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名古屋造形大が批評誌「都市美」創刊

名古屋造形大学が年2回の批評誌「都市美」を創刊した。2022年に愛知県小牧市から名古屋都心の名城公園東側に全面移転するのを前に、地域住民の暮らしの向上につながる都市や共同体のあり方を考える。建築家で学長の山本理顕さんの責任編集。創刊号の特集は「コミュニティ権 新しい希望」。
山本さんは、創刊の辞に「芸術家は美しい都市空間を提案し、その共感を訴えて懇願する。美しい都市は、隣人と共に住むための都市である。グローバル経済という私的利益のためではなく、そこに住んでいる人々のための美しい都市である」とした上で、「『都市美』を刊行します。美しい都市空間を提案し、そしてその実現を目指す人たちに寄り添いたいと思います」と書いている。
山本さんは、特集の論考「コミュニティ権 国家権力に対抗する権力」で、都市空間の中で衰弱した「コミュニティ=個人の人権と国家権力との間にある中間集団の権力」を取り戻すこと、コミュニティ権こそ国家権力に対抗できる唯一の権力であることを訴えている。
特集では、山本さんと社会学者の大澤真幸さん、憲法学者の木村草太さんとの鼎談「家族の成立 コミュニティへの飛躍」、山本さんと歴史社会学者の小熊英二さんの対談「建築はコミュニティをつくれるか 経済・記憶・時間」を掲載。特集は、他に、武田徹「ハンセン病患者たちの『共生の共同体』」島薗進「宗教とコミュニティ 同苦・同悲のつながりへ」がある。特集以外には、「大学建築論」「論考」として、論文、対談など。
名古屋造形大教授の高橋伸行さんによる「旅地蔵—阿賀をゆく—」も掲載。2015年に新潟市であった「水と土の芸術祭」に展示したインスタレーションと、活動の全貌に触れるエピソードを紹介している。熊本の水俣病と、新潟水俣病に関わる人の間で紡がれた「不知火のお地蔵さん」「阿賀のお地蔵さん」の兄弟地蔵の物語に端を発し、足尾鉱毒事件の足尾を源流とする渡良瀬川の石で彫られた、行き場を失ったお地蔵さんを「旅地蔵」と名付け、リヤカーに載せて阿賀野川をさかのぼって旅したプロジェクトである。旅地蔵の誕生につながる1971年の出来事から、船で遡上した旅地蔵、旅で出会った人々との数々のエピソード、旅地蔵が安置された後日談まで、大変読み応えがある。なお、高橋さんについては、近く瀬戸内国際芸術祭2019の大島の展示についてもリポートする。
A5判で税別1500円。ちくさ正文館書店などで扱っている。

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