三重県立美術館 開館40周年記念 宇田荻邨展 4月23日-6月19日

宇田荻邨《桂離宮笑意軒》東京国立近代美術館蔵  転載禁止

宇田荻邨展

 津市の三重県立美術館で2022年4月23日から6月19日まで、開館40周年を記念する宇田荻邨てきそん展が開かれる。

 1983年に同館が開いた「没後3年記念 宇田荻邨展」以来、 約40年ぶりの大規模な荻邨展となる。

 現在の三重県松阪市に生まれ、京都画壇を代表する日本画家として活躍した宇田荻邨(1896-1980年)。

 流麗な描線と明るく爽やかな色彩で、現実の京都以上に美しいといわれる格調高い京洛の四季を描きだし、現在も高く評価されている。

宇田荻邨《飛香舎(藤壺)》松阪市蔵  転載禁止

 松阪第一尋常高等小学校(現・松阪市立第一小学校)時代から非凡な才能を示した荻邨は、伊勢の画家・中村左洲に手ほどきを受け、1913(大正2)年に17歳で上洛。京都画壇の菊池芳文、その養子である契月に師事して研鑽を積んだ。

 1919(大正8)年の第一回帝展に《夜の一力》が初入選。以降、帝展、新文展、日展、京展などを舞台に活躍を続け、近代の日本画界に確固たる地位を築いた。

 今回は、初期から晩年までの代表作を、思考の跡をたどれる下絵、写生帖とともに展観。さらに郷里・松阪とのつながりを感じさせる作品も加え、65年に及ぶ荻邨の画業を振り返る。

 会期中、一部の作品は展示替えがある。前期は4月23日~5月22日、後期は5月24日~6月19日。

宇田荻邨《夜の一力》個人蔵  転載禁止

見どころ

1.40年ぶりに宇田荻邨の代表作を一堂に公開

 1983(昭和58)年に三重県立美術館で開催した「没後3年記念 宇田荻邨展 ―清爽に京洛を描いた三重の画家―」以来、約40年ぶりの大規模な宇田荻邨展である。

2.荻邨の画風のうつりかわりを代表作でたどる

 第一回帝展で初入選を果たした《夜の一力》(個人蔵)、第八回帝展で宮内庁買上げとなった《溪澗》(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、画業後期の代表作《清水寺》(京都市美術館蔵)などの名品を見ることができる。

3.郷里・松阪とのつながりを感じさせる作品も展観

 郷里・松阪の偉人である本居宣長を描いた《鈴屋翁像》(個人蔵)のほか、荻邨の母校である松阪市立第一小学校に寄贈された《やな》《えり》など、松阪市の個人、機関に伝わる作品も紹介する。

宇田荻邨《梁》松阪市蔵  転載禁止

4.写生帖、大下絵も多数展示

 三重県立美術館は、荻邨による写生帖や下絵などの資料を300点以上所蔵している。本展覧会では、本画(完成作品)とともに、下絵や写生図も展示。荻邨の作画の背景に迫る。

展覧会概要

会  期:2022年4月23日(土)-6月19日(日)
開館時間:午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日(5月2日は開館)
観 覧 料:一般1,000(800)円 学生800(600)円 高校生以下無料
*( )内は前売および 20人以上の団体割引料金
*この料金で「美術館のコレクション」、柳原義達記念館も見ることができる。
*生徒・学生は生徒手帳・学生証等を提示する。
*障害者手帳等(アプリも含む)のある人が観覧する場合、付き添いの1人も無料。
*県内学校(小・中・高・特支)等が来館する場合、引率者も観覧無料(要申請)。
*毎月第3日曜の「家庭の日」(5月15日、6月19日)は団体割引料金で見ることができる。

宇田荻邨

 荻邨は、1896(明治29)年、現在の松阪市生まれ。伊勢の画家・中村左洲に絵の手ほどきを受け、写生、運筆、模写に励んだ。

 1913(大正2)年、画家になることを決意して、京都の菊池芳文の門に入り、翌年には京都市立絵画専門学校別科に入学した。

 1919(大正8)年、第一回帝国美術院展覧会(帝展)に《夜の一力》が入選した荻邨は、第7回帝展では《淀の水車》で帝国美術院賞を受賞。

 以後も、帝展、新文展、日展などを舞台に活躍し、近代日本画の歴史に輝かしい業績を残した。1980(昭和55)年1月逝去。

イベント

◎美術講演会「荻邨と京都」

講師:毛利伊知郎(三重県立美術館前館長)
日時:5月14日(土)午後 2 時30分から (60分程度)
場所:三重県立美術館地下1階講堂
要申し込み/参加無料/定員70人(予定)

美術館ウェブサイトの専用フォーム、または往復はがきで申し込む。往復はがきの場合、参加者の名前(1通につき3人まで)、当日の連絡先(電話、メールアドレス)を添えて美術館に送る。申し込み多数の場合は、抽選。

◎担当学芸員によるスライドレクチャー

日時:6月11日(土)午後 2時30分から(60分程度)
場所:三重県立美術館地下1階講堂
申し込み不要/参加無料/定員70人(予定、先着順)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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