丸尚蔵館

泉屋博古館東京

☆企画展 もてなす美―能と茶のつどい 2025年11月22日〜12月21日

☆特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 ―不倒の油画道 2026年1月17日〜4月5日

 近代の日本洋画に本格的な「写実」表現をもたらした鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう、1874~1941)の生誕151年を契機として、その足跡をたどる特別展。鹿子木は現在の岡山市に生まれ、はじめ天彩学舎や不同舎で洋画の基礎を学び、1900年に米国経由でフランスへ留学した。1918年まで都合3度にわたって留学したパリではフランス・アカデミスムの巨匠ジャン=ポール・ローランスからフランス古典派絵画の写実の薫陶を受け、ルネ・メナールに接して象徴主義の表現を学んだ。帰国後は、関西美術院や太平洋画会、文部省美術展覧会の中心的な画家として活躍し、近代日本洋画の発展に確かな足跡を残した。本展は10代の初期作品からローランスに学んだ渡欧作、帰国後の文展や太平洋画会、関西美術院や家塾での活動を紹介しつつ、日本洋画における写実の展開と継承について検証する。

☆企画展 ライトアップ木島櫻谷Ⅲ ―おうこくの色をさがしに 併設四季連作屏風 2026年4月25日〜7月5日

☆特別展 没後100年記念 住友春翠 ―仕合わせの住友近代美術コレクション 2026年8月29日〜10月12日

☆特別展 唐物誕生 ―茶の湯デザインの源流をさぐる(仮) 2026年11月3日〜12月13日

 中世後期における茶の湯の形成のうえで大きな役割を果たした、いわゆる「唐物」の源流を、住友コレクションの代表的存在である中国の殷周青銅器に求め、3000年以上にわたる東アジア文化史の視点から茶の湯のデザインをとらえなおそうという展覧会。胡銅(古銅)と呼ばれる唐金製の花入に着目し、「名物」が誕生する過程を追いかけ、さらに絵画作品やその他の工芸品もあわせて展観し、唐物が飾られていた空間や美意識の変化に迫る。

永青文庫

☆アジアの仏たち-永青文庫の東洋彫刻コレクション- 2026年1月17日~3月29日

 永青文庫の設立者である細川護立(もりたつ、1883~1970)は幼少期から漢籍に親しみ、渡欧を機に東洋美術を広く蒐集し始めた。中国考古や陶磁器ばかりではなく、中国の石仏・金銅仏、インドや東南アジアの彫刻をもコレクションに加えている。とりわけ北魏から唐時代におよぶ中国彫刻は、近代日本においていち早く中国美術を紹介・蒐集した早崎稉吉(はやさきこうきち、1874~1956)の旧蔵品が大半を占め、各時代の特徴を表した重要な像が多く含まれる。本展では「菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしいぞう)」や「如来坐像(にょらいざぞう)」(いずれも重要文化財)をはじめとする中国彫刻のほか、多種多様なインド彫刻を7年ぶりに紹介する。また、2025年8月より一年間、日本最古の美術誌『國華』の表紙を、“細川ミラー”の名で広く知られる「金銀錯狩猟文鏡(きんぎんさくしゅりょうもんきょう)」(国宝)が飾っている。それを記念して本展で特別公開する。

☆熊本城―守り継がれた名城400年の軌跡― 2026年4月11日~6月7日

 2026年4月で熊本地震から10年を迎えます。加藤清正によって築かれた熊本城は、加藤家のあとを受け熊本に入国した細川家が約240年にわたり居城とした名城。永青文庫が所蔵する歴史資料のなかには、大国を任された初代藩主・細川忠利の率直な想いや、城の象徴である天守の機能のほか、被災を繰り返しながらも修復につとめた過程などが克明に記録されている。本展では熊本のさらなる復興を祈念し、2025年に重要文化財に追加指定されたばかりの「細川家文書」やゆかりの美術工芸品をとおして、細川家の視点から熊本城の歴史をたどる。また、クラウドファンディング「文化財修理プロジェクト第2弾」のご支援をもとに修理した初代藩主・忠利と二代藩主・光尚の甲冑を、修理後初めてお披露目。築城から400年の時を超え、今も力強く歩み続ける熊本城。最新の復旧状況とあわせ、名城の「いま」と「むかし」を紹介する。

☆大名家の狂言道具コレクション(仮) 2026年7月11日〜9月6日

 狂言は、室町時代より続く喜劇的な要素を持った芸能。登場人物は庶民的なキャラクターが多く、中世の人々の日常を題材とし、笑いを通して人間の本質を大らかに、また鋭く描写する。神秘的な世界を描く能の合間に、能舞台で演じられるが、大がかりな舞台装置は用いず、台詞としぐさによって物語を進行させる。台詞は古典的な日本語だが、シンプルな言葉と誇張された動作で、分かりやすくユーモラスな表現が特徴である。細川家は初代幽斎(ゆうさい)の頃から能楽を愛好したため、永青文庫には能や狂言の道具が多く伝えられている。狂言に関してだけでも装束は約100件、面(おもて)は30面あまりを数える。素襖(すおう)や肩衣(かたぎぬ)、半袴(はんばかま)などの狂言装束は、麻地に染模様が特徴で、素朴ななかにもインパクトがあり、楽しいデザインが多く見られる。また狂言面は、誇張した表情の滑稽味あふれるものや、動物などの親しみやすいものが用いられる。そうした装束や面は狂言の魅力を引き立てる重要な要素である。本展では、永青文庫の所蔵品から、狂言の魅力を分かりやすく紹介する。

☆永青文庫・早稲田大学會津八一記念博物館共同企画「永青文庫の禅画PartⅠ 白隠ワールド(仮)」  2026年10月3日〜11月29日

 江戸時代中期の禅僧・白隠慧鶴(はくいんえかく、1685〜1768)は「臨済宗中興の祖」と呼ばれ、膨大な数の絵画と墨蹟を手掛けて禅の教えを広く伝えたことで知られている。永青文庫の設立者・細川護立(もりたつ、1883~1970)は、16歳のときに肋膜を患い、療養中に白隠の著作『夜船閑話(やせんかんな)』に感銘を受けたことがきっかけとなり、白隠の書画の蒐集を始めた。永青文庫は、護立が集めた300点を超える白隠の書画を所蔵しており、質量ともに日本有数の白隠コレクションを誇る。この度、専門家の協力を得て、同館が所蔵する白隠および関連禅僧による書画の調査を実施した。本展では、約2年におよぶ調査の結果を踏まえ、早稲田大学會津八一記念博物館との共同企画展として、永青文庫の白隠コレクションから厳選した作品を両館で紹介する。また調査の過程で、會津八一記念博物館が所蔵する禅書画の多くが護立の蒐集品であったことが明らかとなり、同館では護立旧蔵の白隠作品をあわせて展示する。

☆「細川家四代展(仮)」 2027年1月16日〜4月11日

 細川家の歴代当主たちは、武将として軍事に携わり、藩主として熊本藩を治めたばかりでなく、和歌・能楽・茶の湯・博物学・絵画などの文化芸術を愛好したことで知られる。そうした芸術に向き合う姿勢は、戦国時代を生きた初代藤孝(ふじたか)や2代忠興(ただおき)以来、現在に至るまで脈々と受け継がれている。16代護立(もりたつ、1883~1970)は“美術の殿様”として知られ、刀剣や禅画、東洋美術を収集し、同時代の芸術家を庇護した。昭和25年(1950)には「財団法人永青文庫」を設立している。17代護貞(もりさだ、1912~2005)は日本工芸会会長等を務め、美術愛好家として著書を多く出版したほか、陶磁器の作品展を開き、絵画や文具などを収集した。護熙(もりひろ、1938~)は、熊本県知事や第79代内閣総理大臣を務めるなど政治家として活動後、還暦を機に焼きものを始め、近年は京都・奈良の寺院に襖絵を奉納するなど、旺盛な制作活動を続けている。そして、令和5年(2023)に永青文庫理事長に就任した護光(もりみつ、1972~)は、20代で作陶を始め、2006年に熊本で開窯。各地の個展で精力的に作品を発表している。本展では、護立・護貞・護熙・護光にいたる近現代の細川家四代が、自ら制作した作品を一堂に展示。700年あまり続く細川家に受け継がれた芸術表現の営みである。

三井記念美術館

☆国宝 熊野御幸記と藤原定家の書 2025年12月6日~2026年2月1日

 鎌倉時代・建仁元年(1201年)に藤原定家が後鳥羽上皇の熊野参詣に随行した際の自筆の記録「熊野御幸記」を全巻展示。あわせて「大嘗会巻」や「小倉色紙」・「歌切」など館蔵の藤原定家の書を展示する。また、近世に小堀遠州などが定家の書を好み、茶道具の銘を和歌から取り、小色紙や箱書を定家様で書いていますが、それらの茶道具も。

☆開館20周年特別展 生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語 2026年2月21日~4月5日

 平安時代前期に活躍した在原業平(825~880)は、天皇の孫で和歌に優れた貴公子。その「歌仙」として、また「恋多き歌人」としての人物像は、彼の和歌にくわえ、『伊勢物語』の主人公に仮託されることで拡散していった。2025年は、業平の生誕1200年にあたる。 これにちなみ、現在でも人気が高い業平と『伊勢物語』を題材に生み出された絵画・工芸等の作品を集め、そのイメージの広がりの豊かさと、造形の魅力を探る。

根津美術館

☆企画展 綾錦―近代西陣が認めた染織の美― 2025年12月20日~2026年2月1日

 大正期、京都・西陣での染織展覧会に23点の能装束や小袖を出品した初代・根津嘉一郎。その展覧会図録『綾錦』を紐解き、嘉一郎の初期染織コレクションに迫る。

☆企画展 英姿颯爽―根津美術館の武器・武具― 2026年2月14日~3月29日

 実は重要作を数多く含み、知る人ぞ知る充実した内容を誇る根津美術館の武器・武具。その美しく凜々しい世界を楽しめる。

☆開館85周年記念特別展「光琳派-国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロワーたち」 2026年4月11日〜5月10日

 尾形光琳の弟子である渡辺始興や深江芦舟、弟・乾山、乾山に学んだと伝える立林何帠。知られざる「光琳派」の作品を展観し、琳派の歴史に新たな光を当てる。

☆企画展「はじめての古美術鑑賞 ー美術の中の文字-」 2026年5月30日〜7月12日

 賛や署名をはじめ絵画や工芸作品のなかにあるさまざまな文字に注目し、それらの文字にはどのような役目が託されているのかを考える。

☆企画展 やきもの名品紀行―中国・日本・朝鮮半島― 2026年8月15日〜10月12日

 2300件におよぶ館蔵の陶磁器から名品を選りすぐり。3つの展示室を巡って、中国・日本・朝鮮半島、それぞれの地域の陶磁器の多彩な魅力を楽しむ。

☆特別展 舞楽装束 2026年 10月24日〜11月23日

 外来の楽や舞を取り込みながら独自の発展を遂げた日本の古典芸能・舞楽。本展では美麗な裂や装飾品など細部にも着目しながら、特色ある装束の美を紹介する。

☆企画展 彫る漆 2026年 12月5日〜2027年1月17日

彫漆、鎌倉彫、鎗金、填漆、蒟醤など、「彫る」ことで表現する漆工技術を特集。東アジアで見られるさまざまなバリエーションを楽しむ。

☆企画展 根津美術館の仏像コレクション 2027年 1月30日〜3月28日

 根津美術館の仏像コレクションは、日本の私立美術館屈指の質と量を誇っている。この度は、それらの中から優品を精選し、コレクションの全貌を紹介する。

静嘉堂文庫美術館

☆2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催記念 修理後大公開! 静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝 2025年10月 4日~12月21日

 静嘉堂@丸の内・開館3周年となる本展では、静嘉堂の東洋絵画の逸品が勢揃い。大阪・関西万博2025にちなみ、20世紀初頭の博覧会に出品した岩崎家所蔵の光琳派や肉筆浮世絵、近代絵画などを皮切りに、国宝1件、重要文化財13件、博覧会出品作10件余りを一挙公開!そして未来の国宝!菊池容斎の破格の巨大絵画が丸の内に登場する。そのうち修理後初公開の重要文化財9件、重要美術品2件はいずれも室町時代の屏風や中国宋・元時代の貴重な作品である。

☆たたかう仏像 2026年1月2日~3月22日

 仏像のなかには、武装して目をいからせ、怒った表情を見せるものがある。こうした仏像は、何のために、何とたたかっているのだろう。あるいは、何を護っているのか? 本展では浄瑠璃寺旧蔵の十二神将立像(重要文化財)を中心に、武士と「たたかう仏像」の関係を紹介する。神将像の鎧のル ー ツである中国・唐時代の神将個を丸の内で初公開するほか、仏教絵画や刀剣等に表される多様な仏像の姿にも注目する。

☆美を味わう―懐石のうつわと茶の湯 2026年4月7日~6月14日

 懐石とは、正式な茶会である茶事の中で、抹茶を喫する前に出される“もてなし”の料理。本展では、静嘉堂所蔵の懐石のうつわ―日本のみならず中国や朝鮮半島、ベトナム、オランダと、各国で作られたバラエティ豊かなうつわの数々を一堂に展示。利休・秀吉ゆかりの茶道具の優品もあわせ、茶事を演出する器の趣、洗練されたデザインが楽しめる。

☆元禄!師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開 2026年6月27日~8月23日

 浮世絵の始祖・菱川師宣(1618?~94)は、庶民のための憂き世(浮世)の絵を多く描いた。静嘉堂所蔵「十二ヶ月風俗図巻」は、師宣独自の描写力で庶民の暮らしを活写した、長大で華やかな絵巻である。本展では東京国立博物館所蔵の師宣の代表作「見返り美人図」と重要文化財「歌舞伎図屛風」、さらに英一蝶「雨宿り図屛風」、重要文化財・宮川長春「風俗図巻」が、静嘉堂の元禄絵画コレクションと夢の競演を果たす。英一蝶や宮川派まで、師宣の画系をたどる。*国宝 《曜変天目》 出展。

☆民藝SHOCK!!―没後60年 静嘉堂の河井寬次郎 2026年9月5日~11月8日

 大正・昭和期を代表する日本の陶芸家・河井寬次郎(1890~1966)。今からおよそ百年前の大正14年(1925)に柳宗悦や濱田庄司とともに「民藝」(=民衆的工藝)の語を生み出し、「用の美」を意識したやきものを創作した。静嘉堂は昭和初期を中心とする51件の寬次郎作品を所蔵している。本展では、その全貌を公開するとともに、寬次郎にインスピレーションを与えたと考えられる日本・中国・朝鮮などの古陶磁を展示し、その創作の源泉をさぐる。*国宝 《曜変天目》 出展。

☆THE MASKS 仮面に魅せられた人々 2026年11月21日~2027年1月17日

 人の顔の様々な形相や、鬼神の顔を象る仮面。なぜ人は仮面に魅かれるのだろう。加納鉄哉による伎楽面の模作や松浦武四郎旧蔵の木鬼面、新発田(しばた)藩主・溝口家旧蔵の能面群を通じ、近世から近代にかけ、古い仮面に魅かれ、蒐め、模した人々の眼差しを辿る。

☆おひなさまと浮世絵の源氏絵 岩﨑夫人が愛した品々 2027年1月30日~3月28日

 春の訪れを告げるひな祭りに合わせ、岩﨑彌之助夫人・早苗が楽しんだ色鮮やかな錦絵画帖のうち「源氏絵」を初公開。岩﨑小彌太が特別に誂え、夫人・孝子が愛でたひな人形と共に展示する。二人の夫人の愛が息づく逸品を楽しむ。*国宝 《曜変天目》 出展。

東京芸術大学大学美術館

SOMPO美術館

☆モーリス・ユトリロ展 2025年9月20日〜12月14日

 20世紀初頭のパリの街並みを描いたことで知られる風景画家、モーリス・ユトリロ (1883-1955)。本展では、フランス国立近代美術館協力のもと、同館所蔵の《ラパン・アジル》他に加え、国内美術館所蔵品を含む約60点により、作家の全貌に迫る。アルコール依存症の治療のために絵画制作を始めた「モンマニーの時代」、さまざまな素材を利用し白壁の独特な質感をとらえた充実期の「白の時代」、色彩を多用した「色彩の時代」の作品を通じて、ユトリロが愛した風景の詩情を感じることができる。

☆モダンアートの街・新宿 2026年1月10日〜2月15日

 日本の近代美術(モダンアート)の歴史は、新宿という地の存在なくしては語れない。明治時代末期の新宿には新進的な芸術家が集まった。そして、新宿に生きる芸術家がさらに芸術家を呼び込み、近代美術の大きな拠点の一つとなった。本展は、中村彝、佐伯祐三から松本竣介、宮脇愛子まで、新宿ゆかりの芸術家たちの約半世紀にわたる軌跡をたどる、新宿の美術館として初めての試み。

☆FACE展2026 2026年3月7〜29日

 第14回目となる現代絵画のコンクール展。「年齢・所属を問わない新進作家の登竜門」として、全国より応募された作品から入選・受賞した作品を展示し、観覧者投票によるオーディエンス賞も授与する。また、本展から新たに、前回FACEで「グランプリ」と「優秀賞」を受賞した作家を招待する「絵画のゆくえ」を3階展示室に併設。各作家の新作・近作5~10点ずつを紹介する。

☆開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展 2026年4月11日〜6月21日

 「印象派の先駆者」と呼ばれる画家ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)の、日本では約30年ぶりとなる展覧会。空や雲、海景、牛の群れなどをみずみずしい色彩と軽快な筆致で描き出したその作品は、故郷ノルマンディーをはじめとする各地の光と大気を見事にとらえており、戸外制作を重視する態度は印象派の登場を準備した。人物や建築モチーフなどにも焦点を当てつつ、近代風景画の発展に大きく寄与したブーダンの魅力を新たな視点で問い直す。

☆開館50周年記念 山口華楊展(仮称) 2026年7月11日〜8月30日

 日本画家山口華楊(1899-1984)は、西村五雲(1877-1938)に入門後、京都市立絵画専門学校に入学。主に動物を主題とした作品で頭角を現す。五雲の亡き後は画塾・研究団体である晨鳥社を再興し、京都画壇を代表する画家の一人となった。本展では、同館が所蔵する華楊の代表作3点を中心として、初期から晩年までの画業を通覧。京都ではなじみの深い華楊ですが、東京では27年ぶりの回顧展である。

☆開館50周年記念 生誕150年 アルベール・マルケ展(仮称) 2026年9月22日〜12月13日

 フランス近代絵画の巨匠アルベール・マルケ(1875–1947)の生誕150年を記念して、日本では35年ぶりに開催される回顧展。日仏の主要美術館、個人コレクションから、油彩約70点、素描・パステル約20点を含む約100点により構成される。初期フォーヴィスム、セーヌ川や地中海の港町を描いた作品など、マルケ作品の様式展開と魅力を多角的に紹介し、近年本国でも再評価がすすむ作家の画業全体を振り返る。

☆開館50周年記念 生誕130年 東郷青児展(仮) 2027年1月9日〜2月21日

 開館50周年という節目に、SOMPO美術館設立に大きく貢献した画家東郷青児(1897-1978)の生誕130年を記念する個展を開催する。「青児美人」として広く知られる優美な女性像をはじめ、前衛美術への関心を示す初期作品、海外の風景を描いたスケッチ、そして晩年の大型の油彩といった絵画作品に加えて、東郷の原画による洋菓子店のパッケージや保険案内パンフレットなど、当館が所蔵する東郷作品と関連資料を大々的に公開する。

☆FACE展2027 2027年3月6〜28日

 第15回目となる現代絵画コンテストの展覧会。「年齢・所属を問わない新進作家の登竜門」として、全国より応募された作品から入選・受賞した作品を展示し、観覧者投票によるオーディエンス賞も授与する。また、前回のFACEでグランプリと優秀賞を受賞した作家を招待する「絵画のゆくえ」を3階展示室に併設し、各作家の新作・近作5~10点ずつを紹介する。

《サントリー美術館》

☆NEGORO 根来 - 赤と黒のうるし2025年11月22日~2026年1月12日

 いわゆる「根来」は、中世に栄華を極めた根来寺(現在の和歌山県)で生産されていたとの伝承から、後世「根来塗」と称された漆器であり、塗りの一技法でもある。黒漆に朱漆を重ねた姿に、耐久性と美しい造形を備えた根来は、古代より寺院や神社などの信仰の場で使われ、近世以降には民衆の生活の場でも大切にされた。本展では、根来誕生の起源に迫りながら、魅力あふれる色と造形をもつ名品群を一堂に紹介する。

☆ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界 2026年4月22日~6月21日

 幕末・明治期に活躍し、今なお国内外で高い人気を誇る絵師・河鍋暁斎(1831~89)。手がけた画題は神仏画から戯画、動物画、妖怪画に至るまで、非常に多岐にわたり、そのいずれにも卓越した画技と機知に富んだ発想が見られる。本展では、世界屈指の暁斎コレクターであるイギリス在住のイスラエル・ゴールドマン氏の所蔵作品より、コレクションを代表する肉筆画と版画の名品、および日本初出品となる優品の数々を紹介する。

☆眼のごちそう 食器(仮称) 2026年7月8日~8月30日

 桃山時代から江戸時代のおもてなしの場を飾った、陶磁の食器を特集。食器にはもてなす人からの温かいメッセージが込められており、そこに盛り付けられたおいしい料理と相俟って客人に深い喜びをもたらす「眼のごちそう」となる。本展では産地、作者、形、文様、用途も多様なおもてなし食器の数々を紹介。このような食器が使われた当時のもてなしのようすにも時おり触れながら、うつわ一つ一つの造形を楽しむ。

☆逸翁美術館名品展(仮称) 2026年9月16日~11月8日

 逸翁美術館は、阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者として知られる近代日本を代表する実業家・小林一三(1873~1957)の雅号「逸翁」を冠して、1957年に大阪・池田市に設立された。人々と美を分かち合う姿勢に貫かれた5,500 件におよぶコレクションは逸翁の多方面に及ぶ業績と進取の気風に富む人間性を反映し、古筆切、茶道具から与謝蕪村・呉春の絵画に至るまで実に多岐にわたる。今回は、その選りすぐりの名品が一堂に会する待望の展覧会。

☆法華経の美術(仮称) 2026年12月12日~2027年2月7日

 法華経は性別や階級を越えて日本で最も信仰され続けた仏教経典のひとつで、普くすべての人間が平等に成仏でき、現世のあらゆる苦難から救済されることなどが説かれている。ほとけに救われたいという法華経への信仰を通じて、古代から近世に至るまで多彩な美術が造り出されてきた。本展では華麗な装飾経や仏像・仏画など、法華経にまつわる美術を名品の数々でご紹介し、信仰のつながりや拡がりを感じてもらう。

パナソニック汐留美術館

☆ウィーン・スタイル―ビーダーマイヤーと世紀末 ライフスタイルとしてのデザイン 2025年10月4日~12月17日

 ウィーン世紀末とビーダーマイヤー時代、二つの時代の工芸とデザインを、銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具などを通して紹介。「ミニマルな形態」と「遊び心に満ちた装飾」という対照的な特徴がともにみられる、共通性のある両時代のモダンなスタイルを、対比や空間構成で見せる。華麗な装飾のウィーン工房の作品群や、クリムトによる素描作品の展示、女性の活躍にも注目しながら多面的なウィーン文化の魅力を知ってもらう。

☆美しいユートピア理想の地を夢みた近代日本の群像 2026年1月15日〜3月22日

 イギリスの社会思想家、ウィリアム・モリスは自著『ユートピアだより』で暮らしと芸術の総合を唱えた。その思想が紹介された日本でも、「ユートピア=理想郷」は暮らしをめぐる理想と課題となった。そして近現代を通じあらゆる場所で、美術、工芸、建築など幅広いジャンルを結ぶ共同体が模索された。20世紀の日本人の美しい暮らしを求める「ユートピア」と、そのゆくえを左右した人々の好みをたずね、かつての「来るべき世界」を振り返り、今日のユートピアを思い描く方法を探る。

☆ジョルジュ・ルオー アトリエの記憶 2026年4月11日~6月21日

 パナソニック汐留美術館は約270点のルオー作品を所蔵している。本展は、近年新たに迎えた新収蔵作品を中心に同館のルオーコレクションを紹介。ルオー作品が生まれた場である「アトリエ」に焦点を当て、作品がどのような環境で、どのような画材を用いて描かれたのか、初期から晩年までの代表作とともに辿る。展示スペースの一角にルオーが晩年、自身最後のアトリエで実際に使用していた画材道具や机などを用いて、アトリエの一部再現を試みる。身近な家族でさえも立ち入りを制限されていた聖域なる空間であった画家のアトリエの記憶を作品とともに紐解く。

☆町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展(仮) 2026年7月11日~9月23日

 日本を代表する銅版画家、長谷川潔(1891-1980)。1918年に単身渡仏し、以後帰国することなく同地で生涯を終えた彼は、失われつつあった古典技法マニエール・ノワール(メゾチント)を独自の形で復興させたことで近代版画史に大きな足跡を残した。ビュラン(エングレーヴィング)などの様々な版画技法に熟達した長谷川が表現する深遠な精神世界は、今なお多くの人を惹きつけている。本展は、町田市立国際版画美術館の日本有数の長谷川潔作品コレクションを中心に、パリに生きた銅版画家としての長谷川に焦点を当てる。同地における同時代の画家との交流も紹介しつつ、彼の初期から晩年に至る名品を展覧する。

☆吉田璋也のデザイン ー 新作民藝運動がめざした未来 2026年10月15日~12月20日

 吉田璋也よしだしょうや(1898-1972)は医師でありながら、新しい民藝を自らデザインし、生産・流通・販売の体制を確立し、“民藝のプロデューサー”として民藝運動に生涯を捧げた。1931年に地元の鳥取で医院を開業すると、陶芸・木工・染織・和紙・金工などの職人を集め、柳宗悦が見出した民藝の美を標準として「現代の生活にふさわしい日用品」づくりをする。戦後は1949年に鳥取民藝美術館を開設するとともに、民藝運動を鳥取砂丘など地域の自然や文化財の保護にまで射程を拡げ、社会改革運動として展開していった。本展では、吉田璋也が伝統的な手仕事を現代の生活に根付かせるためにデザインした「新作民藝運動」の軌跡を、関連する作品や資料総計約300点により紹介。最新の研究も反映させた過去最大級の吉田璋也展である。

三菱一号館美術館

☆アール・デコとモード京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に 2025年10月11日〜2026年1月25日

 1920年代に世界を席巻した装飾様式「アール・デコ」。生活デザイン全般におよんだその様式は、「モード」すなわち流行の服飾にも現れた。ポワレやシャネル、ランバンなどパリ屈指のメゾンが生み出すドレスには、アール・デコ特有の幾何学的で直線的なデザインや細やかな装飾が散りばめられている。それは古い慣習から解放され、活動的で自由な女性たちが好む新しく現代的なスタイルだった。2025年は、パリで開催された装飾芸術の博覧会、通称「アール・デコ博」から100年目にあたる。この記念の年に、世界的な服飾コレクションを誇る京都服飾文化研究財団(KCI)が収集してきた選りすぐりの服飾作品約60点を展観。また、国内外の美術館所蔵の絵画、版画、工芸品などを加え、現代にも影響を与え続ける100年前の「モード」を紐解く。

☆トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで 2026年2月19日〜5月24日

 最後の浮世絵師のひとりと呼ばれる小林清親が1876(明治9)年に制作を開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画へ大きな変革をもたらした。黄昏どきの表情や闇にきらめく光の様相を描いた作品群は「光線画」と呼ばれ、深い陰影により江戸の情緒まで捉えている。このような視点は、失われゆく江戸の風俗を惜しむ人々の感傷や、それらを記録しようとする写真の意欲とも重なり、同時代の浮世絵師たちが文明開化によって変貌していく都市を、艶やかな色彩によって楽天的に捉えた開化絵とは一線を画するものだった。明治末期に浮世絵の復興を目指した新版画は、その技術ばかりでなく清親らが画面に留めようとした情趣を引き継いで、新しい日本の風景を発見しようとした。清親から吉田博、川瀬巴水らに至る風景版画の流れを米国スミソニアン国立アジア美術館が所蔵するロバート・O・ミュラー・コレクションの作品によって辿る。

☆“カフェ”に集う芸術家—マネ、ゴッホ、ロートレックからピカソまで(仮称) 2026年6月13日~9月23日

 19世紀後半のパリ、マネや後に印象派と呼ばれることになる芸術家たちはカフェに集い、議論を戦わせた。カフェやキャバレー、ダンスホールは、飲食や娯楽を楽しむだけではなく、新たな芸術が生まれる場所となっていく。それは、サロン(官展)からの脱却と共に、芸術が群衆に溶け込む新しい時代の始まりでもあった。1897年、カタルーニャ出身の画家カザスはモンマルトルの有名店「シャ・ノワール(黒猫)」に倣って、バルセロナに「クアトラ・ガッツ(4匹の猫)」を開店。若きピカソも通う。そして、ピカソは“カフェ”を舞台にロートレックやカザスが描いた悦楽や孤独に多大な影響を受けて、「青の時代」へと向かう。本展では、マネ、ゴッホ、ロートレック、ピカソによる名作の数々、そしてバルセロナが誇る日本初公開のカザス作《マドレーヌ》を加えた約130点から、“カフェ”で生まれた芸術の広がりを展観する。

☆アントニオ・フォンタネージ展ヨーロッパと日本を橋渡しした風景画(仮称) 2026年10月17日〜2027年1月24日

 19世紀イタリアの画家アントニオ・フォンタネージ(1818 – 1882)は、1876年、58歳で工部美術学校の画学教師として日本に招聘され、その門下から浅井忠ら初期の洋画家たちを輩出したことで知られている。スイスやフランス、英国などヨーロッパ各地に滞在し、バルビゾン派やターナーらから影響を受けつつ、詩情豊かな独自の風景画を生み出した。生涯にわたり風景に取り組んだフォンタネージは、1869年、トリノの美術アカデミーの風景画教授に任命されると、晩年に至るまでこの地で制作した。本展は、トリノ市立近現代美術館(GAM)およびトリノ博物館財団の協力のもと、画業の初期から晩年に至るフォンタネージの作品群を概観する。日本の弟子たちの作品や、同時代・次世代のイタリア人作家の作品における彼の影響と遺産にも光を当て、フォンタネージの芸術の全貌を明らかにする。

日本科学未来館

東京オペラシティアートギャラリー

☆柚木沙弥郎 永遠のいま 2025年10月24日〜12月21日

 2024年に101歳の生涯を閉じた染色家、柚木沙弥郎。型染の世界に新風を吹き込んだ柚木の作品は、自由でユーモラスな形態と、美しい色彩が心地よく調和しつつ生命力にあふれ、見る人を惹きつけてやまない。柳宗悦らによる民藝運動に出会い、芹沢銈介のもとで染色家としての道を歩みはじめた柚木は、さらに挿絵やコラージュなどジャンルの垣根を超え、創作世界を豊かに広げた。本展では75年にわたる活動を振り返るとともに、制作において縁のあった都市や地域をテーマに加え、柚木をめぐる旅へと誘う。身の回りの「もの」に対する愛着や、日々のくらしに見出した喜びから作品を紡ぎだす柚木の仕事は、変化の時代にこそ、大切に慈しみたい「いま」を私たちに示してくれる。民藝を出発点に、人生を愛し、楽しんだ柚木の創作活動の全貌を堪能できる展覧会である。

アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち 2026年1月21日〜3月29日

 1956年にチリに生まれたジャーは、建築と映像制作を学んだのち、1982年に渡米、以後ニューヨークを拠点に活動している。ジャーの制作は、社会の不均衡に対する真摯な調査にもとづき、多様なメディアにわたるその作品は五感に訴えかけるインスタレーションで知られている。誰かを糾弾するのではなく、誰もが幸せになる社会を希求する。ジャーの制作に通底するこの態度は、私たちはいかに共生できるのかという問いを力強く投げかける。異なる価値観をもつ他者の存在を否定せず、一人一人がよく見て考える責任を負うこと。ジャーの姿勢と作品は高く評価され、国際的な賞を多数受賞している。2018年にはヒロシマ賞を受賞し、2023年には広島市現代美術館で受賞記念展が開催された。

☆拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ 2026年4月16日〜6月24日

 シュルレアリスムは、1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけ、フロイトの精神分析学に影響を受けた文学運動として発生した。違和感がある風景や夢のような幻想的雰囲気など、その表現に一定の傾向を見出すことも可能だが、シュルレアリスムとは、理性によって分断された世界を乗り越え、新しい現実を求めようとするあらゆる創造行為をさしている。「日常を変える」ことと「世界を変える」ことをひと続きに捉えたシュルレアリスムは、雑誌や広告、ファッション、室内デザインといった⽇常に密接した場⾯にも広がり、社会全体に影響をもたらした。本展覧会は国内に所蔵されている多様なジャンルの優品を⼀堂に会し、社会全体へと拡⼤した新しいシュルレアリスム像を⽰す。

☆ほぼ空:青木淳 + リチャード・タトル 2026年7月18日〜9月23日

 美術家のリチャード・タトルと、建築家の青木淳の二人展。タトルにとって美術作品とは“光”であり、ある瞬間に捉えた真実、美しさ、充足感を他者と分かち合う媒体だという。青木にとって建築とは“空気”であり、人それぞれが持つ異なる価値観や速度を許容する自由な空間をつくることだという。タトルの美術作品と青木の建築には、互いの領域を軽やかに超えていく親和性がある。光と空気—世界を満たす要素に喩えられる両者のコラボレーションは、互いに融合し、またそれぞれとしてあり、開放的かつ愉快な空間を作り出すだろう。本展は、東京オペラシティアートギャラリーの空間の潜在力を、美術と建築の双方向から別様に引き出すことを試みる。

☆ダン・グレアム 2026年10月17日〜12月20日

 ダン・グレアムほど一言で語り尽くせないアーティストはいない。1942年にイリノイ州に生まれ、ニューヨークで活動を始めた彼は、ギャラリー運営から雑誌広告の体裁をとった作品、写真、ヴィデオ、建築的立体作品の制作、批評やエッセイの執筆など、実にさまざまな実践で知られている。多面的/多角的(Multifaceted)な活動は再評価が進み、若い世代の注目を集めている。2022年に79歳で逝去したが、最後に取り組んだのはグレアムが終生関心を注いだ建築をテーマにした展覧会のキュレーションだった。本展の前半は、初期から晩年までグレアムの代表作を展覧し、後半はポルトガルで開催された建築展「Not Post-modernism」を「遺作」として展開する。展覧会の中に展覧会を組み込む入れ子構造により、たぐいまれな彼の思考を浮かび上がらせる。グレアムと親交が深かったアトリエ・ワンが会場構成を担当する。

☆カイ・フランク展 時代を超えるフィンランド・デザイン 2027年1月16日〜3月22日

 フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランク(1911–1989)は、不要な装飾を排した普遍的で機能的、かつ汎用性の高いデザインで知られている。最小限の器で日常を豊かにするその哲学は、戦後の困難な時代にフィンランドの家庭に広く受け入れられ、今も世界中で愛されている。また、限りある資源を尊重する姿勢は、今日のサステナビリティの理念を先取りするものだった。本展は、ヘルシンキのアーキテクチャー・アンド・デザイン・ミュージアムが2011年に開催した回顧展をもとに、同館のコレクションを中心に構成する。ガラス、磁器、ファブリック、デザイン画など約250点を通して、初期から晩年に至るフランクの創作の軌跡を紹介する。さらに、写真や映像資料を交え、日本との交流や後進のデザイナーへの影響にも光を当てる。

21_21 DESIGN SIGHT

出光美術館》長期休館

山種美術館

☆特別展 LOVE いとおしい…っ! ―鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛― 2025年12月6日~2026年2月15日

 私たちの身の回りには、さまざまな愛の形がある。恋人同士の燃え上がるような愛、親子や夫婦など家族への愛、生まれ育った故郷への愛、身近な動物への慈しみの愛。また、最近よく耳にする「推し活」も、一つの愛の形といえる。LOVEをテーマにした日本の近代・現代絵画を中心に取り上げる。

☆特別展 花・flower・華 2026 -横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅- 2026年2月28日~5月10日

菊池寛実記念智美術館

☆第11回菊池ビエンナーレ 陶芸の現在 2025年12月13日~2026年3月22日

 陶芸の振興を目的に、菊池美術財団および菊池寛実記念 智美術館が2004年度より隔年で開催している陶芸の公募展「菊池ビエンナーレ」。応募資格や制作内容に制限を設けずに募集し、第11回を迎えた今回は過去最多となる452点の応募から、第1次画像審査と第2次作品審査を経て受賞作品5点を含む入選46点を選出した。本展では入選作品を一堂に展示し、器形態からオブジェ的な造形作品まで、創意と技術が織りなす多様な制作によって「陶芸の現在」を映し出す。

CREATIVE MUSEUM TOKYO

☆大カプコン展―世界を魅了するゲームクリエイション 2025年12月20日~2026年2月22日

 家庭用ゲーム機の登場から約半世紀-ドット絵から始まった「ビデオゲーム」は、いまや映画と肩を並べるような美しい映像によって数多くの新しい世界を生み出している。私たちの生活に広く浸透し大衆文化の一部となったゲームは、テクノロジーと表現の領域を横断し、クリエイターの創造力と個性が発揮される総合芸術へと進化したと言えるのではないか。1983年の創業から世界的ゲームソフトメーカーに成長した現在まで、その本社を大阪に置くカプコンは、数多くのタイトルを開発し、世界の人々を魅了してきた。本展では開発者たちの「手」による企画書や原画、ポスターやパッケージなどのグラフィックワーク、体験型コンテンツ、最新技術など、ゲーム誕生の壮大なプロセスとそこに関わるクリエイターたちの想像力と実現力を惜しみなく展覧会という場に投入し、日本が誇るゲーム文化をあらためて捉えなおす機会を創出する。

日本民藝館

☆2025年度日本民藝館展 —新作工藝公募展— 2025年11月22日〜12月17日

 手仕事による伝統的な工芸品を中心に、日本各地の新作工芸品の数々を展示・頒布する、恒例の新作工芸公募展。

☆抽象美と柳宗悦 2026年1月6日〜3月10日

 柳宗悦の晩年にあたる1950年代は、国立近代美術館で「抽象と幻想」展が開催されるなど、日本の美術界で抽象美術が大きな注目を集めた。そのような中、柳は雑誌『心』に「抽象美について」(1957年)を寄稿。「古くして新しい抽象美」について述べたこの一文は、『民藝』第63号での抽象紋特集(1958年3月)に発展し、多くの図版を伴って特集された。本展では、特集に掲載された「抽象紋」の工芸を軸に構成し、柳が見た「抽象美」とは何かを探る。

渋谷区立松濤美術館

☆描く人、安彦良和 2025年11月18日~2026年2月1日

 『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターであり、『アリオン』等のアニメ監督、『ナムジ-大國主-』『乾と巽-ザバイカル戦記-』等の歴史漫画家としても活躍する安彦良和(1947年12月9日-)の創作活動を展望する回顧展。北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれ、大学では学生運動に参加し、その後上京してアニメ制作に参加、漫画家に転身するなど、安彦が歩んだ激動の半生は、戦後日本の社会や文化のありさまを浮き彫りにする。展覧会では初公開のものも含むアニメ制作の貴重な資料、美麗なカラーイラスト、デビュー当初から最新作までの漫画原稿など、約50年間にわたる仕事の数々を紹介。圧倒的な画力、壮大なスケールの物語性、時代や歴史を見つめる鋭い視線、天与の才能をもつ「描く人」、安彦良和のクリエーションの軌跡をたどる。

太田記念美術館

☆浮世絵おじさんフェスティバル 2026年1月6日~3月1日

☆表装 ―肉筆浮世絵を彩る 2026年3月6~29日

☆歌川広重「名所江戸百景」 最後の挑戦 2026年4月15日~6月14日

 歌川広重が亡くなる直前まで制作に取り組み、当時の江戸の面影を今に伝える名作119図を約8年ぶりに全点公開。それまでにない奇抜な構図、新たに選ばれた名所の数々など、広重の絵師としての最後の挑戦を読み解く。

☆アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変 2026年6月23日~8月23日

 浮世絵には、心をなごませる可愛らしい動物から、背筋が寒くなるような妖怪、不思議な形をした奇妙でユニークな存在まで、多彩なキャラクターが息づいている。浮世絵ならではの動物や妖怪たちの表現の豊かさを紹介する。

☆没後 50 年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画 2026年9月1~27日

 歌舞伎絵を専門とした流派・鳥居派の八代目として、歌舞伎を題材にした作品を多く手掛け、また大正新版画の時代に描かれた繊細な美人画でも知られる絵師、鳥居言人。その没後 50 年を記念し、肉筆画や版画作品を紹介する。

☆葛飾応為「吉原格子先之図」 夜景の系譜 2026年10月6日~12月6日

 光と闇の描写が印象的な葛飾応為「吉原格子先之図」。この応為の名品を 4 年ぶりに公開するとともに、夜景を描く作品を多数紹介。浮世絵において夜がどのように表現されてきたのかをたどる。

☆あなたの知らない浮世絵師たち 2026年12月12日~2027年1月17日

 本展では、水野盧朝、五郷、歌川国虎、蒔田俊親など、現在ではあまり知られていない絵師たちをとりあげる。時代とともに埋もれてしまった絵師たちにスポットライトをあてることで、浮世絵の世界の奥深さに触れる展覧会。

☆遊廓の美術史 2027年1月26日~3月28日

 遊廓は華やかな世界として浮世絵に数多く描かれた。しかしその輝きの裏には、遊女たちの厳しい現実も存在している。遊廓がいかに美化され、また、何が描かれなかったのかに目を向けながら、浮世絵が形作ってきた遊廓のイメージの歴史をたどる。

目黒区美術館

☆めぐろの子どもたち展 2026年1月17日~2月1日

☆岡田謙三 パリ・目黒・ニューヨーク 2026年2月21日~5月10日

 岡田謙三は、1920年代のパリと1950年代以降のニューヨーク、二つの都市と美術の時代に生きた画家。1929年に自由が丘にアトリエを築いた、目黒区ゆかりの芸術家でもある。本展は、岡田が、1950年の渡米以降、次第に抽象へと転じ、淡い色面を組み合わせた独自の作風を確立していく過程に着目し、その事象を二つの海外留学の経験からひも解く。

世田谷美術館

☆つぐ minä perhonen 2025年11月22日〜2026年2月1日

 「ミナ ペルホネン」はブランドの創設から30年にわたり、手仕事や職人との協業を大切にしながら、暮らしのなかに永く息づき、時を重ねて深みを増すデザインを積み重ねてきた。その‟運動”ともいえる、ものづくりのありかたを「つぐ」という言葉が内包する多様な意味を通じて紹介。洋服やプロダクトのほか、オリジナルのテキスタイルやそれらの原画などにより、100年先へと歩みを進める仕事と思想に触れる。

☆ミュージアムコレクション特別篇 開館40周年記念 世田美のあしあと――暮らしと美術のあいだで 2026年2月21日〜4月12日

 1986年に開館した世田谷美術館。時代の移り変わりのなか、多くの芸術家が居住地としてきた世田谷ならではの文化的風土に育まれ、2026年に開館40周年を迎える。これを記念して、アンリ・ルソーなどの素朴派や世田谷ゆかりの作家をはじめとするコレクションとともに、いままでに開催してきた多彩な展覧会やイベントの記録も紹介。同館の歩みをたどる。

板橋区立美術館

☆戦後80年 戦争と子どもたち(仮称) 2025年11月8日〜2026年1月12日

☆区立小・中学校作品展 2026年1月20日〜2月23日

☆佐藤太清記念中学生絵画展 2026年2月20~23日

☆焼絵展(仮称) 2026年3月7日~4月12日

 「焼絵」とは、火筆画や焦画、烙画などとも呼ばれ、熱した火箸や鏝を紙や絹などに押し当て、絵画や文字を焦がして表現する技法。色調は茶から黒に近い色まで展開し、線描から点描、ぼかしといった水墨の筆法も巧みに再現されている。江戸時代には、山上藩主の稲垣定淳(如蘭、1762~1832)をはじめ、藩主や家老クラスの間で流行した。狩野派の表絵師である狩野梅雲行信(1770~1813)は、墨画に焼絵を組み合わせることを試みた。葛飾北斎の弟子と言われる北鼎如蓮(生没年不詳)など浮世絵師にも名手が現れた。幕臣で狂歌師としても活躍した大田南畝(1749~1823)は、焼絵に高い関心を示し、来日した中国人と焼絵問答した記録が残っている。朝鮮通信使により烙画(朝鮮における焼絵の呼び名)が制作されるなど、江戸時代には焼絵を通した国際交流も行われていた。当時の人々は、焼絵の特異な技法による独自の美を愛でるとともに、画中の漢詩や狂歌といった文学的な要素を含めて作品を楽しんでいた。一方で、少ない材料で制作が可能な点から、焼絵制作の根底には質素倹約を推奨する時世が反映されているとの推測もされている。本展では、日本のほか、朝鮮と中国の焼絵についても展観し、これまでほとんど紹介されることのなかった焼絵について、その美と制作背景について探究する。

府中市美術館

☆フジタからはじまる猫の絵画史  藤田嗣治と洋画家たちの猫 2025年9月20日〜12月7日

 熊谷守一が朴訥と描いた猫の絵、猪熊弦一郎のモダンな猫の絵。日本の洋画家たちは個性的な猫の絵を数多く生み出した。ところが、洋画の本場ヨーロッパには、猫の絵は多くなかった。実はそれは、パリで活躍した藤田嗣治(1886〜1968) が、西洋の伝統では脇役だった猫を、あえて主役に据えた絵を生み出したことから始まった。日本洋画の独自の主題といえる猫の絵を紹介する。

☆小出楢重 新しき油絵 2025年12月20日〜2026年3月1日

 大阪生まれの洋画家、小出楢重(1887~1931)の回顧展。大正から昭和初期にかけて「日本人としての新しき油絵」を追究し、軽妙なデフォルメと艶やかな色彩で、静物画や裸婦像に数々の傑作を残した。日本画・ガラス絵・装幀・随筆といった多方面にわたる仕事や、設立に参加した信濃橋洋画研究所の活動とあわせて、モダンな時代を彩った楢重の全貌を紹介する。

☆長沢蘆雪 2026年3月14日〜5月10日

 18世紀後半の京都の画家、長沢蘆雪。ファンタスティックで不思議な風景、かわいい動物や子供。師の円山応挙に迫る凄腕の絵もあれば、その正反対のへそまがりで愉快な絵もある。また、禅の世界や仏の教えのもとに生きた画家でもある。この東京初となる蘆雪展では、色々な角度から魅力に迫る。

東京富士美術館

☆東京富士美術館コレクションフランシスコ・デ・ゴヤ 四大連作版画展 2026年2月7日~3月22日

 スペインを代表する画家フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)は、デューラーやレンブラントと並ぶ傑出した版画家としても知られている。彼が生み出した『気まぐれ』Caprices『戦争の惨禍』Disasters of War『闘牛技』Bullfighting『妄』The Folliesの連作版画シリーズには、社会に対する鋭い批判や戦争の残虐さ、人間精神の内面が、深い洞察に基づく表現力で鮮烈に描き出されている。同館が所蔵するゴヤの四大連作版画215点を一挙公開する本展では、時代を超越した独特の魅力を放つゴヤ版画の全貌を見ることができる。

☆神邊コレクション受贈記念よみがえる浮世絵スピリット ─明治の開化絵から新版画まで─ 2026年4月12日~6月21日

 江戸時代に一世を風靡した浮世絵は、明治時代に舶来の石版画や写真技術の実用化が進むと、次第にその役割を取って代わられるようになる。激動の時代において、明治の浮世絵師は文明開化によって一変する社会を捉える開化絵や、さまざまな事件や戦争を即時的に伝える報道絵など、新たな分野を開拓した。しかしながら、浮世絵は明治20年代頃より衰退の一途をたどり、多色摺木版は挿絵の分野で命脈を保つ。明治中期には、色鮮やかな木版口絵が文芸雑誌や小説の扉絵として書籍の巻頭に折り込まれ、大衆の支持を得た。そして大正時代には、版元・渡邊庄三郎が浮世絵の復興と革新に取り組み、浮世絵の伝統技術と分業制度を活かしながら、清新な新版画の数々を世に送り出した。日本の多色摺木版は、機械文明化の進む近代の逆境をいかにして超克し、「浮世絵スピリット」とも呼びうる固有の伝統技術や美意識を継承、あるいは進化させてきたのか。本展は、近年当館にコレクションの一部を寄贈された神邊一善氏の旧蔵品を中心として、近代木版画の軌跡を「明治の浮世絵」「木版口絵」「新版画」の3章構成で検証する試み。

☆This is SUEKI─古代のカタチ、無限大! 2026年10月3日~12月27日

 1600年ほど前の古墳時代に生まれたやきものSUEKI=須恵器。朝鮮半島から伝来した新たな生産技術で始まった須恵器は日本における陶磁器生産の礎となった。須恵器は古墳時代を通して人々の日常生活や祭祀の場へと次第に浸透していった。古墳時代には古墳で行なわれた祭祀の場、飛鳥時代以降は寺院や藤原京・平城京をはじめとした宮都、古代の役所である官衙など、時代の流れともに使われる場面も変化し、それに合わせて須恵器も形を変えていった。須恵器は東アジアとの交流や日本列島の文化や美意識に合わせて発展を遂げ、多種多様な造形が生み出された。その造形の幅広さからは古代の社会と古代人の思考がうかがえる。本展では古墳時代から平安時代までの約500年間に、全国各地で作られた須恵器の名品を結集し、無限に広がる造形美を紹介。各時代、各地域で生み出された洗練されたカタチや独特なカタチを通じて、古代の人々の創造力に触れることができる。

☆わたしたちのルノワール 2027年1月26日~3月28日

町田市立国際版画美術館

☆夢の江戸へ―美人画と歴史ロマン 2025年9月26日~12月21日

☆はんが探検隊―大きな版画の世界にようこそ! 2025年12月26日~2026年3月22日

☆新収蔵作品展Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ 2026年1月6日~ 2月23日

神奈川県立近代美術館・葉山館

☆若江漢字とヨーゼフ・ボイス 撮影されたボイスの記録、そして共振 2025年11月15日〜2026年2月23日 

 若江漢字は、1970年代のドイツ滞在を機にヨーゼフ・ボイスの芸術に共鳴し、彼と交流するなかで、ボイス作品をはじめとする現代美術の収集と展示など、自らの創作活動と並行して芸術と社会を結ぶ行為を続けてきた。ドクメンタ7でのアクションやアトリエ訪問時、来日の際などに若江がボイスを接写した記録、そしてドイツ内外で主要なボイス展を撮影した写真は、貴重な証言であると同時に若江の作家的視点を伝える。多くが初公開となる記録写真と並行して二人の造形作品を展示し、両者の共通項と独自性を考察する。

☆没後10年 江見絹子 —1962年のヴェネチア・ビエンナーレ出品作品を中心に— 2025年11月15日〜2026年2月23日

 江見絹子(えみ・きぬこ/1923-2015) は、日本人女性として初めてヴェネチア・ビエンナーレ(第31回・1962年)に出品した画家。1956年から日本でアンフォルメル旋風が吹く中、江見の作風も1958年には半抽象から高度経済成長の黎明期を反映した構築的な幾何学的抽象へ、その後1961年にその形体を文字通り「解消」し、1964年に「熱い抽象」へと目まぐるしく展開した。ヴェネチア・ビエンナーレの出品作全点を中心に、没後10年となる江見の代表作を展覧する。

☆内間安瑆・俊子展 2026年3月7日〜5月31日 

 日系移民の二世として米国に生まれた内間安瑆は、1940年に日本に留学し、画家を志すようになる。戦後、恩地孝四郎や棟方志功の知遇を得て創作版画の道に没頭すると、幾度かの変遷をとげながら、「色面織り」と呼ぶ独自の木版技法を深化させた連作〈Forest Byobu〉に至る。幻想的なアッサンブラージュで知られた妻・俊子にも焦点をあてながら、イサム・ノグチら関連作家の作品とともに、二人の豊かな創作世界を回顧する。

☆たいせつなものII—近年収蔵の彫刻・立体作品から— 2026年3月7日〜5月31日 

 近年収蔵された彫刻・立体作品の中から、吉田芳夫(よしだ・よしお/1912–1989)、村岡三郎(むらおか・さぶろう/1928–2013)、山本正道(やまもと・まさみち/1941– )、安田侃(やすだ・かん/1945– )、鷲見和紀郎(すみ・わきろう/1950– )、下川勝(しもかわ・まさる/1950– )、黒川弘毅(くろかわ・ひろたけ/1952– )、矢野美智子(やの・みちこ/1956– )、ホセイン・ゴルバ(Hossein Golba/1956– )などの彫刻・立体作品を展覧する。

神奈川県立近代美術館・鎌倉別館

☆川口起美雄 Thousands are Sailing 2025年11月1日〜2026年2月1日

 川口起美雄(1951–)は、目に見えないものは描かず、目に見えるものを描いて誰も見たことがない風景を現出する作家。川口の作品は、ウィーンで学んだテンペラ絵具と油絵具の混合技法で描かれている。ニュアンスに富んだ質感をもち、物語を想起させる作風は、しばしば詩に喩えられ、「読まれる絵画」とも称される。本展では、1970年代に制作された初期作品から初公開となる新作までを展示し、半世紀に及ぶ創作の軌跡をたどる。

☆福田尚代 あわいのほとり 2026年2月21日〜5月17日 

 福田尚代(1967–)は、「世界は言葉でできている」という独自の思索を、言葉と美術によって探求してきた。始めからも終わりからも同じ読みになる回文を綴る一方、言葉に関わるモノ—本や手紙、鉛筆、消しゴムなどを素材に彫刻を施す。削り、折り、切り抜き、糸で縫い、針穴を穿たれたモノたちは元々の姿を失い、やがて小さな粒子となって消えゆくかのよう。本展ではこうした存在のはかなさ―生と死の「あわい」に光をあててきた福田の創作世界を、会場の空間をとりこんだインスタレーションによって展覧する。

横浜美術館

☆横浜美術館リニューアルオープン記念展 いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年 2025年12月6日〜2026年3月22日

 地理的にも文化的にも近しい他者として、長い歴史を歩んできた日本と韓国。その中でも、1945年以降今日に至るまでの美術は、どのような関係にあったのだろうか。二国間の接点や断絶、共通点と差異を中心に考えると、たがいの、そして自己の意外な姿が立ち上がってくるかもしれない。1965年の日韓国交正常化から60年となる節目に合わせ、韓国国立現代美術館との共同企画により、日韓現代美術の関係史を紐解く。

☆没後110年 日本画の革命児 今村紫紅 2026年4月25日~6月28日

 明治の末から大正初期に活躍した画家・今村紫紅(18801916)の40余年ぶり、かつ公立美術館では初の大回顧展。平安時代から続く伝統的なやまと絵を学び、若くして歴史画において高い技量を示した紫紅は、やがて、日本画の革新を志す。琳派の俵屋宗達などの自由闊達な絵に刺激を受け、さらに南画(中国・江南地方の絵画に影響を受けて江戸後期に栄えた山水画)や、西欧の印象派などの新しい表現を取り入れて、風景画に強烈な個性を発揮した。《熱国之巻》や《近江八景》(いずれも国指定重要文化財、本展出品予定)に代表される綿密かつ大胆な筆づかいと構図、明るい色がその特徴である。35年の生涯を力強く駆け抜けた紫紅の創作の軌跡を、初公開作品を数多く含む約150点でたどる。

☆マリー・アントワネット・スタイル 2026年8月1日~11月23日

 歴史上もっともファッショナブルな王妃、マリー・アントワネット。時代の「ファッション・アイコン」となった王妃の装いやインテリアは、18世紀から現代まで、ファッションやデザイン、映画などに広く影響を与えてきた。本展は、アントワネット時代のドレスや宝飾、家具などを手がかりに、あらゆる点で新しい様式(スタイル)をうちたてていった王妃の革新性と、その人物像に迫る。さらに、王妃が形づくった「スタイル」の源泉が、いかに時代を超えて人々を魅了し、現代のクリエーターたちにも示唆を与え続けているかについて紹介する。本展はヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)で企画された世界巡回展。横浜美術館はその最初かつ国内唯一の会場である。

横須賀美術館

2026年8月(予定)まで改修工事のため長期休館中

平塚市美術館

☆新収蔵品展 国立劇場の名品 2025年10月11日~2026年2月15日

 1966年の開場以来、国立劇場の場内を彩ってきた作品群は、日展・院展・創画会など各美術団体の画家たちの展覧会出品作と国立劇場のために描かれた力作ばかり。本展では国立劇場のリニューアル工事のための閉場に伴い、同館で受託した作品を展示。

ポーラ美術館

☆SPRING わきあがる鼓動 2025年12月13日~2026年5月31日

 春、生命が再生する時間。テクノロジーが社会を覆い尽くす現代において、私たちは身近な自然の驚異や足元に広がる土地の記憶、そして人間の内なる根源的な力を見つめ直し、いっそう鋭敏に感じ取ろうとしている。本展覧会では、アートにおける飛躍する力に光をあて、私たちの存在と感性をゆさぶる絵画、彫刻、工芸、インスタレーション作品を紹介する。古くから旅人を惹きつけてきた「箱根」の地を起点に、過去と未来、あるいは彼方へとつながる想像の旅を通じて、静かに、あるいは力強くわきあがる作品の響きと共鳴し、躍動する創造の鼓動を体感する。

☆開館 25 周年記念 没後 100 年 モネ×現代アート 2026年6月17日~2027年4月7日(予定)

 印象派を代表する巨匠クロード・モネ。ポーラ美術館が収蔵する19点の油彩画は、セーヌ河の水辺、サン=ラザール駅や行楽地、海辺などを描いた風景や、ロンドンやヴェネツィアの連作、そして「睡蓮」連作にいたるまで、モネの初期から晩年を網羅するアジア最大のコレクションである。本展では、モネの没後 100 年、そして当館の開館25周年を記念し、この奇跡のコレクションを一堂に展観。時代を超えてなお輝きを増すモネの絵画を、国内外の現代アーティストたちの表現とともに、未来へ向けて紹介する。

埼玉県立近代美術館

☆野島康三と斎藤与里 2025年11月1日〜2026年1月18日

 野島康三(1889-1964)は浦和に生まれ、明治末期から大正期にかけて、絵画の影響を色濃く受けた写真作品を制作した。後には新興写真の動向に身を置き、『光画』や国画会写真部などに発表。加須出身の斎藤与里(1885‒1959)は、京都で洋画を学んだのち渡仏した。帰国後は西洋の新しい芸術思潮を広めながら、次第に南画等の影響も受け、晩年には独自の伸びやかな画風を追究した。野島と斎藤はそれぞれ、画廊経営者やコレクター、あるいは評論家や教育者として同時代の美術を支えたことでも知られる。この展覧会では、埼玉県ゆかりの二人の作家の足跡を辿るとともに、大正期における二人の交流にも着目しながら、関連作家の作品や資料を交え、両者が美術に注いだ眼差しにも迫る。

☆コレクションの舞台裏 2026年2月7日〜5月10日

 1982年に開館した埼玉県立近代美術館は、継続的な収集活動により、現在4,000点以上の作品を収蔵している。この展覧会では、その中から学芸員が各々の視点で作品を選び、リサーチの成果をもとに展示する。複数の独立したテーマを設け、ともにコレクションを掘り下げていく、短編小説のアンソロジーのような展覧会である。学芸員の主要な仕事のひとつである「収蔵作品の調査研究」を通じて、作品や資料のさらなる解明を試み、コレクションの新たな見方や、通常はなかなかご覧いただけない側面を紹介する。

☆アーティスト・プロジェクト#2.09 江頭誠 2026年2月7日〜5月10日

 江頭誠(1986-)は戦後日本で普及した花柄の毛布を用いて、独自の立体作品や展示空間を創り出すアーティスト。古い家具や既製品を毛布で包み込むことで、有機的なフォルムを立ち上げるとともに、物や空間が持つ記憶をゆるやかに呼び起こしていく。本展では新作を交えたインスタレーションを中心に紹介する。

千葉県立美術館

☆オランダ×千葉 撮る、物語る ーサラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ×清水裕貴 2025年11月15日〜2026年1月18日

 「テオ・ヤンセン展」(令和5年度)に続くオランダとの文化交流の一環として開催。抽象的な構図、反射、影の使い方、独特のフレーミングなどを特徴とするストリートフォトが注目を集めるオランダの新進気鋭の写真家、サラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウの作品を日本で初めて紹介する展覧会。あわせて、当館初の写真展ともなる本展では、千葉にまつわる写真の歴史にも注目し、千葉を拠点に活動する写真家・小説家である清水裕貴のアプローチを通して、千葉ゆかりの古写真のコレクション(松戸市戸定歴史館)や、当館の絵画コレクションを紹介、テキストと写真・絵画が一体となって織りなす清水裕貴の作品世界を展観する。

☆デュッセルドルフ市からのアーティスト受入 成果展 2025年12月3〜14日

☆鉄絵銅彩 神谷紀雄陶展 春風陶花 2026年1月27日〜4月5日

☆大チーバくん展一さかざきちはるとチーバくんの20年 2026年10月31日〜2027年1月17日

千葉市美術館

☆開館30周年記念 千葉美術散歩 2025年11月1日〜2026年1月8日

 千葉市美術館がある「場」をテーマとした展覧会。黎明期の洋画家・堀江正章が指導を行った旧制千葉中学校、ビゴーの滞在で知られる稲毛、田中一村が住まった千葉寺町、戦後の千葉アートシーンの拠点となった国松画廊などを関連する作品とともに紹介。千葉市美術館を介して過去と未来が地続きにつながるさまを展望する。

☆つくりかけラボ19 小森はるか+瀬尾夏美|へびと地層 風景から生まれる物語 2025年10月11日〜2026年1月25日

 つくりかけラボは、「五感でたのしむ」「素材にふれる」「コミュニケーションがはじまる」いずれかのテーマに沿った公開制作やワークショップを通して空間を作り上げていく、参加・体験型のアーティストプロジェクト。いつでも誰でも、空間が変化し続けるクリエイティブな「つくりかけ」を楽しみ、アートに関わることができる表現の場である。 映像作家である小森はるかさんと、画家で作家である瀬尾夏美さんによるアートユニット「小森はるか+瀬尾夏美」は、おもに災禍のあった土地に赴き、中長期的な現地滞在をするなかで風景と人々の語りを記録し、表現として形にしてきた。今回のプロジェクトでは、二人がこれまでリサーチを重ねてきた複数の地域ー岩手県陸前高田市、宮城県伊具郡丸森町、東京湾、能登半島、広島県広島市南区似島、マーシャル諸島等ーを描いた作品や記録資料を同時に展示し、個人や土地に根ざした物語がもつ共通性や可能性を探る。

☆開館30周年記念 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に 2026年1月17日〜3月1日

 1877年創立の美術大学ロードアイランド・スクール・オブ・デザインには、約4,000点の日本美術品が所蔵され、特に浮世絵版画のコレクションは膨大であり、なかでも地元出身の資産家ジョン・ロックフェラーの妻アビー・オルドリッチ・ロックフェラーの花鳥画コレクションが知られている。本展ではこのユニークなコレクションから葛飾北斎、歌川広重らの浮世絵師による選りすぐりの花鳥版画約160点を紹介する。

《水戸芸術館》

☆磯崎新:群島としての建築 2025年11月1日~2026年1月25日

 最も創造的で先駆的な20世紀を代表する建築家・磯崎新の回顧展。本展では、作品模型、スケッチ、インスタレーション、絵画、映像などの様々なメディアを通じ、彼の思考の軌跡を辿りながら、磯崎の建築の枠を超えた文化的・思想的活動を総体的に紹介する。

☆飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき 2026年2月28日~5月6日

 立体、写真、映像等を自由に組み合わせて作品を制作するアーティスト飯川雄大が、情報の曖昧さや感覚の不完全さを新たな可能性と捉え、鑑賞者を巻き込む新作インスタレーションを発表。

茨城県立近代美術館

☆第14回現代茨城作家美術展 2026年1月10日~2月1日

☆藤田嗣治 絵画と写真 2026年2月10日~4月12日

 藤田嗣治(1886-1968)は、乳白色の下地に描いた絵画で世界的に知られた、エコール・ド・パリを代表する画家。そんなフジタの芸術を「写真」をキーワードに再考する展覧会。本展では、画家と写真の関係を、「絵画と写真につくられた画家」「写真がつくる絵画」「画家がつくる写真」の3つの視点から紐解く。描くこと、そして撮ること。2つの行為を行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない角度から藤田嗣治の魅力を紹介する。

群馬県立近代美術館

☆特別展示:水野 暁 視覚の層|絵画の層(仮) 2025年9月13日〜12月16日 

 水野暁(1974-)は群馬県東吾妻町に生まれ、現在も同地を拠点に活動を続ける画家。同館では2014年、開館40周年を記念するグループ展「1974年に生まれて」においてそれまでの代表作を展示し、反響を呼んだ。今回の個展では、それ以降の10年間に制作された大作を中心に、近年の水野の展開を紹介する。

栃木県立美術館

☆宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展 2025年10月25日〜12月21日

 宮城県美術館の絵本原画コレクションは、月刊絵本「こどものとも」の初期作品と、そこから絵本の世界に羽ばたいていった作家たちの手による原画を核に形成されている。「子どもたちに上質な絵本を」という思いのもと、1956年に福音館書店が創刊した「こどものとも」は、洋画・日本画・漫画・商業デザインなどの分野で活躍する美術家を起用したことで知られ、美術家たちは新たな舞台で、思い思いの発想で絵を描いた。描き手たちの絵が物語世界を魅力的に膨らませたことはもちろん、その表現を支える材料・技法の選択や画面構成といった造形上でも、彼らはまた清新な感覚を発揮している。本展では、「ぐりとぐらのえんそく」をはじめとする宮城県美術館所蔵の絵本原画約180点を展示。原画一点一点に向き合うからこそ味わえる、描き手のタッチや画材の質感にも注目し、「絵本のひみつ」を探る。

☆僕はなに色 渡辺豊重展ーいろ、かたち、ひかりの冒険 2026年1月10日〜3月22日

 渡辺豊重(1931-2023)は、生涯にわたりユーモアある芸術世界を創造してきた美術家。会社員として働きながら制作を始め、難波田龍起や中谷泰に学び、1960年頃から画業に専念することを決めて精力的に活動した。油彩による抽象画から輝くばかりの色彩やユニークなかたちを探求した版画や彫刻など、その表現は多岐にわたる。2000年頃には活動拠点を長く暮らした川崎から那珂川に移し、新たな主題や葛藤と向き合いながら更なる表現の冒険へと踏み出した。本展では、アトリエに残されたラフスケッチや未公開作品などの調査結果を踏まえ、これまでに渡辺が歩んだ道をたどることで、その豊かなる画業を顕彰する。

《宇都宮美術館》

☆ライシテからみるフランス美術 ―信仰の光と理性の光 2025年10月12日~12月21日

 カトリックの心か、革命の精神かー。フランス人の心性をめぐる覇権争いが巻き起こる中、それを映し出す美術もまた大きな転換点を迎えようとしていた。絶対的な指針を喪失した迷えるフランス社会において、人々のしるべとなるべきものを追い求めた芸術家たちの活動に迫る。

☆北條正庸展 風の旅 2025年2月8日~3月29日

 故郷うつのみやでたゆまない制作活動をつづけてきた画家北條正庸(1948〜)の大規模な個展。半世紀以上にわたる画業から生み出されたあざやかな色彩と端正な形象が織りなす詩情豊かな作品の数々を紹介。あわせて本展に際して制作される新作も展観する。

セゾン現代美術館

長期休館 2023年11月1日−2026年4月(予定)

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