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年末回顧2019—映画

 2019年の年末を迎え、新聞各紙の年末回顧記事から、今年注目された映画を振り返る。
2019年12月26日の日経新聞夕刊は、映画評論家の中条省平さん、宇田川幸洋さん、渡辺祥子さん、村山匡一郎さんと、同紙編集委員の古賀重樹さんの5人が、「今年の収穫」として3本の秀作を選んだ。

タル・ベーラ「サタンタンゴ」

 このうち、2人が挙げたのが、タル・ベーラ監督「サタンタンゴ」。中条さんは、「根源的な映画の力は、すべてがデジタル化された今こそ、見る者の背筋を震わせる身体的な経験として突き刺さる」「ドストエフスキーやカフカに匹敵する現代の暗黒の寓話としても、記憶に重く残る」と説明。村山さんも、「見るものは映画の真髄に触れる稀有な体験を味わう」とした。詳しくは、「タル・ベーラ監督『サタンタンゴ』名古屋で10月12日からついに公開」を参照。

 このほか、中条さんは、「幸福なラザロ」(アリーチェ・ロルヴァケル監督)、「女王陛下のお気に入り」(ヨルゴス・ランティモス監督)、宇田川さんは、「惡の華」(井口昇監督)、「Bの戦場」(並木道子監督)、「ホットギミック ガールミーツボーイ」(山戸結希監督)を挙げた。
 渡辺さんは、「アイリッシュマン」(マーティン・スコセッシ監督)、「テルアビブ・オン・ファイア」(サメフ・ゾアビ監督)、「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)、村山さんは、「象は静かに座っている」(フー・ボー監督)、「ある船頭の話」(オダギリジョー監督)、古賀さんは、「さよならくちびる」(塩田明彦監督)、「火口のふたり」(荒井晴彦監督) 、「ジョーカー」(トッド・フィリップス監督)を選んだ。

 2019年12月27日の朝日新聞夕刊では、映画評論家の秦早穂子さんと柳下毅一郎さんが「私の3点」を挙げた。
 秦さんは、日経新聞の村山さんと同じ「象は静かに座っている」、日経新聞の中条さんと同じ「幸福なラザロ」、「ラ・ポワント・クールト」(アニエス・ヴァルダ監督)の3点。
 柳下さんは、日経新聞の渡辺さんと同じ「アイリッシュマン」、「スパイダーマン:スパイダーバース」(ボブ・ペルシケッティ監督ら)、「東京干潟」「蟹の惑星」(村上浩康監督)の3点。

 同紙は、石飛徳樹編集委員が詳述。興行収入が過去最高となりそうで、東宝の試算だと、観客数も1971年以来、48年ぶりに1億9000万人前後になる見込み。興行収入上位は、日本映画は「天気の子」(新海誠監督)など定番アニメ、外国映画は「アラジン」「トイ・ストーリー4」などディズニー作品だった(筆者補足:公開中の「アナと雪の女王2」も大ヒットである)。
 他に、ドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマン監督「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」=映画を見る、あるいは読む F・ワイズマン「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブス」(2017年)参照=のロングランを評価。真利子哲也監督「宮本から君へ」に対する助成金不交付問題、慰安婦を扱った「主戦場」の映画祭での上映中止を巡る混乱などにも触れた。
 また、2019年12月12日の日経新聞の「回顧 2019 映画」では、古賀重樹編集委員が塩田明彦監督「さよならくちびる」、鈴木卓爾監督「嵐電」、黒沢清監督「旅のおわり世界のはじまり」、深田晃司監督「よこがお」、荒井晴彦監督「火口のふたり」などを評価した。古賀さんは、戦後日本を体現した女優として、京マチ子さんの死を悼んだ。

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