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「オタクノミクス」 オタクの経済 日経新聞で連載

オタクノミクスが絶好調

 アニメやゲーム、漫画、アイドルなどポップカルチャーに強いこだわりをもつ愛好者「オタク」の勢いがすごい。その最近の動向と彼らが動かす経済をルポした日経新聞の連載記事「オタクノミクス」(2020年3月)が面白い。本編5回と番外編1回で紹介されたオタク経済の最前線を紹介すると—。

①聖地巡礼(2020年3月3日)

2020年3月3日の日経新聞「4兆円のこだわり消費」によると、日本のオタク人口はのべ約2700万人(矢野経済研究所による推計)で、漫画、アニメ、ゲームの3大市場だけで年間4兆円規模という。記事では、2013年からテレビ放映されたアイドルアニメ「ラブライブ!」のオタク「ラブライバー」が、聖地である静岡県沼津市に移り住んだ話題を紹介。この人は、移住前、埼玉から毎週のように沼津に通い、声優のライブやグッズなどで月に40万円ほどを使っていたという。他にも、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の聖地、埼玉県秩父市、「らき☆すた」の埼玉県久喜市の事例も紹介。聖地巡礼に詳しい近畿大学の岡本健准教授によると、ファンが作品の舞台を探してネットに公開し、それを見た人が聖地に行くサイクルは1990年代からあり、2016年の「君の名は。」で完全に市民権を得た。

②2.5次元舞台(2020年3月4日)

2020年3月4日の日経新聞「2.5次元舞台 女子ぞっこん」によると、漫画やアニメ、ゲームなどの2次元のコンテンツを3次元で表現する2.5次元のエンターテインメントが急成長している。特に、高校生の自転車ロードレースを題材に、週刊少年チャンピオンに2008年から連載されている「弱虫ペダル」は、10〜30代の若い女性に人気。原作漫画をイケメン俳優が演じるステージ「ペダステ」にオタク女子が押しかけている。それぞれに応援する「推しキャラ」がいて、開演前のロビーでは、推しキャラグッズの交換会も。封を開けるまで中が分からない俳優のブロマイドは、1枚200円だが、100枚単位でまとめ買いするファンもいる。地方公演に出かけるため、毎月15万円以上のペースで費やす人もいるらしい。ぴあ総研によると、2.5次元ミュージカルの市場規模は、2018年に226億円と、前年比45%の伸び。19年は公演作品数が200超、観客動員は約300万人に達したとみられ、人気アイドルグループ「嵐」の約180万人を上回るとか。2.5次元は、2003年のミュージカル「テニスの王子様」が草分けだという。

③アイドル(2020年3月5日)

2020年3月5日の日経新聞「アイドル2500億円市場」によると、アイドルオタクのマーケットは、年間2000億円以上。紹介されたのは、動画配信アプリを手掛けるmysta(マイスタ)が進める7人組女性ユニット「Ange et Folletta(アンジュエフォレッタ)」のプロジェクト。メンバー選びで、自社の動画配信サービスを使ったファンのオンライン投票を取り入れ、4次審査まで、ファンがポイントを購入して、スマホアプリで好きなメンバーを応援するなどオーディションに参加できるようにした。メンバーの発掘、グループの結成のプロセスで、ファンを楽しませながら稼ぐビジネスにしたのが特徴。5次選考の公開ダンス審査はイベントにして、YouTubeで候補者について語り合う番組も作ったという。会員登録して参加したファンは3万人超。投票に100万円以上使った人もいたという。矢野経済研究所によると、ユーザー消費金額ベースの2019年度のアイドルオタク市場規模の見通しは2550億円で、15年度比60%以上も増えた。

④鉄道オタク(2020年3月6日)

2020年3月6日の日経新聞「三セク鉄道の救世主」によると、鉄道オタクが地域おこしの一翼を担うケースがある。新潟県上越市の「えちごトキめき鉄道」社長の鳥塚亮さんも、鉄オタ。1987年に航空会社に入った後の30代の頃、運転席の真後ろからフロントガラスに広がる「前面展望」のビデオ撮影にはまり、副業で鉄道のビデオやDVDを制作する会社を立ち上げた。DVDは600タイトルを超えるという。49歳の時、経営危機に陥った第三セクター「いすみ鉄道」(千葉県大多喜町)の社長公募に応じて転身。さまざまなアイデアで、存続に目処をつけた。北陸新幹線の並行在来線を引き継いだえちごトキめき鉄道も苦境が続くが、再建モデルになることを目指している。

⑤スマホ投げ銭(2020年3月7日)

2020年3月7日の日経新聞によると、インターネットのライブ配信サイトで、気に入ったアイドルを投げ銭で応援している人たちがいる。早稲田大学の学生の1人は、多い時は1カ月に5万円ほどを使うと告白。推しアイドルとのつながりを貯金しているのであって、刹那的な散財ではないとも。「SHOWROOM」「ミックスチャンネル」などのライブ配信サイトでは、配信者と視聴者がリアルタイムで相互のやりとりをでき、コメントを投稿すると画面に表示。それを見たアイドルが反応してくれる。視聴者が仮想のギフトを購入して贈ると、配信者はサイト運営会社から報酬を得られる。この学生は、趣味が高じて学生起業したアイドル・プロデュース業で収入を得ている。クラウドファンディングも、オタクマネーに支えられいるという。ある企画会社は、電子マンガサイトのインディーズ作品の紙版単行本等の出版に、目標をはるかに超える5000万円が集まり、驚いている。

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