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年末回顧2019—現代演劇

 2019年の年末を迎え、新聞各紙の年末回顧記事から、今年注目された演劇作品を振り返る。
 日本経済新聞(2019年12月13日)は、編集委員の内田洋一さんが執筆。冒頭で、静岡県舞台芸術センター(SPAC)のニューヨーク公演に触れた。SPAC芸術総監督の宮城聡さんが演出したギリシャ悲劇「アンティゴネ 」が、世界的な分断に対して示した、人を敵味方に区別しない思想。同紙によると、TIME誌の年間ベストテンにも選ばれた(詳細は、「SPAC『アンティゴネ 』 ニューヨークで大反響」)。
 同紙は、世界の分断を象徴する「壁」を舞台に出現させ、源平争乱からシベリア抑留までイメージを連鎖させたとして、野田秀樹作・演出の「Q」も、60代に入った野田の到達点だと評価した。
 内田さんは、役者の演技力や作品の質を軽んじたその場限りのプロデュース公演の弊害が公共劇場にも及び、作品が劣化していると手厳しい。特に、新国立劇場からかつてほど傑作が生まれない状況を嘆いた。
 他に、内田さんは、水戸芸術館の「最貧前線」、神奈川芸術劇場のさまざまな先進的な企画、文学座の一連の舞台、シアター風姿花伝(東京)プロデュースの「終夜」(上村聡史演出)、原発事故の現場から生まれた柳美里「ある晴れた日に」、谷賢一「福島三部作」も評価。三谷幸喜の「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」や「月光露針路日本」、戯曲としては長田育恵「遠野物語」、横山拓也「ヒトハミナ、ヒトナミノ」「あつい胸さわぎ」、シライケイタ「獅子の見た夢」、演出家としては松本祐子、「チャイメリカ」「人形の家part2」「カリギュラ」の栗山民也、「ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜」のケラリーノ・サンドロヴィッチなどを挙げた。

 朝日新聞(2019年12月12日)では、演劇評論家など3人が今年の「私の3点」を挙げた。
 演劇評論家の大笹吉雄さんは、KUNIO・神奈川芸術劇場「グリークス」(ジョン・バートン/ケネス・カヴァンダー編・英訳、小澤英実翻訳、杉原邦生演出)、「プラータナー:憑依のポートレート」(ウティット・ヘーマムーン原作、岡田利規脚本・演出)、劇団桟敷童子「獣唄」(サジキドウジ作、東憲司演出)の3作品を評価した。
 映画・演劇評論家の萩尾瞳さんは、「ピピン」(ロジャー・ハーソン脚本、ダイアン・パウルス演出)、アミューズ「FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜」(板垣恭一日本版脚本・演出)、神奈川芸術劇場「ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜」(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出)を取り上げた。
 批評家の佐々木敦さんは、「プラータナー:憑依のポートレート」、「ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜」、akakilike「眠るのがもったいないくらいに楽しいことをたくさん持って、夏の海がキラキラ輝くように、緑の庭に光あふれるように、永遠に続く気が狂いそうな晴天のように」(倉田翠演出)に注目した。

 朝日新聞編集委員の藤谷浩二さんは、野田秀樹「Q」、岡田利規「プラータナー:憑依のポートレート」、「チャイメリカ」「人形の家part2」の栗山民也、ケラリーノ・サンドロヴィッチ「ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜」などを評価。東日本大震災をテーマにした谷賢一「福島三部作」、柳美里「静物画」「ある晴れた日に」、桑原裕子「らぶゆ」、赤堀雅秋「美しく青く」なども挙げた。
 他に、横山拓也「ヒトハミナ、ヒトナミノ」「あつい胸さわぎ」、蓬莱竜太「ビューティフルワールド」、岩井秀人「世界は一人」、岩松了「二度目の夏」、前川知大「終わりのない」、杉原邦生演出「グリークス」など。

 毎日新聞(2019年12月10日)では、「人形の家part2」、「ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜」をはじめ、東京芸術劇場が招聘したロシアの「レッドトーチ・シアター」が全編手話で上演した「三人姉妹」、日本初演となった新国立劇場「オレステイア」(ロバート・アイク作、上村聡史演出)などに注目した。

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